総合1位(JN4クラス1位)勝田範彦/足立さやか

最終SSまで続くデッドヒートを制し
勝田範彦が猛暑の京丹後で今季3勝目を奪い取る

開催日時:8月24日(金)~26日(日)
開催場所:京都府京丹後市周辺
スペシャルステージ本数:13本
スペシャルステージ総距離:78.90km
ラリー総距離:2デイ5セクション389.77km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0

ラリー概要

全日本ラリー選手権第6戦が、京都府の京丹後市周辺を舞台に開催された。関西では3年ぶりの全日本選手権となるこのラリーは、今年の開催が48回目と半世紀にわたり継続されている歴史あるイベントだ。同一大会名での開催としては、日本一長い歴史を持つラリーでもある。1963年に近隣の6大学による対抗戦のラリーとして初開催され、昨年までは中部・近畿地方選手権として開催、今年が初の全日本戦となった。「チャリティラリー」という大会名が示す通り、48年前の初開催の時からエントリー代の一部を交通遺児基金に募金するというチャリティー活動は今でもしっかりと継承され、今年は東日本大震災の復興支援金として募金が行われた。

日本海に面する丹後半島を縦断する京都縦断林道をメインルートとする今回のラリーは、総距離78.90kmのスペシャルステージ(SS)に13本のSSを設定。ステージの中には道幅が2車線の区間もかなりあり、各ステージのトップタイムのアベレージが82km/h~89km/hと、全日本のターマックラリーの中でも屈指のハイスピードステージが連なっている。天候は、デイ1、デイ2とも熱中症に注しなければならないほどの猛暑。マシンにもクルーにも過酷な条件の中、戦いの幕が開かれた。

JN4クラス

午前中から真夏の太陽が路面を照りつけるデイ1、オープニングステージのSS1「太鼓山線」(3.92km)は、前戦のモントレーを制した奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボリューションX)がベストタイムをマークする。だが、シリーズポイントトップの勝田範彦/足立さやか組(スバル・インプレッサ)も0.2秒遅れの2番手に付け、一歩も譲らない。以降、「今まで前後のブレーキバランスがおかしかったが、今回でやっとまともになった」と言う福永修/奥村久継組(スバル・インプレッサ)がトップから1.6秒差の3番手、福永の弟子・高山仁/河野洋志組(三菱ランサーエボリューションVII)が1.9秒差の4番手、石田正史/日下浩平組(三菱ランサーエボリューションX)が2.5秒差の5番手、地方選手権時代に京丹後ラリーの経験を持っている田邊亘/松浦好晃組((三菱ランサーエボリューションIX)が3.0秒差の6番手というオーダーだ。

続くSS2「角突山線」(9.12km)は、このラリーで最も距離が長くアベレージも高いステージだ。このSS2とSS3「奥寄線」(3.94km)は、勝田が連取し、トータルで1.0秒奴田原を逆転。トップに躍り出る。

20分のサービスを終え続くセクション2は、セクション1のリピートステージ。気温は35℃付近まで上がり、路面温度もぐんぐん上昇してくる。その状況の中、SS4でベストタイムをマークした奴田原が勝田を逆転。SS5以降は奴田原と勝田でベストタイムを分け合い、デイ1は奴田原が勝田に2.0秒の差を付けるトップで折り返した。
「午前中はまだ路面温度が上がりきらずにタイヤの特性と合わなかったけど、路面温度が上がった午後からはタイヤと路面がうまくマッチした」と奴田原。一方の勝田は、「路面温度が高くなってからはタイヤ選択に悩んでしまったけど、3ループ目に見つけることができた。デイ2はそのタイヤで勝負します」と逆転を狙う。ただし、デイ1で奴田原が使用したタイヤの本数が6本に対し、勝田は8本。ラリーで使用できるタイヤの最大本数は規則で定めているため、デイ2で使えるフレッシュタイヤは、奴田原が4本に対し勝田が2本と分が悪い。デイ2のSS総距離は31.90km。気温もデイ1と同じく高くなることが予想され、奴田原有利という下馬評の中、デイ1を終えた。

迎えたデイ2、オープニングとなるSS9は、このラリー最長のSS2のリピートステージだ。ここは奴田原が勝田に対し0.2秒リードを広げるが、続くSS10、11を勝田が連取し、再びトップを奪い返す。

だが、奴田原にとっては、デイ1の傾向から勝田の逆転は想定の範囲内だ。デイ1と同様に路面温度が上がる2ループ目が勝負所と見た奴田原は、2ループ目のフロントタイヤ2本をフレッシュタイヤに交換。一方の勝田は、デイ2の1ループ目ですでに最後のフレッシュタイヤを投入しているため、ユーズドタイヤのままでのアタックだ。

注目のSS12。ここで奴田原は予定どおりベストタイムをマークするが、勝田も0.4秒差と食い下がり、トータルでは勝田が1.2秒リードを保っている。残るはSS13(4.86km)のみ。ここで勝田は最後の力を絞りきり、奴田原に1.5秒差のベストタイムをマーク。最後の最後に奴田原を突き放し、今季3勝目を獲得した。

また3位には、デイ1で4位に付けていた高山が「アライメントを見直し、不調だったウォータースプレーを直したら、オーバーヒート状態が解消した」と、師匠の福永を逆転して入賞した。

JN3クラス

全日本ダートトライアル選手権12連覇、そのうち9回が全日本ラリー選手権とのダブルタイトルという金字塔を打ち立てた粟津原豊が、トヨタ86を駆り12年ぶりに復帰したJN3クラス。シリーズリーダーの村田康介が0カーを担当し、シリーズ2位以下の選手の動向を見守るという高見の見物(!?)という状態だ。特に前戦のモントレーでは上位陣が総崩れだったため、シリーズタイトルを狙うドライバーにとっては最も獲得ポイントが高いラリー北海道前に、この京丹後で少しでもポイントを加算しておきたいところだ。

ラリーは、シリーズ2位の眞貝知志/漆戸あゆみ組(ホンダ・インテグラ)が序盤からベストタイムを連発。SS2では筒井克彦/永山総一郎組(トヨタ86)とベストタイムを分け合うが、実は眞貝はスタート直後にエンジンが吹け上がらない症状が出ていたにもかかわらず、ベストタイムを奪っている。「あの時は、もうここでラリーが終わったと思った」と語る眞貝だが、その後も次々とベストタイムをリザルトボードに重ねた。

結局、その勢いはデイ2に入っても衰えず、眞貝自身にとっては「全日本で初めて全SSでベストタイムを獲得しました」という完全勝利を達成。村田とのポイント差も11.5Pにまで縮め、ラリー北海道決戦を迎えることになった。

筒井克彦と三好秀昌/保井隆宏組の2台のトヨタ86が競り合った2位争いは、デイ1、デイ2とも路面温度が上がりきらない午前中のステージで好タイムを連発した筒井が、追いかけてくる三好を2.4秒かわし入賞。サバイバル戦となったモントレーの3位に対し、今回は最後まで僅差で競り合って獲得した2位だけに、筒井も「やっとトヨタ86のポテンシャルを引き出せたと思う。セッティングもシリーズを追うごとに良くなってきて、今回は本当に乗りやすかった。クルマをセットアップしてくれたチームのみなさんに感謝します」と喜んだ。

JN2クラス

8台が出場したJN2クラスは、デミオの岡田孝一/石田裕一組とヴィッツRSの川名賢/小坂典嵩組とのベテランVS若手の対決という、第5戦モントレーと同じ展開となった。

デイ1のSS2で川名がスピンしてしまい大きく遅れるが、岡田もSS6でスピン。それでもふたりのステージタイムは3位以下を大きく引き離し、デイ1を終えた時点で岡田が川名に対し3.4秒のリードを保ちトップ。3番手は岡田から9.3秒離れて天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィッツRS G’s)が付ける。

迎えたデイ2、デイ1を終えたサービスで(明日は)逆転できますよ」と自信ありげに語った川名が、その言葉どおりにSS9で岡田を逆転し、わずか0.1秒差ながらもトップに躍り出た。

だが、そこからの岡田が速かった。SS10で4.0秒、SS11で3.2秒、SS12で6.3秒と、川名との差を一気に引き離す。「あっという間に13秒以上の差に広げられて、モチベーションもなにもかも打ち砕かれました」という川名だったが、最終SSのゴール400m手前で岡田のマシンに電気系トラブルが発生しストップ。ここで岡田がリタイアとなってしまったため、最後の最後に川名が全日本初優勝を遂げる結果となった。
「今まで何度も優勝できるチャンスがあったんだけど、なかなか手が届かなかった。今回は気持ちの上では岡田さんにコテンパンにやっつけられてただけに、素直に喜べない状態だけど、やっぱり初優勝はうれしい」と川名。今季は優勝がないままシリーズランキングトップに付けていたが、これで名実ともにシリーズリーダーの座に付いた。

2位には「上の2台に追いつくためには、なにかしらの対策を施さなければならない」という天野が、3位には粘り強いラリーを展開した高橋悟/箕作裕子組(トヨタ・ヴィッツRS)がそれぞれ入賞した。

JN1クラス

開幕戦からここまで6戦連続クラス成立しているJN1クラス。シリーズリーダーの葛西一省がこのラリーをスキップしているため、シリーズタイトルを狙うクルーにとっては絶好のチャンスが訪れた。

そのひとりが、山口貴利/山田真記子組(ダイハツ・ストーリア×4)だ。シリーズポイント2位の山口は、葛西とのポイント差を埋めるには絶好のチャンス。デイポイントも奪いフルポイントをマークすると、ラリー北海道の結果次第では逆転も可能という状態だ。

だが、その山口にアクシデントが襲う。SS1でベストタイムを奪った山口だが、SS2の7km地点でミッションが3速にスティックした状態のままとなり、万事休す。それでも「3速のままスタートして、加速するまで30秒ぐらいかかるけど、そこからはそこそこ速かったと思う(笑)」と言うように好タイムを連発し、終わってみれば3位入賞という結果を残した。

第5戦モントレーで優勝した篠原正行/鶴田邦彦組(ダイハツ・ストーリア×4)がSS3でリタイアし、優勝争いは第1戦唐津優勝の小泉茂/小泉由起組(ニッサン・マーチSR)と第4戦洞爺優勝の松岡竜也/縄田幸裕組(ダイハツ・ストーリア×4)の2台に絞られた。デイ2に入ると、SSが終わる度に2台の順位が入れ替わるという大接戦となったが、最終SSで松岡が小泉を引き離し逆転。「また最後の最後で逆転ですわ。逆転の松岡と呼んでください(笑)」と笑う松岡が、今季2勝目を獲得した。

総合結果

出走35台/完走28台

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN4-1 勝田範彦/足立さやか ラック名スバルSTIDLインプレッサ 56:57.7
2 JN4-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 57:00.4
3 JN4-3 高山 仁/河野洋志 DL☆OF☆MOTY’S☆ハセプロランサー 57:28.2
4 JN4-4 福永 修/奥村 久継 ADVAN-PIAA 大西ランサー 57:32.6
5 JN4-5 石田正史/草加浩平 DL TEIN MARCHEランサー 58:09.3
6 JN4-6 柳澤宏至/中原祥雅 CUSCO ADVAN WRX-STI 58:20.2
10 JN3-1 眞貝知志/漆戸あゆみ メロンブックスDLテインBRIGインテ 59:47.4
16 JN2-1 川名 賢/小坂典嵩 TEAM SHOW TAKUMICRAFT ADVAN KYB VITZ 1:02:02.4
24 JN1-1 松岡竜也/縄田幸裕 KEY-BEAUTY.GOCHI ストーリア 1:05:24.9

注)JN4クラスは3000ccを超える車両、JN3は1500ccを超え3000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1は1400cc以下の車両(過給器つき車両は排気量×1.7で換算)

参考総合結果表: 2012_rd06(Excel) 2012_rd06(PDF)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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