モントレー2013 in 群馬

開催日時:7月26~28日
開催場所:群馬県渋川市
スペシャルステージ本数:15本
スペシャルステージ総距離:78.787km
ラリー総距離:423.533km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1-ドライ&ウエット、デイ2-ドライ
ポイント係数:1.0

ラリー概要

 昨年2004年以来8年ぶりに全日本ラリーの1戦として復活したモントレーin渋川。開催地は昨年と同様、渋川市総合公園を中心とし、伊香保温泉にヘッドクオーターを設定。チームや選手のみならず、多くの観客も伊香保温泉街に集まり、街全体にラリーカーやファンのクルマが行き交うラリーの雰囲気たっぷりの週末となった。また、今年は新設ステージとして水上地方の群馬サイクルスポーツセンターも追加され、「モントレーin群馬」とさらにスケールを広げて、2年目の開催を迎えた。

 イベントも昨年に増して充実し、渋川市総合公園内では県内外の企業による出展ブースや自動車メーカーによるマシン展示なども実施。特に、スバルは2012年のニュルブルクリンク24時間レースでクラス優勝を果たしたWRX STI、インプレッサWRC、トヨタはカローラWRC、LFAといった本物のラリーカー/レースカーを会場に展示し、デモランやエンジン始動イベントなど、モータースポーツファンならずとも楽しめる様々な催しを行なった。

 コースはAkagi、Miyama、Harunaという3本の林道ステージの順走/逆走と、渋川市総合公園内のスーパーSSの順走/逆走、そして日曜日に群馬サイクルスポーツセンターの特設SSを設定し、全15SSのターマックラリーとして争われた。

 ところが、7月末のラリーウイークは全国的に大雨に見舞われ、前日の金曜日の深夜から渋川市周辺も激しい雷雨に見舞われた。その影響でデイ1の土曜日の路面は、あちらこちらに大雨が押し流した泥や石が散乱している状態。そのため、その土曜日も夕方からの雨によってやはり路面に泥が堆積。日曜日はなんとか晴れたものの、依然として路面は非常にマディな、全日本ラリーのターマック戦においてはかつてないほどの難コンディションとなった。

 また、イノベーションクラスながら、国内で初めて電気自動車によるラリーに挑戦したのが、自動車ジャーナリストの国沢光宏だ。日産リーフでの戦いは、航続距離と充電との戦いとなったが、各所で充電を繰り返し、コンペティティブな全日本ラリーの全行程を走破し、これからの可能性を示すことにもなった。

JN4クラス:奴田原文雄、今季2勝目をモントレー初勝利で飾る

 JN4クラスは、SS1から奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボX)が飛び出しリードを広げる。しかし、SS1のループとなるSS5で、勝田範彦/足立さやか組(スバルWRX STI)が1走目の自身のタイムを13秒アップするベストタイムをマークすると、続くSS6でも勝田がベストタイムで奴田原を逆転。2.4秒差でトップに立つ。ギャラリーステージで奴田原が差を縮め、勝負は残る3つの林道に。

 ところがこのタイミングでSSに大雨を伴う雲が流れ込み、選手によって雨の影響に違いが現れた。SS9の半分くらいから雨に遭遇した奴田原はここでトップタイムをマーク。一方の勝田はスタート後すぐにゲリラ豪雨に見舞われ前がまったく見えない。結果としてこのSSだけで勝田は奴田原より13.5秒遅いタイムとなり、奴田原が首位に再浮上。このSSは選手権外で参戦するイノベーションクラスのマシンが上位に食い込むなど、雨がもたらした運によって大きくタイム差が開いてしまうこととなった。そして、デイ1最後のSS10は落雷の危険が高まったことから主催者はキャンセルを決定。デイ1を終えて首位奴田原、2番手勝田、3番手柳澤宏至/中原祥雅組(スバルWRX STI)の順となったが、柳澤は視界不良によりSSフィニッシュを見誤りオーバーラン。SSストップにバックで戻るというケアレスミスでまさかの失格。変わって石田正史/草加浩平組(三菱ランサーエボX)が3番手に浮上した。

 夜中まで降り続いた雨が上がったデイ2の日曜日は5本のSSを実施。群馬サイクルスポーツセンターの特設SSには、早朝からの開催にもかかわらず多くの観客が詰めかけ、復活したモントレーとして初めてのコースを堪能することができた。その2本のSS、そしてSS13、SS14も奴田原がトップタイムをマークし、最終的に24.6秒のリードをもって奴田原が新生モントレー2連勝となる今季2勝目を飾った。2位は最終SSで一矢報いた勝田、3位には石田が入った。

JN3クラス:横尾芳則、86でターマック初勝利

 JN3クラスは前戦洞爺でトヨタ86に乗り換えて初優勝を挙げた横尾芳則/木村裕介組、スバルBRZで初FRでのラリーに挑戦する鎌田卓麻/竹原静香組、86の三好秀昌/保井隆宏組の3台が序盤から首位争いを展開。やはり豪雨の影響が大きく、被害が最小限だった横尾が首位、SS8とSS9でゲリラ豪雨に見舞われた鎌田が大きくタイムを落とし、変わって三好が2番手に浮上する。この時点で首位横尾と2番手三好の差は30秒以上、三好と鎌田の差も11秒だ。

 結局、デイ2もこの差を守って最後まで完走を果たした横尾が2連勝を決めた。2番手争いでは鎌田が三好を追いつめ、SS13を終えてその差を3.2秒まで縮めたものの、SS14のギャラリーステージで鎌田が痛恨のミスに寄りタイムロス。2位三好、3位鎌田の順で、86&BRZというFRマシンが表彰台を独占した。

JN2クラス:石田雅之が悪天候のなかベテランの貫禄で勝利

 JN2クラスは、ポイントリーダーの川名賢/小坂典嵩組(トヨタ・ヴィッツRS)が序盤から大きくリードし、それをマツダ・デミオの岡田孝一/漆戸あゆみ組、チャンピオンの天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィツRS G’s)が追う展開に。しかし中盤のSS6あたりから川名と同じマシンを駆る群馬県出身のベテラン、石田雅之/遠山裕美子組(トヨタ・ヴィッツRS)がじわじわとタイムを縮め、雨のSS9で総合でも6番手タイムというスーパーベストをたたき出した石田がデイ1を終えて首位に立つ。同じく雨を味方につけたかった天野はSS8でゲリラ豪雨のなか必死にプッシュしたものの、ファイナルギヤが壊れてリタイアとなってしまった。

 デイ2でも激しいトップ争いを繰り広げた石田と川名だったが、最終SSで川名が遅れてしまったことで、石田が久々の全日本ラリー優勝。2位川名、3位岡田というリザルトになった。

JN1クラス:JN1唯一のFR、RX-8で難波巧が勝利

 JN1クラスは、序盤こそ中西昌人/北川紗衣組と松岡竜也/縄田幸裕組のダイハツ・ストーリア勢が首位争いを展開するが、SS6でマツダRX-8を駆る難波巧/石下谷美津雄組が逆転、首位に浮上する。2番手は松岡だが、実はSS1で3速と4速のギヤが壊れた状態での走行を強いられていた。3番手には脱落した中西に代わり鷲尾俊一/内田園美組(ダイハツ・ストーリア)が浮上する。

 デイ2に入ると松岡が少しずつ難波とのタイムを縮めていくものの、すでに開いた差を巻き返すまでには至らず、難波がRX-8での初優勝を遂げた。2位は松岡、3位には鷲尾が入賞を果たした。

総合結果

出走51台/完走41台

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN4-1 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 57:45.2
2 JN4-2 勝田範彦/足立さやか ラック名スバルDLWRXSTI 58:09.8
3 JN4-3 石田正史/草加浩平 DL テイン マルシェ ランサー 59:29.5
4 JN4-4 高山 仁/河野洋志 NENC IMMENS DLインプレッサ 1:00:18.1
5 JN4-5 吉澤哲也/井手上達也 加瀬eレーシングADVAN Evo X 1:01:08.5
6 JN4-6 福永 修/奥村久継 ハセプロCL☆DLインプレッサSti 1:01:30.5
8 JN3-1 横尾芳則/木村裕介 GAZOOラック86 1:03:32.9
10 JN2-1 石田雅之/遠山裕美子 M-QUAD ADVANヴィッツ 1:04:29.6
24 JN1-1 難波 巧/石下谷美津雄 安斉自工 レイル ADVAN RX-8 1:07:55.4

注)JN4クラスは3000ccを超える車両、JN3は1500ccを超え3000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1は1400cc以下の車両(過給器つき車両は排気量×1.7で換算)

参考総合結果表: 2013_rd05(PDF)  2013_rd05(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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