第49回大阪電通大チャリティラリー
丹後半島ラリー2013

開催日時:8月23日(金)~25日(日)
開催場所:京都府京丹後市
スペシャルステージ本数:13本
スペシャルステージ総距離:103.83km
ラリー総距離:346.39km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1-ハーフウエット~ドライ、デイ2-ヘビーウエット~ドライ
ポイント係数:1.2

ラリー概要

 昨年全日本に昇格し、今年で2回目の開催となる丹後半島ラリーは、昨年と同様に京丹後市をホストタウンとし、丹後半島を縦断するターマック林道を舞台に戦われる。

 2日間に渡り5つのセクションに分けられたラリーは、昨年もこのラリーで使用した奥寄線(4.52km)を2ループ、今年初登場となる成相線(8.37km)を5ループ、丹後森林公園のスイス村にギャラリーステージを設けた角突山線(9.56km)を5ループ、最も海岸線に近く、ステージから天橋立を望むことができる大内線(5.14km)を1ループするという設定だ。

 昨年は、2車線林道を多用したために国内屈指のハイスピードターマックラリーと称されたこのラリーだが、今回新設された深い森の中を走る成相線はツイスティなコーナーが連続するテクニカルセクションとなった。さらにラリー前日に襲ったゲリラ豪雨の影響が路面に残り、木の枝や枯葉、泥などがコース上に散乱しているという状況だ。また、ギャラリーステージの角突山線も、今年は昨年の逆走で使用し、下り主体のステージとなる。さらに、昨年よりも距離が長くなったため、ステージの中に2車線と1車線区間が混在するという状況だ。そのため、昨年よりもステージの平均スピードは落ち、テクニカルセクションが多いという新たな一面をみせるステージ構成となった。

 昨年は最高気温が35度を超える酷暑のなかで戦われたこのラリーだが、今年は前線を伴う低気圧が西日本を中心に通過したため、ラリー会期中の丹後半島の天候も、突然ゲリラ豪雨が降り出すという不安定な天候となった。第5戦のモントレーと同様、この変わりやすい天候をどう読むかも、勝敗の行方を大きく左右する一因となった。

 また、第5戦でイノベーションクラスに出場した電気自動車の日産リーフが、今回はJN1クラスに出場。選手権クラスでどのような走りを見せるか、関係者の注目を集めた。

JN4クラス:奴田原文雄が第5戦に続きターマック戦を連取

 デイ1の朝の天候は薄曇りという状況。だが、前日の夜にはたっぷりと雨が降ったこともあり、ステージはウエット路面が予想される。問題は2ループ目以降の天候で、雨が降ってウエット路面のままなのか、それとも雨が降らずにドライ路面になるのかによって、タイヤ戦略は異なってくる。今回のラリーに使用できるタイヤの最大本数は12本。どのようなローテーションで戦うのか、各陣営のタイヤチョイスが注目された。

 そのなか、ドライ路面を想定して固めのコンパウンドで挑んだ勝田範彦/足立さやか組(スバル・インプレッサ)が、路面が乾いたSS1奥寄線で奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボX)に対し0.7秒差のベストタイムをマークし、オープニングステージを奪う。だが、SS2成相線とSS3角突山線の路面はウエット状態。この2本でウエット路面を想定して柔らかめのコンパウンドを選択した奴田原は逆転に成功。勝田に対し8.0秒差のマージンを築き、セクション1を終える。一方、シリーズポイント3番手の柳澤宏至/中原祥雅組(スバル・インプレッサ)はタイヤバースト&ブレーキトラブルを抱え、セクション1を終えた時点でクラス11番手に後退。クラス3番手に付けるシリーズポイント4位の石田正史/草加浩平組(三菱ランサーエボX)も、ペースノートが合わずトップから23.9秒差の3番手と、早くも奴田原VS勝田の様相となってきた。

 セクション2以降は、「雨が降らない」と予想した勝田がドライ路面でベストタイムを連発し、トップの座を奪取することに成功。一方、セクション2もウエット用のタイヤで挑んだ奴田原は、デイ1のSS8角突山を終えて9.1秒差の2番手に付け、デイ1を終える。

 迎えたデイ2。天候の読みが難しく、勝田はどちらにも対応できるようにとフロントにドライ、リヤにウエットタイヤを選択。奴田原は前後ともウエット用タイヤで挑む。この日のステージは、デイ1と同じく前日深夜に降った雨の影響により路面はハーフウエット状態。だが、この日最初のSS9大内線のスタート直前に降り出したシャワーのような雨が、勝敗を決める結果となった。このステージで、暴れるマシンをなんとか抑え込みながらフィニッシュを目指した勝田だったが、ステージゴール間際で痛恨のスピン。ここで14秒タイムをロスし、奴田原の逆転を許す。その後、雨はやむものの、ウエット路面で好タイムを連発した奴田原がトップの座を守り切りゴール。今季3勝目を挙げるとともに、第5戦に続くターマック2連勝を飾った。また、3位には「上位とのタイム差は大きいが、ミスなく最後まで走りきることができた」と高山仁/河野洋志組(スバル・インプレッサ)が入賞した。

JN3クラス:横尾芳則が今季3勝目をマーク

 JN3クラスは、デイ1序盤から波乱の展開となった。SS3を終えて山口清司/島津雅彦組(トヨタ・カローラレビン)がトップに立つものの、ラリーパークで「手足が痺れ出し、立っているのも辛い状況だった」と体調不良を訴えリタイア。僅差で山口と勝負していた三好秀昌/竹下紀子組(トヨタ86)も、SS6で「ブレーキングポイントにギャップがあり、クルマが浮いた状態でブレーキをかけてしまった」とアウト側の壁にクラッシュしリタイアと、トップに立った選手が次々と戦線離脱してしまう。

 そのなかで、トップ争いを演じたのが横尾芳則/船木一祥組と曽根崇仁/桝谷知彦組のトヨタ86の2台だ。特に、これまで横尾、三好らに水をあけられることが多かった曽根だが、「今回はクルマのセッティングは以前のままなんですが、走り方のイメージを変えてきました。走り方でこんなにタイムが変わるとは、自分自身でも驚いています」と、トップの横尾に18秒差でデイ1を折り返す。

 だが、デイ2はソフトコンパウンドのタイヤを選択してウエット路面に挑む横尾に対し、「ウエット用のタイヤをデイ1ですべて使い切ってしまった」という曽根は、ドライタイヤで挑んだデイ2のタイムが上がらず、逆に4番手のポジションから猛追してくる香川秀樹/浦雅史組(ホンダ・インテグラ)に、一時は2.3秒差にまで追い上げられるという展開となった。

 だが、最終的には曽根が逃げ切り2位のポジションをキープしてフィニッシュ。香川が3位に入賞し、デイ2はライバル不在となった横尾が、危なげない展開で今季3勝目を挙げる結果となった。

JN2クラス:天野と川名が好勝負を展開

 ラリー序盤はシリーズポイントトップの川名賢/小坂典嵩組(トヨタ・ヴィッツRS)とシリーズ2位の天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィッツRS G’s)とがトップを奪い合う展開となったが、「ファイナルギヤをノーマルに戻したことが、結果的にはコースにも合っていたと思う」と言う天野が川名に対し2.8秒差という僅差でデイ1を折り返す。

 一方、デイ1では「給油所で燃料の量をギリギリに調整したつもりが、思ったよりも燃費が悪く、最終SSはガス欠症状が出てしまった」という川名は、ウエット用タイヤで挑んだデイ2で反撃開始。最も路面の荒れたSS12では総合7番手、天野に対しては9.6秒差というスーパーラップをマーク。天野を3.1秒逆転してトップに立つ。だが、ラリーは最後まで分からない。ウエット路面ではドライ用タイヤに対し圧倒的なグリップ力を発揮するウエット用のタイヤも、ドライ路面では消耗が激しくグリップが低下するという一面も持ち合わせる。最終SSの路面コンディションはドライ。状況を冷静に判断した天野は、最終SSを総合9番手のタイムで走りきり川名を再逆転することに成功。デイ1から続いた天野と川名の僅差の勝負は、天野に軍配が上がる結果となった。また3位には、デイ1の最終SSでショックが折れるというトラブルに遭いながらも、最後まで走り切った岡田孝一/漆戸あゆみ組(マツダ・デミオ)が入賞した。

JN1クラス:難波巧が2連勝、リーフが3位に入賞

 電気自動車の日産リーフが出場したJN1クラス。気になる充電方法は、公式通知で給油所とサービスパークでの充電を認めると公示され、給油所以外での充電もJAFの承認を受けている。

 ラリーは、第5戦優勝の難波巧/石下谷美津雄(マツダRX-8)がデイ1最終のSS12を終えてトップに立つが、開幕戦優勝の小泉茂/小泉由紀組(日産マーチ)が19.8秒差の2番手、「SS2でパワーステアリングが壊れ、ずっと“重ステ”の状態」という疲労困憊の鷲尾俊一/内田園美(ダイハツ・ストーリアX4)がトップから23.9秒差の3番手、「上り坂のステージが多いため電気の消耗が激しく、SS1からアクセルを全開にできない」という国沢光宏/木原雅彦組(日産リーフ)が、SS2で中西昌人/北川紗衣組(スズキ・スイフト)がリタイアしたこともあり、4番手に付ける。

 だが、デイ1の最終サービス終了後のパルクフェルメに、時間を勘違いした小泉が12分の遅着ペナルティを受けて3番手に転落。優勝争いは難波と鷲尾の2台に絞られた。

 デイ2に入っても“重ステ”に悩ませられる鷲尾に対し、「ほとんどノートラブルでした」という難波がベストタイムを連発し、第5戦に続き2連勝。2位には鷲尾が入賞した。また3位は、小泉がSS12でコースオフし大幅にタイムロス。そのため国沢が3位に浮上し、AE車両が全日本で初の表彰台に登るという結果となった。

総合結果

出走40台/完走31台

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN4-1 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:22:41.3
2 JN4-2 勝田範彦/足立さやか ラック名スバルDLWRXSTI 1:22:48.8
3 JN4-3 高山 仁/河野洋志 NENC IMMENS DLインプレッサ 1:24:22.9
4 JN4-4 福永 修/奥村久継 ハセプロCL☆DLインプレッサSti 1:25:11.7
5 JN4-5 柳澤宏至/中原祥雅 CUSCO ADVAN WRX-STI 1:25:47.9
6 JN4-6 田邉 亘/黒木崇史 DL國盛ランサー 1:26:29.9
9 JN2-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・ラック・DLヴィッツG’s 1:27:48.1
11 JN3-1 横尾芳則/船木一祥 GAZOOラック86 1:28:14.5
23 JN1-1 難波 巧/石下谷美津雄 安斉自工 レイル ADVAN RX-8 1:34:06.0

注)JN4クラスは3000ccを超える車両、JN3は1500ccを超え3000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1は1400cc以下の車両(過給器つき車両は排気量×1.7で換算)

参考総合結果表: 2013_rd06(PDF)  2013_rd06(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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