第41回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2013

開催日時:10月13日(金)~15日(日)
開催場所:岐阜県高山市周辺
スペシャルステージ本数:10本
スペシャルステージ総距離:84.50km
ラリー総距離:419.12km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1/ドライ一部ウエット、デイ2/ドライ
ポイント係数:1.0

ラリー概要

 全日本ラリー選手権の第8戦の舞台は岐阜県高山市。「ラリーハイランドマスターズ」の名のとおり、高山市周辺の山々を使用したターマックラリーである。今年で41回目を数え、国内ラリーのなかでも長い歴史を誇る1戦として知られている。前戦ラリー北海道から2週間、最終戦新城ラリーまでも2週間というタイトなスケジュールでの開催とあって、参戦台数はやや減少。それだけにポイント獲得の大きなチャンスともなった。

 冬はスキー場としてにぎわうモンデウス飛騨位山からセレモニアルスタートで送り出されたラリーカーは全部で40台。内訳は、JN4クラスが9台、JN3クラスが7台、JN2クラスが14台、JN1クラスが5台、そしてオープンクラスが5台となっている。

 今年の戦いは、初日の12日(土)にツイスティな駄吉下り(6.16km)、2車線の道を使用する大山線(5.54km)、この日最長となる緩やかなアップダウンを含む牛牧上り(8.52km)の3カ所を2回ずつ走行する6SS、13日(日)にはアップダウンが激しく狭い鳥屋(6.41km)と今大会最長ステージとなる牛牧→無数河(15.63km)を2回ずつ走る4SSを設定。12日の牛牧上りと13日の牛牧→無数河にはギャラリーステージも設けられた。平均速度は80km/hを超えるという、ハイスピードターマックラリーだ。

 前戦ラリー北海道ではJN2クラスのみチャンピオンが確定しているが、それ以外はここハイランドマスターズと新城ラリーのターマック連戦で決着がつくことになる。

JN4クラス:勝田範彦、全SS制覇で完勝

 前戦ラリー北海道の最終SSで、まさかのバーストにより優勝を逃した奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)と、優勝を果たした勝田範彦/足立さやか(スバル・インプレッサ)によるチャンピオン争いが白熱しているJN4クラス。ここ高山ラウンドはその直接対決の場となり、初日から激しいバトルが展開されることが予想された。

 しかしまたもや奴田原を悪夢が襲う。路面の脇に枯れ葉が積もり、やや濡れて滑りやすいコンディションの中で始まったSS1。トップスタートの奴田原は2.3km地点で左リヤから壁にクラッシュ。前後のサスペンションを壊してリタイアに見舞われてしまう。次戦に懸けるために奴田原はデイ2でのラリー復帰を断念。最終戦では優勝に加えて、デイポイントを2日間とも獲得する必要があるという厳しい条件となった。

 これで楽になったはずの勝田だったが、奴田原のクラッシュ現場を見て動揺を隠せない。特に今回はキャロッセの柳澤宏至(スバル・インプレッサ)や石田正史(三菱ランサーエボリューションX)といった有力選手が出場を見合わせていることもあって、「緊張の糸が切れてしまって、モチベーションを維持するのが大変でした」と勝田。しかし「セクション2からは昨年の自分のSSタイムを参考にして走った」ことで下位をまったく寄せ付けない快走を見せ、終わってみれば10カ所のSSすべてでトップタイムをマークするという異次元の走りで、今季4勝目をマーク。勝田には及ばなかったものの、3位以下も1分以上引き離した高山仁/竹藪英樹組(スバル・インプレッサ)は2位。3位は2012年のJAF中部・近畿ラリー選手権チャンピオンの横嶋良/木村裕介組が旧型のGDBインプレッサで健闘。表彰台をインプレッサが独占した。

JN3クラス:横尾芳則が86で初のチャンピオン獲得

 JN3クラスはデイ1序盤からベストタイムを連発して抜け出した横尾芳則/永山聡一郎組(トヨタ86)を、山口清司/島津雅彦組(トヨタ・カローラレビン)が追う展開。午後のセクションに入ると曽根崇仁/桝谷知彦組(トヨタ86)が追い上げるもスピンでタイムロスを喫して遅れてしまう。

 デイ2に入っても横尾は安定したタイムで走行。山口もSS9、SS10でベストタイムをマークするが届かず、横尾が今季4勝目を挙げるとともに、2013年のJN3クラスチャンピオンを獲得した。「今季は優勝することと、シリーズチャンピオンが目標でした」と横尾。2位はエンジンが吹けないトラブルを抱えながらも「マシンに自分を合わせることができた」と語る山口。「ターマックのセッティングはいい方向に向かっている」という曽根が3位を獲得した。

JN2クラス:新型の天野智之が旧型の石田雅之を下す

 JN2クラスも序盤から波乱の展開。前戦でチャンピオンを決めた川名賢(トヨタ・ヴィッツRS)がドライブシャフトを破損してリタイア。ラリーは天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィッツRS G’s)と石田雅之/遠山裕美子組(トヨタ・ヴィッツRS)による新旧ヴィッツ対決となった。序盤は天野がリードを広げるが、午後のリピートステージで石田が挽回。デイ2はツイスティで狭いSS7/9は石田が制するが、ハイスピードなSS8/10で天野が差を広げて優勝を果たした。「重量面で不利なNCP131型ヴィッツだが、SS8/10ではラインを見つけることができた」と最後までバトルを繰り広げた。

JN1クラス:RX-8対決は中村晃規が全日本初勝利

 JN1クラスは、マツダRX-8の難波巧/石下谷美津雄と中村晃規/藤原直樹組による対決。今季2勝を挙げている難波をSS1から中村がベストタイムでリード。デイ1は1秒以内の僅差でベストタイムを獲り合う好勝負が続く。デイ2のSS8で難波が中村を7秒上まわるベストタイムをたたき出すが、最終SSで中村が難波を18秒突き放すタイムで優勝を決めた。全日本出場は10年ぶり4回目にして、中村は初優勝となった。

 チャンピオン争いは松岡竜也/縄田幸裕組(ダイハツ・ストーリアX4)と、鷲尾俊一/安東貞敏組(ダイハツ・ストーリアX4)の2台。松岡が3位、鷲尾が4位で松岡がリードを守った。

総合結果

出走40台/完走30台

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN4-1 勝田範彦/足立さやか ラック名スバル DL WRX STI 1:00:20.2
2 JN4-2 高山 仁/竹藪英樹 NENC IMMENS DLインプレッサ 1:01:22.8
3 JN4-3 横嶋 良/木村裕介 DL・KYB・NETインプレッサ 1:02:54.0
4 JN4-4 吉澤哲也/井手上達也 加勢eレーシング ADVAN EvoⅩ 1:03:15.1
5 JN4-5 今井 聡/田中直哉 NENC IMMENS DLランサー 1:03:51.6
6 JN3-1 横尾芳則/永山聡一郎 GAZOOラック86 1:04:29.6
8 JN2-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・ラック・DLヴィッツG’s 1:05:22.1
11 JN1-1 中村晃規/藤原直樹 空研ニシオガレージRX-8 1:05:57.5

注)JN4クラスは3000ccを超える車両、JN3は1500ccを超え3000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1は1400cc以下の車両(過給器つき車両は排気量×1.7で換算)

参考総合結果表: 2013_rd08(PDF)  2013_rd08(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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