第42回M.C.S.C. ラリーハイランドマスターズ2014

開催日時:10月17日(金)~19日(日)
開催場所:岐阜県高山市
スペシャルステージ本数:10本
スペシャルステージ総距離:69.82km
ラリー総距離:361.99km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1/ドライ、デイ2/ドライ
ポイント係数:1.0

ラリー概要

岐阜県高山市を中心とした地域で開催されるラリーハイランドマスターズは今年で42回目。全日本ラリー選手権の中で最も長い歴史を誇るターマックラリーだ。

セレモニアルスタートはモンデウススキー場で行われ、1台ずつのマシンがギャラリーに見送られながら、SS総距離約70kmに及ぶ戦いに向かっていった。

デイ1は、2SS走行→サービス──を3回繰り返す6SSを実施。1回目は高低差が大きくテクニカルな「駄吉」の上りと「アルコピア-無数河」、2回目はその順番を逆にした組み合わせ、そして最後は「牛牧下り」を2回ループする。最終のSS6は1号車が18:28スタートのナイトステージとなった。いずれのSSも6km弱と比較的短めだ。

対してデイ2は、約9.7kmの「あたがす」とデイ1でも使用した約6kmの「アルコピア-無数河」を、サービスを挟んで2回走行。最後は正午前後にモンデウススキー場でフィニッシュセレモニーを行った。

チャンピオン争いは、すでに前戦ラリー北海道でタイトルを決めているのがJN5クラス、JN3クラス、JN1クラスの3クラス。残るクラスも展開次第ではこの高山ラウンドで確定する線が濃厚となっており、まさに高山が今季の天王山となった。

JN6クラス:勝田範彦が全SS制覇も、奴田原文雄がタイトル奪取

勝田範彦(スバルWRX STI)と奴田原文雄(三菱ランサーエボリューションX)が接戦を演じたJN6クラスは、ラリー自体は勝田が圧倒的な速さを見せてベストタイムを連発。最後まで気を許すことなく走行し、10カ所のSSすべてでベストタイムをマークするという快挙を達成した。しかし、対する奴田原は勝田の優勝にかかわらず、自身の順位=ポイントによってはチャンピオンが決定する。

初日を終えて、奴田原は勝田から26秒遅れの2番手につけたが、SS走行後の夜のサービスで違和感を感じたタービン交換を実施。しかしTCに3分遅れたために30秒ペナルティを受け6番手に後退してしまう。デイ2の残りSSは4カ所しかないが、SS9で5番手を走行していた福永修/中島亜希子(スバルWRX STI)のスピンにより奴田原が5番手に浮上しそのままフィニッシュ。さらに、デイごとの上位3位までに与えられるデイポイントで1点を追加し、わずか0.4点差で久々のチャンピオンに返り咲いた。2位は新井敏弘/竹下紀子(スバルWRX STI)、3位は高山仁/河野洋志(スバルWRX STI)、4位は新井大輝/漆戸あゆみ(スバルWRX STI)が全日本戦で自身最上位をマークした。

JN5クラス:フォーミュラレーサーの勝田貴元が初優勝

JN5クラスは、全日本F3選手権に参戦中の勝田範彦の息子、貴元がトヨタ86でスポット参戦。すでにチャンピオンを決めている鎌田卓麻を抑えてベストタイムを連発し、全日本ラリー初優勝を果たした。2位は鎌田卓麻/市野諮(スバルBRZ)、3位はJN3チャンピオンを獲得し、今回トヨタ・ヴィッツGRMNターボを初めてJN5クラスに投入した天野智之/井上裕紀子が入賞。以下、4位に香川秀樹/浦雅史(ホンダ・シビックタイプR)、5位に上原利宏/佐瀬拓野(ホンダ・シビックタイプR)、6位に曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)という順だった。

JN4クラス:竹内源樹が3勝目でJN4クラス初チャンピオンに

ノーマルに近いRPN車両で戦うJN4クラスは、第2戦〜第4戦と第7戦が不成立となったため今季4戦目。しかし今季優勝を果たしている竹内は思うようにタイムが伸びず2位どまり。第2戦で優勝を挙げている平塚忠博/鈴木尚もSS2を終えたところでマシントラブルによりリタイアとなってしまった。

変わって上位に浮上したのが、佐藤隆行だ。佐藤は2012年の全日本ダートトライアル選手権N3クラスチャンピオンであり、今季全日本ジムカーナ選手権のPN3クラスにトヨタ86で挑戦している。その佐藤にとってラリーは初挑戦ながら、持ち前のテクニックで初めてのラリーを制して見せた。竹内は2位に入り、JN4クラス初のチャンピオンとして名を残した。

JN3クラス:岡田孝一が今季初優勝

チャンピオン天野がJN5クラスに挑戦したため、JN3クラスには岡田孝一、石川昌平らの常連組に加えて、モントレーで頭角を現した伊藤隆晃や内藤学武ら新鮮な面々による勝負となった。

デイ1をリードしたのは岡田だ。4つのSSでベストタイムをマークし、リードを広げる。2番手には約9秒差で伊藤、3番手に伊藤から23秒離れて石川がつける。デイ2に入っても岡田は2カ所でベストタイムをマークし、今季初優勝を遂げた。2位には伊藤、3位に石川が入った。以下、4位はデイ2で2本のベストタイムをマークした内藤、5位に藤田幸弘/藤田彩子(マツダ・デミオ)が入賞した。

JN2クラス:高橋悟志が2勝目、タイトルは田中伸幸の手に

1600ccまでのRPN車両で争われるJN2クラスは、オープニングから高橋悟志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツRS)がリード。SS7とSS9以外はすべてベストタイムという走りで2勝目を挙げた。2位には田中伸幸/藤田めぐみ(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、JN2クラス初代チャンピオンとなった。3位には濱岡卓也/美細津正(プロトン・サトリアネオ)が入った。

JN1クラス:中村晃規がターマック負けなしの4勝目を獲得

中西昌人/美野友紀(ダイハツ・ストーリアX4)が2010年以来のチャンピオンに決まっているJN1クラスは、デイ1で5回、デイ2で4回のベストタイムを刻んだ中村晃規/古川智崇(マツダRX-8)がターマック負けなしの4勝目をマーク。2位に中西、3位には鈴木隆司/佐竹尚子(ダイハツ・ストーリア)が手にした。

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 勝田範彦/足立さやか ラック名古屋スバルDLWRXSTI 51:44.4
2 JN6-2 新井敏弘/竹下紀子 アライモータースポーツWRX-STI 52:25.0
3 JN6-3 高山 仁/河野洋志 NENC IMMENS DLインプレッサ 52:36.8
10 JN5-1 勝田貴元/永山聡一郎 ラックGR86 54:58.9
14 JN1-1 中村晃規/古川智崇 DL・KYB・NETracingRX-8 56:27.0
18 JN4-1 佐藤隆行/鈴木 裕 DLスムースジャパンMoty’sBRZ 57:15.0
24 JN3-1 岡田孝一/石川美代子 カマタスポーツDLキーストーンデミオ 58:11.5
32 JN2-1 高橋悟志/箕作裕子 ミツバWMDLラックマジカル冷機ヴィッツ 1:01:36.8

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: 2014_rd08(pdf) 2014_rd08(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2014年 全日本ラリー選手権 第8戦 高山

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