ツール・ド・九州2016 in 唐津 Supported by Sammy

開催日時:4月8日(金)〜10日(日)
開催場所:佐賀県唐津市
スペシャルステージ本数:14本
スペシャルステージ総距離:69.23km
ラリー総距離:323.25km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0

全日本ラリー開幕戦「ツール・ド・九州2016 in 唐津 Supported by Sammy」は、勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が逃げ切り、2006年以来続く開幕11連覇を達成した。

ラリー概要

クラス区分の変更、ターマック用タイヤの規則改定など、新たなレギュレーションで迎えた2016年全日本ラリー開幕戦の初日は、「SS黒木平」、「SS林の上」、「SS三方」というこのラリーではおなじみの林道ターマックSSをサービスを挟み2ループしたあと、「SS黒木平」と「SS林の上」をさらに走行するという8SS(SS総距離41.99km)が設定された。

デイ1

レッキ日の前日に暴風雨が襲い、落ち葉や折れた木の枝が散乱するという難しい路面コンディションとなったが、SS1はこの開幕戦で10連覇を達成している勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)がベストタイムをマーク。その後もSS2、SS3でもベストタイムを重ね、早くも2位の奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)に14.9秒の差を付け、最初のサービスに戻ってくる。

その後も勝田はSS4でベストタイムを重ね、トップの座を確かなものとするが、2番手以降は大混戦の様相となる。SS4は、3番手タイムをマークした福永修/竹原静香(三菱ランサーエボリューションⅩ)が2位に浮上。福永はその後もSS5〜7まで3連続ベストタイムをたたき出し、トップの勝田に15.9秒差まで詰め寄る。一方、勝田もこの日の最終SSとなるSS8で応酬し、福永との差を17.0秒に拡大。「タイヤの銘柄や使用本数が変わったことでタイヤマネージメントが難しくなり、セーブしなければならないシーンもあり、あまり気持ち良くは走ることができなかった。初日はトップで折り返すことができたけれど、2日目も難しい戦いが続くと思う」と、慎重なコメントを残した。2位の福永は、「少しずつセットアップをし直して、だんだん走りやすくなったけれど、まだ行ける余力はあると思う。2日目も気を抜かず、やれるだけのことはやりたい」と、2日目の逆転を狙う。3位には、SS4から追い上げを図った鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)が付けている。

プジョー208 R2や、シトロエンDS3 R3 MAXなど、新たなニューカマーが加わったJN5クラスは、昨年の開幕戦を制した眞貝知志/安藤裕一(アバルト500ラリーR3T)が、初日すべてのSSでベストタイムをマーク。「僕たちはこのクルマで3年目。熟成が進んでいることがアドバンテージになりました」と、初日だけで2位に1分8秒6という大差を付ける速さをみせた。2位には、「初日を無事に走り切ることができたけれど、まだまだやるべきことがたくさん浮き出てきました」という柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208 R2)が、2位と6.5秒差の3位には「前半はこのクルマのデビュー戦ということもありペースを抑えましたが、中盤からはライバルに勝るタイムで走ることができました」という関根正人/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3 MAX)が付けている。

SS1から僅差の勝負となったJN4クラスは、昨年のJN4クラス(現行のJN2クラス)チャンピオンを獲得した石川昌平/石川恭啓(トヨタ86)が、SS4〜8までベストタイムを連発。2位の山口清司/島津雅彦(トヨタ86)に4.0秒差のトップで初日を折り返した。3位には、2位の山口から10.1秒差で曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)が付けている。

昨年のJN5クラスチャンピオンの天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)と、JN3クラスチャンピオンの岡田孝一/菅野総一郎(マツダ・デミオ)との戦いとなったJN3クラスは、8SS中7SSを制した天野がトップ。SS7でベストタイムをマークした岡田が2位という展開だ。

JN2クラスは、JN5クラストップの眞貝と同様に初日すべてのSSでベストタイムをたたき出した小濱勇希/馬場雄一(スバルBRZ)がトップ、9台がエントリーしたJN1クラスは、新型デミオ15MBを投入した松原久/和田善明が初日トップを奪った。

デイ2

前日のデイ1と同じく好天に恵まれたデイ2は、2本の林道ステージを2回、唐津市出身でトヨタ2000GTをデザインした野崎さとる氏の名前が冠されたギャラリーステージの「SSS野崎さとる2000GT」を2回走行する6SS(27.24km)が設定された。

JN6クラスは、この日最初のSSとなるSS9で、初日トップの勝田がベストタイムをマーク。その後はSS10とそのリピートステージとなるSS13を鎌田に、ショートステージのSS11と12を新井にベストタイムを譲るものの、SS13でこの日2回目のベストタイムをマークし、初日からトップの座を一度も譲ることなく、開幕戦での連勝記録を11に伸ばした。

「2日目も順調に走ることができました。ラリー全体を振り返ると、とにかくタイヤが良くて安心して走ることができましたね。開幕戦の連勝という記録を気にせず、自分の走りに徹することができたのも、勝因だったと思います」と、ゴール後に語った勝田。石田とのコンビも2年目となり、盤石の構えで開幕戦を制した。

2位には、初日を終えた時点で10.9秒あった福永との差をSS13で逆転した鎌田が入賞。「10.9秒差をひっくり返して2位に入賞できて良かったです。だんだんとクルマの方向性が見えて、タイムを出せる走るができるようになったのが大きいと思います。今回のような走りが他のラリーでもできたら、タイトル争いに加われると思います」と、自信を覗かせるコメントを残した。3位には、最終SSとなるSS14でミッショントラブルに見舞われながらも、最後まで走り切った福永が入賞した。

JN5クラスは、オープニングのSS9からターボパイプが抜けるというトラブルに見舞われながらも、初日に築いた1分以上のマージンを活かし切った眞貝が優勝を飾った。「2日目は午前のセクションも午後のセクションもトラブルが発生してしまい、ほとんどNAの状態で走りましたが、なんとか逃げ切ることができてホッとしています。初日に最後まで気を緩めないで走ったことが、勝利につながりました」と眞貝。今シーズンは、イタリア国内選手権のローマ・ラリーにチャレンジするため、全日本はスポット参戦になるという。

2位争いは、この日3本のSSでベストタイムを奪った関根が、柳澤を激しく追い詰めるものの、柳澤もベストタイムは1本のみながら好タイムを連発して応酬。最後は関根がSSのスタートで2度エンジンストールしてしまったことも重なり、柳澤が初日のリードを守り切り2位に入賞した。一方、3位でフィニッシュした関根は、タイヤの残り溝が規定値を超えてしまい、ゴール後に失格の判定を受けた。そのため、3位にはプジョー208GTiの牟田周平/加勢直毅が繰り上がり入賞する結果となった。

JN4クラスは、初日トップの石川が、SS9で総合5番手のタイムをマークするなどこの日も好調をキープ。「2日目は、最初のループで2位に大差を付けることができたのが勝因だったと思います。自分でも、昨年と比べてレベルアップができたという実感があって、今回はそれを証明できたと思います」と自信を見せる石川。タイトル連覇に向け、好調なスタートを切った。2位には、「後半にペースが良くなってきたので、次に繋がると思います」という山口が入賞。3位には、「タイヤを最後まで持たせようと意識したことが、逆に考えすぎてペースが落ちてしまった」という曽根が入賞した。

JN3クラスは、初日トップの天野が、この日オープニングとなるSS9で右フロントタイヤをパンクさせ、岡田に9.1秒差まで詰め寄られるものの、その後は岡田との差を順調に広げ、優勝を飾った。2位には岡田、初日3位の戸塚和幸/木村悟士が、2日目もポジションを守り切り3位入賞を果たした。

JN2クラスは、初日すべてのSSを制した小濱が、この日も2本のSSを制する速さを見せ、全日本初優勝を飾った。「タイヤが最後までもつように運転できたことが良かったと思う」と、勝利を喜ぶ小濱。またひとり、全日本に20代のウイナーが誕生した。

僅差の勝負となったJN1クラスは、初日3位の三苫和義/引間知広(ホンダ・フィットRS)が、初日2位の小川剛/佐々木裕一(ホンダ・フィットRS)と初日トップの松原久/和田善明(マツダ・デミオ15MB)を捉え、逆転優勝を果たした。2位には松原、3位には全日本初挑戦の小川がそれぞれ入賞した。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 勝田範彦/石田裕一 ラックSTI 名古屋スバル DL WRX 58:25.6
2 JN6-2 鎌田卓麻/市野 諮 SYMS TEIN DL WRX STI 58:56.6
3 JN6-3 福永 修/竹原静香 オサムF・プラム・DLランサー 59:07.6
8 JN4-1 石川昌平/石川恭啓 ARTAオートバックス86 1:01:02.7
13 JN5-1 眞貝知志/安藤裕一 ABARTH500RallyR3T DL 1:02:21.4
15 JN2-1 小濱勇希/馬場雄一 YH フェイスクラフト BRZ 1:02:47.0
16 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS 1:02:54.8
25 JN1-1 三苫和義/引間知広 0Side1DLトップギアWMフィット 1:04:49.1

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2016年 全日本ラリー選手権 第1戦 唐津

イベントフォト

JN6クラス優勝 勝田範彦/石田裕一