久万高原ラリー Supported by Sammy

開催日時:4月29日(金)〜5月1日(日)
開催場所:愛媛県久万高原町
スペシャルステージ本数:13本
スペシャルステージ総距離:158.15km
ラリー総距離:309.98km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.5

全日本ラリー第2戦「久万高原ラリー supported by Sammy」は、勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が総合トップの座を一度も譲ることなく、開幕2連勝を達成した。

ラリー概要

ターマックラリーとしてはシーズンのなかで最長となる158.15kmのSSが設定された今回のラリー。デイ1は7SS(総距離89.41km)が、デイ2は6SS(総距離68.74km)が用意された。

デイ1

早朝から雲ひとつない快晴に恵まれたデイ1、オープニングステージとなるSS1/大谷I(4.95km)は、このラリーに新サイズのADVAN A08Bを投入した奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)がベストタイムをマーク。続くSS2/大川嶺リバースI(13.89km)でもベストタイムを重ね、2番手に付ける新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)に3.3秒差のトップに立った。だが、このラリー最長のステージとなるSS3/美川Ⅰ(23.39km)で、トップから3.8秒差の勝田が一気に逆転。奴田原を捉え2番手に浮上した新井に8.2秒差のトップに躍り出る。

その後も勝田は、SS4/大谷IIでこの日2本目のベストタイムを奪い、新井との差を9.1秒広げるが、「サービスでタイヤの特性に合わせてセッティングを変えた」という新井がSS5/大川嶺リバースIIでこの日初となるベストタイムを獲得。その後もSS6/美川II、SS7/大谷IIIを連取し、首位の勝田に2.3秒差まで詰め寄った。一方、SS3で順位を下げた奴田原は、2日目のステージを考慮してセクション2はタイヤを温存する作戦を展開し、初日はトップから20.7秒差の3位という結果となった。

JN5クラスは、SS1で関根正人/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3)が、SS2で柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208R2)がベストタイムというドッグファイトを展開したが、SS3で柳澤がタイヤを痛め大きくタイムロス。トップの関根から1分以上の差を付けられ、大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)にも抜かれ3位に順位を落とした。その後はSS4と7は関根、SS5と6は柳澤がそれぞれベストタイムを奪うが、初日は関根が首位、SS6で2位に返り咲いた柳澤がそのままポジションを守りきり2位、大倉が3位という結果で初日を終えた。

JN4は、開幕戦を制した石川昌平/石川恭啓(トヨタ86)が、このラリーでも初日7本のSS中5本のSSでベストタイムを奪う速さを見せ、SS5でベストタイムを奪い2位に付ける山口清司/島津雅彦(トヨタ86)に25.8秒差のトップに立った。3位には、ベストタイムはなかったもののコンスタントに好タイムをマークした横嶋良/木村裕介(スバルBRZ)が付けている。

JN3クラスは、開幕戦優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)が、初日すべてのSSでベストタイムをマーク。2位には、SS2で1速ギヤと2速ギヤを失うという苦しい展開となった岡田孝一/菅野総一郎(マツダ・デミオ)、3位にはRX-8の中西昌人/美野友紀が付けている。

JN1クラスは、昨年シリーズ2位の鈴木尚/鈴木裕(スズキ・スイフトスポーツ)が、2位の小川剛/佐々木裕一(ホンダ・フィットRS)に42.9秒差のトップで初日を折り返した。小泉茂/小泉由起(日産マーチNISMOS)と、松原久/和田善明(マツダ・デミオ15MB)とで激しく繰り広げられた3位争いは、午前のセクションでは小泉が3位に付けたが、午後のセクションで松原が小泉を逆転。松原が小泉に15.2秒差の3位で初日を終えている。

デイ2は、デイ1に設定されたSS美川の逆走となるSS神岡(6.00km)とSS西谷(14.32km)と、SS大川峰リバースの逆走となるSS大川峰(14.05km)をそれぞれ2回ループする68.74km。天候は初日と同じく晴れの予報が出され、ドライコンディションのなかで戦われることが予想される。今年から導入された新たなタイヤ規定がタイヤマネージメントにどう影響するかが、大きな焦点となりそうだ。
デイ2オープニングのSS8/神岡Iは9時13分、最終ステージとなるSS13大川峰IIは13時08分に1号車がスタートする予定だ。

デイ2

前日のデイ1と同じく好天に恵まれたデイ2は、強い日差しに照りつけられた路面の温度が上昇し、タイヤにとってさらに厳しい戦いが各クラスで展開された。6SS/68.74kmが設定されたこの日のラリーは、デイ1に設定されたSS美川をふたつに分けて逆走するSS神岡(6.00km)とSS西谷(14.32km)、SS大川峰リバースの逆走となるSS大川峰(14.05km)の3SSをそれぞれ2回ループする。

そのオープニングとなるSS8神岡1は、前日のSS5からベストタイムを連発し、首位の勝田に迫る新井がベストタイムを重ね、1秒差にまで迫る。だが、勝田もSS9(西岡I)、SS10(大川峰I)、SS11(神岡II)を奪い応酬、その差を8.9秒に広げた。しかし勝田と新井のふたりによるドッグファイトは、SS12(西谷II)で決着がついた。デイ2の最長SSとなるこのステージでなんとか巻き返しを図りたい新井だったが、SSフィニッシュの約2km手前で突然ストップ。クラッチトラブルにより無念のリタイアとなってしまった。ライバル不在となった勝田はSS12とSS13(大川峰II)を連取し、2位に浮上した奴田原に1分16秒1という大差をつけ、開幕戦に続く2勝目を獲得した。3位には、SS1でタイヤのパンクに見舞われながらも、その後の追い上げでポジションアップを果たした福永修/竹原静香(三菱ランサーエボリューションⅩ)が入賞した。

「長丁場のラリーで1秒を争う厳しい展開になったけど、最後まで全力で戦うことができるようにマシンを整備してくれたチームのみんなに感謝します」と、優勝の喜びを語る勝田。開幕戦に投入したニューマシンで価値ある2連勝を果たした。

関根と柳澤の2台のRR車両が初日の1-2を奪ったJN5クラスは、壮絶なサバイバル戦となった。デイ1で柳澤に1分以上の大差を付けた関根だったが、SS9(西谷II)のフィニッシュ直前で側溝に落ちた関根のマシンが突然出火。ほぼ優勝を手中にする展開となりながらも、無念のリタイアとなった。これで待望の首位に立った柳澤だったが、今度は最終SSの約4km地点で突然柳澤のマシンのエンジンがストップ。一度は息を吹き返し戦列に戻るものの、その後ふたたび同じ症状に見舞われ、こちらも無念のリタイアという結果となった。この2台のリタイアにより、大倉がドライバー、マシンともに全日本ラリー初優勝。2位には牟田周平/加勢直毅(プジョー208 GTi)、3位に大橋逸夫/藤上亘(MINIジョン・クーパー・ワークス)が入賞するという結果となった。

JN4クラスは、デイ1トップの石川がSS9でコースアウト。その後は山口と横嶋が1秒を争う好バトルを展開し、最終SSを前に横嶋が首位の座を掴むものの、最終SSで山口が横嶋を再逆転。4.7秒差で山口が今季初優勝を飾った。

JN3クラスは、デイ1トップの天野がこの日も快走。ライバルの追従を許さず、開幕戦に続き2連勝を飾った。1&2速ギヤを失いながらもデイ1を2番手で折り返した岡田は、傷ついたマシンでSS11までクラス2番手の座を守ったものの、SS12でリタイア。2位にはマシントラブルを抱えながらも最後まで走り切った中西が入賞した。

JN1クラスは、デイ1トップの鈴木が逃げ切り優勝。2位には小川、3位には追いすがる小泉を振り切った松原がそれぞれ入賞した。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 勝田範彦/石田裕一 ラックSTI 名古屋スバル DL WRX 2:08:22.0
2 JN6-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 2:09:38.1
3 JN6-3 福永 修/竹原静香 オサムF・プラム・DLランサー 2:11:12.2
6 JN4-1 山口清司/島津雅彦 jmsADVANエナペタル久與86 2:16:06.9
9 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS 2:19:25.4
10 JN1-1 鈴木 尚/鈴木 裕 スマッシュ DL itzzコマツスイフト 2:20:33.4
11 JN5-1 大倉 聡/豊田耕司 TGR Vitz GRMN Turbo 2:20:40.2

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2016年 全日本ラリー選手権 第2戦 久万高原

イベントフォト

JN6クラス優勝 勝田範彦/石田裕一