新城ラリー2017

開催日時:11月3日(金)〜5日(日)
開催場所:愛知県新城市
スペシャルステージ本数:14本
スペシャルステージ総距離:87.400km
ラリー総距離:337.531km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0

全日本ラリー選手権第9戦「新城ラリー2017」は11月3日(金)〜5日(日)の日程で行われ、勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)がデイ1で築いたリードを維持し続け、2年連続8回目の全日本タイトルを手にした。

デイ1

新城ラリーは、愛知県東部に位置する新城市を中心に開催されるターマックラリー。デイ1のSSは8本で、低速&テクニカルが連続する「雁峰北」と「ほうらいせん一念不動」、新城市の鬼久保ふれあい広場からハイスピードステージの本宮山スカイラインにつながる「鬼久保」、そして、ラリーの拠点となる新城総合公園に設定された「県営新城公園 Rev」を2回ずつ走行する51.564km。開催前から晴天続きではあるものの、林道ステージの一部は山から流れ出た水で部分的にウエット状態となる場所も多く、さらにラリーの前週と前々週に二度接近した台風の影響により、ステージには折れた木々や落ち葉が散乱している状況。また、急な天候の変化により一部のSSでは通り雨に見舞われるなど、例年以上に難しい路面コンディションのなかで今季最後の戦いが始まった。

勝田と新井のタイトル争いに注目が集まったJN6クラスは、オープニングのSS1で新井が勝田を5.1秒突き放すベストタイムをマークするが、SS2では勝田が新井に7.1秒差を付けるベストタイムでトップに立つ。だが、SS4で新井がトップを奪い返し、SS5で勝田が再びトップを奪うという手に汗握る展開となる。しかし、SS6で風の影響で折れた木の枝を避けた新井がタイヤをパンクさせ1分30秒近くロスして5番手まで後退。これで大きなアドバンテージを得た勝田はデイ1を首位で終えた。2番手には3カ所のSSでベストタイムを刻んだ奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)、3番手には福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューションX)がつける。福永とランキング4位を争っている鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)は、SS4でリヤタイヤをヒット、さらにSS6では新井と同じコーナーでまったく同じ状況となりパンクするなどして7番手となっている。

ドライバーズタイトルがかかっているJN2クラスは、明治慎太郎が序盤からベストタイムを連発し、総合でも8番手に食い込む速さを見せて圧巻の首位に立つ。2番手には鈴木尚/鈴木裕(スバルBRZ)が入り、ポイントリーダーの猪股寿洋/齋藤孝太(トヨタ86)は1分以上離れた3番手からチャンスを伺う。

JN5クラスは、小濱勇希/馬場雄一と川名賢/保井隆宏がシトロエンDS3 R3-MAXで今年最後のバトルを繰り広げた。そのなか、小濱はJN6クラスを射程にとらえる速さで5度のベストタイム獲得。総合4番手のクラストップに立つ。川名がクラス2番手、第5戦以来の出場となる眞貝知志/安藤裕一(アバルト500ラリーR3T)が3番手、ラリーRJ車両のプジョー208GTiで参戦した柳澤宏至/加勢直毅が4番手に付けている。

JN4クラスは、4カ所のSSでベストタイムを記録した山本悠太/藤田めぐみ(トヨタ86)が首位に立ち、すでに今季のチャンピオンを獲得した曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)に20秒以上のマージンを築いた。3番手は山口清司/山本磨美(トヨタ86)が付けている。

JN3クラスは天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)がシーズン全勝に向けてベストタイムを量産。SS5でベストタイムをマークして一矢報いた大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)が30秒遅れの2番手、大倉から1分以上離された3番手に内藤学武/小藤桂一(マツダ・デミオ)がつける。

JN1クラスはチャンピオンの須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)が初日トップ。鬼久保で速さを見せるもののテクニカルステージで苦戦した伊藤隆晃/大高徹也(日産ノートNISMO S)が12.5秒差の2番手からデイ2にかける。逆に鬼久保で苦戦した古川寛/池田孝之(スズキ・スイフトスポーツ)が3番手となっている。

デイ2

デイ2のSSは6本。この日最長となる10.564kmの「長篠設楽原」、デイ1にも使用したハイスピードな「鬼久保」とギャラリーSSの「県営新城公園 Rev」の3SSを2回ずつループする35.836km。新城総合公園で行われるセレモニアルフィニッシュで、今季の全クラスのチャンピオンが決定する。

JN6クラスは、デイ1で大きく引き離された新井が勝田に追いつけるかが最大のトピック。オープニングのSS9で幸先よくベストタイムをマークした新井だったが、勝田は焦ることなくじっくりとデイ2を攻略。新井も勝田とのタイム差を縮め切ることはできず、勝田がホームラウンドの新城ラリーを3連覇するとともに、8度目となるJN6クラスのチャンピオンに輝いた。2位は勝田との差を25秒まで縮めた奴田原が獲得、今季最後のSSでベストタイムを奪った福永が3位を獲得した。新井が4位、鎌田は5位に終わった。

120ポイントの猪股寿洋と、111ポイントで追う明治慎太郎の最終決戦となったJN2クラス。デイ1を終えて明治が猪股を大きく引き離す展開となったが、明治にはすでに自力チャンピオンへの道はなく、猪股は明治に対し9ポイント以内の差につければ、シリーズチャンピオンが決まるという展開だ。そんな明治は、デイ2もリードを活かして猪股に1分の差をつけて優勝したものの、この日のデイポイントトップは最終SSでベストタイムを刻み3位に入賞した猪股の手に。この結果、両者ともシリーズポイントは136ポイントで並ぶこととなり、規定により上位得点の獲得回数が多い猪股(第7戦ラリー北海道37ポイント)が、自身初となるシリーズチャンピオンを獲得することとなった。2位には、鈴木が入賞した。

JN5クラスは、川名がスパートをかけ、SS9〜13までベストタイムを奪う。しかし、最終のSS14で川名はクラッシュしてリタイア。結局、小濱が今季6勝目を獲得した。2位にはプジョー208 GTiで久々に参戦した柳澤が入賞、そしてアバルト500ラリーR3Tを駆る眞貝が、今季最上位の3位でシーズンを締めくくった。

JN4クラスは、山本を20秒後方から曽根が攻め立てる展開となったが、曽根の追い上げもわずか1.9秒届かず、山本が今季3勝目を獲得。2位に曽根、3位に山口が食い込み、シリーズランキング3位を獲得した。

JN3クラスは3番手の内藤が6SS中4SSでベストタイムと奮闘するも、天野がデイ1で築いたリードを奪うことはかなわず、天野が9戦全勝という圧倒的な強さで最終戦を飾った。2位の大倉はSS10の高速セクションでリヤサスペンションにダメージを受けるものの、サービスで修復を果たし自身初の新城ラリーで表彰台を獲得した。デイ2で速さを見せた内藤は、今季5度目の表彰台となる3位入賞を獲得した。

須藤がデイ1で首位を奪ったJN1クラスは、12.5秒差で追いかける伊藤がSS10で8.8秒まで差を縮めたものの、最終SSで壁にヒットし、大きくタイムロス。須藤有終の美でシーズンを終え、2位に伊藤、3位には、デイ2でサスペンションが折れるトラブルがあったものの、古川となった。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 勝田範彦/石田裕一 ラックSTI 名古屋スバル DL WRX 1:08:35.7
2 JN6-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:09:00.7
3 JN6-3 福永修/齊田美早子 555☆OSAMU・F☆DLランサー 1:09:06.3
6 JN5-1 小濱勇希/馬場雄一 KYB DUNLOP DS3R3 MAX 1:10:56.4
8 JN2-1 明治慎太郎/北田稔 YHGd高崎くす子86 1:11:34.1
14 JN4-1 山本悠太/藤田めぐみ Sammy☆K-one☆ルブロスYH86 1:12:38.8
17 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS 1:13:16.2
23 JN1-1 須藤浩志/新井正和 スマッシュBRIGダイニチYHスイフト 1:14:45.3

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2017年 全日本ラリー選手権 第9戦 新城

イベントフォト

JN6クラス優勝 勝田範彦/石田裕一

JN5クラス優勝 小濱勇希/馬場雄一

JN4クラス優勝 山本悠太/藤田めぐみ

JN3クラス優勝 天野智之/井上裕紀子

JN2クラス優勝 明治慎太郎/北田稔

JN1クラス優勝 須藤浩志/新井正和