ツール・ド・九州2018 in 唐津

開催日時:4月6日(金)〜8日(日)
開催場所:佐賀県唐津市
スペシャルステージ本数:14本
スペシャルステージ総距離: 76.08km
ラリー総距離: 370.66km
SS路面:ターマック
SS路面状況:デイ1 ウエット/デイ2 ドライ
ポイント係数:1.0

全日本ラリー選手権第2戦ツール・ド・九州2018 in 唐津が4月6日(金)から8日(日)にかけて行われ、奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)が優勝を飾った。

レグ1

佐賀県唐津市を拠点として行われるシーズン初のオールターマックラリーは、全14SS、75.85kmで争われる。勝負どころは9kmを越えるSS「羽金山(SS2/6/8)」と「三方(SS10/13)」のふたつと目されていた。しかしラリー初日は時おり雪やみぞれの混じるウエットコンディションに。路面温度が上がらず、多くの選手がタイヤのグリップを引き出すのに苦労するラリーとなった。

7日(土)午前8時40分、毎年恒例となっている唐津神社での安全祈願とセレモニアルスタートを終えて、各選手たちはステージへと向かっていった。序盤のラリーをリードしたのは三菱ランサーエボリューションXの福永修/齊田美早子。SS1と2で連続ベストタイムをたたき出し、幸先の良い出足を飾ったが、続くSS3でスピンを喫してしまい、後退する。SS3を制したのは奴田原文雄/佐藤忠宜だが、SS2でも好調なタイムを刻んでいた新井が首位に立つこととなった。

サービスをはさんだSS4では、鎌田卓麻/市野諮がSSベスト。前戦で優勝し、波に乗りたい鎌田だったが、リズムをつかみ切れずにSS5、6で大きくタイムを落とし、新井を追うには至らず。その新井はSS5〜8まで4連続ベストタイムをマークして、一気にリードを拡大。JN6クラスの2番手に奴田原、3番手に柳澤宏至/加勢直毅(スバルWRX STI)、4番手に鎌田、5番手に福永という順位で初日を終えた。このラリーで過去12連勝を挙げ、今回も優勝候補筆頭とされていた勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)は6番手と苦戦を強いられている。

奴田原に20.8秒のリードを築き、初日を首位で終えた新井は「序盤にセッティングを柔らかくして、それ以降は何事もなく走っています。新型のWRXはセンターデフがすごく舗装路にマッチしていてターンインしやすい。明日はミスのないように勝ちを狙う」とコメント。追いかける奴田原も「雪が降るとは思いませんでしたが、タイヤがよかったのも大きいと思います。明日は頑張って逆転できればいいなと思っています」と、2日目に向けての意気込みを語っていた。

JN5クラスはプジョー208 GTiを駆る川名賢/保井隆宏と、208 R2の横嶋良/木村祐介の一騎打ちとなった。久々の全日本ラリー出場となった横嶋がマシンへのアジャストに手こずるなか、SS1から川名がリードを広げて首位に。川名は、「コンディションが安定しなかったので、(自分のドライビングの)評価が難しいですね。天気が良くなればもう少し色々見えてくると思うんですが……まずは完走して、次戦に向けて手応えを見出せればと思います」と語った。

JN4クラスはトヨタ86の山口清司/山本磨美がリード。「少し差が開いているので、後続とのタイム差を見ながら走っています。タイヤはオールマイティに走れるので、順調にきています。明日はコンディションが変わりそうなので、ドライ用に足を換えて臨みたいと思います」とコメント。2番手の山本悠太/髙橋浩子(トヨタ86)とは50秒近い差を築いている。

JN3クラスはヴィッツGR SPORTの天野智之/井上裕紀子がクラス首位。クラス2番手の眞貝知志/安藤裕一(ヴィッツCVT)に1分以上の差をつけている。天野は「総合でもいいタイムを出せましたし、序盤で余裕を作れたのでリラックスして走ることができています。築いたマージンを利用しながらクルマをいたわって完走したいと思います」と、この日の8SSすべてをベストタイムでまとめる強さを見せた。

JN2クラスは明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)。「初めてのマシンで試しながらだったのですが、チームが万全な状態にしてくれたので、安心して楽しく走れています。足もいい感じで決まっているのでタイヤと足に助けられたかなと思います。明日もこの順位をキープして頑張ります」

JN1クラスはホンダ・フィットの小川剛/新原秀直がリード。「路面の変化は大変でしたが、いい路面を探して走ったらタイムを出すことができたので満足しています」とコメント。途中リードを築いていた古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)はリズムに乗れず後退。「明日はゆっくり走って完走を狙いたいと思います」と控えめな決意を語った。

レグ2

ラリー最終日となる8日(日)はSS9〜14の6SS、33.34kmという設定。雪まじりの雨という悪天候に見舞われた初日とは打って変わって好天に恵まれ、ドライコンディションのもとで争われた。

ラリーがスタートすると、初日にいまひとつタイムを伸ばすことができなかった鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)、勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)、福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューションX)らが好タイムを連発。2番手の奴田原もSS11、12と連続ベストタイムをマークして首位新井との差を削っていく。

奴田原に20.8秒差でこの日をスタートした新井は、マシンと路面とのマッチングに苦労し、SS5番手タイムがやっとという状況。なんとかマージンを活かして逃げ切りたいところだが、SSを追うごとにふたりの差は縮まっていき、最終SSを前にその差は2.6秒となっていた。最終SSは、スタート前から新井が懸念していた三方(9.18km)。ここで新井はSSベストを獲った勝田から18.5秒遅れのSS5番手タイム、一方の奴田原は5.5秒SS2番手タイムをマークした。この結果、奴田原が総合タイムで新井に10.8秒差をつけて逆転優勝を果たすこととなった。

優勝した奴田原は「本当に良かったです。勝因はタイヤが良かったことと、タスカの山田(淳一)メカがいいクルマを作ってくれたことですね。ドライバーはいつもと一緒です(笑)。今年の参戦1戦目を優勝で飾ることができたので、シーズンに向けて幸先のいいスタートを切れました。これまで唐津だけ勝ったことがなかったので、それもうれしい。次戦もターマックなので、楽しい戦いができるのではないかと思います」と笑顔でラリーを振り返った。また、JN6クラスのこの日のレグポイントは、6SS中4SSを制した勝田が獲得している。

JN5クラスは川名賢/保井隆宏(プジョー208 GTi)が1台のみ生き残った。「目的の完走を果たせ、フルポイントを獲得できました。このクルマでターマックを走るのは初めてだったのですが、クルマのことも理解できつつあるので、次につなげられると思います。もう少しやれることを煮詰めて次戦に臨みたいですね」と状況を分析した。

JN4クラスは山口清司/山本磨美(トヨタ86)が初日のリードを守り切って優勝。「1日目で差がありましたので、それを見ながら走りました。ただ、もう少し煮詰めないと、皆が無事に走り切った時に勝てないかなと。本当はマージンをとりながら速いペースで走れるといいんですが。次戦に向けて、今回のタイヤの減り方などを見てセッティングを見直していきます」

JN3クラス優勝は、この日すべてのSSを制した天野智之/井上裕紀子(ヴィッツGR SPORT)。総合順位でも2WD勢のトップを獲る快走を見せた。「今日は去年までのタイヤに戻して差を見ていました。全体的には無難にまとめられたかなと。自然吸気のヴィッツでターマックで2WDトップを獲れたのはおそらく自分でも初めてなので、いいラリーだったと思います」

JN2クラスはトップの座を守ったトヨタ86の明治慎太郎/北田稔が優勝した。「予定どおり貯金を切り崩しながら(笑)なんとか勝てました。新しいクルマなので色々試しながらの部分もありましたが、今後につながるいいデータがとれたと思います。次も勝ちたいとは思いますが、着実にポイントを獲れる位置でフィニッシュできればと思います」

JN1クラスはレグ1で2位につけていたスズキ・スイフトスポーツの古川寛/廣田幸子が逆転で制した。「今回の勝因はコ・ドライバーが抑えてくれたおかげです。2日目は普通の天気になって良かったです。次戦は初めてのラリーですが、コ・ドラに怒られながら(笑)完走を目指したいと思います。ライバルも速いので、戦って勝てるように頑張ります」

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:03:20.1
2 JN6-2 新井敏弘/田中直哉 富士スバル ARAI WRX STI 1:03:30.5
3 JN6-3 柳澤宏至/加勢直毅 ADVAN CUSCO WRX-STI 1:04:12.3
8 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツ 1:07:32.4
9 JN2-1 明治慎太郎/北田稔 Sammy☆K-one☆ルブロスYH86 1:07:35.7
11 JN5-1 川名賢/保井隆宏 ADVAN CUSCO プジョー208 1:08:09.8
12 JN1-1 古川寛/廣田幸子 スマッシュDLスイフト 1:08:23.3
14 JN4-1 山口清司/山本磨美 jmsエナペタルADVAN久與86 1:08:44.0

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2018年 全日本ラリー選手権 第2戦 唐津

イベントフォト

JN6クラス優勝 奴田原文雄/佐藤忠宜

JN5クラス優勝 川名賢/保井隆宏

JN4クラス優勝 山口清司/山本麿美

JN3クラス優勝 天野智之/井上裕紀⼦

JN2クラス優勝 明治慎太郎/北田稔

JN1クラス優勝 古川寛/廣田幸子