JRCA合同会議

●3月26日(水)〔株)ラリーアート本社内にて開催
  1. 全日本ラリー運営における本年度の重点目標について
【1】昨年度の運営状況総括(資料「2002年イベント運営状況一覧」)
  資料は、昨年度のJRCA奨励項目・統一推進項目について、各イベントでの実施状況を一覧表にまとめたもの。このうち、統一推進項目についてはその多くが、JRCAの推奨内容とほぼ同じ形で本年度より施行の新しいJAF規則に盛り込まれた(下表参照)。また、奨励項目は後に説明する「一括協賛」に含まれる「パブリシティレポート」に引き継がれる。
イベント運営状況一覧の項目 JAF「ラリー競技会組織に関する規定」新項目との対応 備考
1~8 パブリシティ向上を目的とする奨励項目 JRCA一括協賛の「パブリシティレポート」に引き継ぎ
9 タイヤ使用本数規制 第5条6. 規則で認められたので、引き続き実施を推奨
10 マーキングとそのチェック
11 タイヤ規制違反のペナルティ 第6条附則(6)罰則:「競技全般」 第10条3. 規則どおり
12 SS構成の早期情報公開 タイヤコスト削減、公平性の確保を目的に、引き続き推奨
13 スタートまでの流れの説明 出場者が混乱なく手続きできるよう、手順についての事前通知を引き続き推奨
14 車両整備申告書の取り扱いについての通知
15 レッキの実施状況 第6条5.-1) 規則どおり
16 レッキ時の安全管理状況
ロードブック配布のタイミング 第6条2.-1) 規則どおり
18 タイヤメーカーのサービススペース 引き続き無償提供を推奨
19 サービスパーク配置表 第6条附則(3)-13. 第6条附則(4)-4. 規則に従って推奨
20 移動区間の所要時間 第5条24 規則制定を受けて渋滞時の迅速な対応を引き続き推奨
第6条9.-7)-(2)-5 ロードセクション開始地点が規則で統一されたので注意
21 競技の安全管理 第2条3.および4. 規則どおり
22 SSの計時方法 第6条10.-8) 規則どおり
23 フライングの取り締まり方法 第6条附則(6)罰則:「スペシャルステージ」 規則どおり
24 速報公開状況 24 速報公開状況 「パブリシティレポート」に引継ぎ
25 TCの運営 第6条9.-7) 規則どおり
26 サービス出入口の規制 第6条3.-3) 規則どおり
27 各セクションの出走間隔の調整 第6条1.-5) 第6条9.-8) 規則どおり
28 車両保管時のパルクフェルメ運営 第6条11.-2) 規則どおり
29 成績の表記方法 第6条8.-1) 第6条13.-1) 規則どおり
30 総合タイムが同じ場合の上位 第6条13.-3) 規則どおり
31 ロードブック 第6条2.-1) 規則どおり
【2】 昨年の実績をふまえた本年度の重点目標
(1)
音量規制の方法について
昨年は、周辺住民への配慮として、音量を抑えるためにノーマルマフラーの装着を特別規則で義務付けたイベントがあったが、以下のような問題点が出場者から指摘された。
「ノーマルマフラー装着」を目視確認したのみだったので、見かけ上のみノーマルで中身は異なるマフラーを装着した車両もあり、かえって大きな騒音をたてていた。
「ノーマルマフラー装着」を目視確認したのみだったので、本当にノーマルマフラーを装着した者と、見かけ上のみノーマルのマフラーを装着した者との間に不公平が生じた。
出場者にはノーマルマフラーを持たない者も多く、ノーマルをあらたに調達する必要があったが、このことは、メーカー系スポンサーを持つ者よりも、プライベート体制の出場者により大きな負担となった。
静かすぎて迫力がなく、ギャラリーステージが盛り上がらなかった。
 ⇒本年の提案:
「ノーマルマフラー装着」という規制方法の問題点を考慮すれば、許容音量を明確に定め、出走前の音量測定を厳密に実施したうえで、基準音量を超えた車両は出走させない、という方法にすべきではないか。
エンジン全開域であれば、保安基準適合のチューンドマフラーは確かにノーマルマフラーよりも少し音量が高いが、通常走行であれば音量の差はそれほどない。一般の生活時間帯に競技を行うようにすれば、保安基準に適合した音量であれば許容してもらえるのではないか。
(2)
渋滞の際の救済措置
これまで、渋滞など不測の事態に巻き込まれたために所定の時間内に移動できない車両が少数でも生じた場合には、その区間がキャンセルされたり、あるいは、いくら遅れても目標到着時刻を申告するだけでペナルティを免除されたり、あるいは、急きょ所要時間を変更する場合、全車が必ず間に合うようにと多めの時間が与えられることが多かった。この場合、以下のような問題点があった。
キャンセルまたはノーペナルティにより、競技区間が一つ消滅することになった。
キャンセルまたはノーペナルティにより、不当な利益を得る車両があった。
多めの時間を与えることで、不必要に全体のスケジュールが遅れることになった。
 ⇒本年の提案:
渋滞が頻発するラリー・オブ・グレートブリテンで従来から採用されている方法では、
i.全車に実際の到着時刻でTCチェックイン手続きを行う
ii.横軸にゼッケン、縦軸に遅れ分を表したグラフを作成し、「妥当な遅れ分」を決定
iii.「妥当な遅れ分」よりも遅れた車両に対しては、その遅れに対するペナルティを与える
この方法により、競技区間を生かし、キャンセルを不当に利用することを防ぎ、不必要な遅れを防止することができる。
この方法を採用する場合は、ドライバーズブリーフィングで参加者に説明しておくことが必要。
(3)
セレモニアルフィニッシュ
  昨年は何戦かでギャラリーステージ終了後にその場で暫定表彰式が実施された。
 ⇒本年の提案
「暫定表彰式」は、従来の「表彰式」のように形式ばっていなくてもよい。優勝または入賞の喜びを、見に来てくれた人たちと分かち合う瞬間なので、もっと打ち解けた飾りのない雰囲気がよい。たとえば、F1の暫定表彰式などを思いうかべてもらえればよい。
「暫定表彰式」は、あくまでも「暫定」であって、その結果が直後に取消しになってもよい。F1においても、暫定表彰式後の車検で入賞者が失格になるのはよくあること。
「暫定表彰式」があれば、たとえその暫定内容が後で取り消されたとしても、正式表彰式はなくてもよい。(正式結果の配布があればよい。)来賓の手前、正式表彰式が必要な場合は、参加者全員のための慰労パーティーのようなものと組み合わせるのが望ましい。
「暫定表彰式」をするような場がなければ、「セレモニアルフィニッシュ」でじゅうぶんラリー完走の喜びを表現できる。「セレモニアルフィニッシュ」には表彰台などは必要なく、スタートゲートがあれば実施できる。(ゲートが少し高くなっていればなお良い。)
「セレモニアルフィニッシュ」を行うには、パルクフェルメを設定していったん全車をそこに留め、優勝者から順にパルクフェルメを出るようにスタート時刻を与える。1台ずつゲートのところに止め、ラリーフィニッシュの感動を、見ている人たちと分かち合う。
ラリーフィニッシュ到着が深夜となり、「セレモニアルフィニッシュ」を行うことができない場合は、ゲートにて入賞者・車両の写真撮影を行う機会を設定してほしい。多くのモータースポーツカテゴリーの中で、表彰写真でレーシングスーツを着ていないのは国内ラリーだけ、と言われている。その状態を解消し、レーシングスーツで、入賞決定直後の喜びの表情を撮影してもらうことが望ましい。
このようなことを実施するためにも、暫定結果を迅速に把握することが必要。
(4)
タイヤ規制
  昨年はタイヤメーカーからの使用本数削減の要望にこたえ、何戦かで「1セクション5本」の本数規制が実施され、マーキングとそのチェックが行われた。使用本数を減らす努力は本年も継続したいが、「1セクション5本」に固執するものではなく、より望ましい形での制限を模索していきたい。本企画がそもそも意図しているところを理解したうえで、主催側は柔軟に対応してほしい。
 ⇒タイヤ使用本数規制が求められた背景
あらゆるモータースポーツカテゴリーでタイヤ使用本数規制が実施されている中、全日本ラリーにおいても規制を実施するのはモータースポーツである以上当然。
全日本ラリー四駆部門におけるタイヤ使用本数は、その広報価値に比べて異常に多く、メーカーとしては、コスト削減の意味でも、かつ、モータースポーツとしての健全さを確保するうえでも、全日本ラリーでのタイヤ使用本数規制を実施することが望ましいと考えた。
使用本数を規制することで、参加者の負担削減にもつながる。また、トップ選手の優位も減らすことができ、より平等に近い条件での競争が可能になり、若い選手にチャンスが生まれる。これらによって、全日本ラリーの活性化が期待できる。
 ⇒昨年の実施要領を決めるまでの考察
SS距離や路面など、タイヤの減り具合が同じになるようなタイミングでタイヤ交換の機会を設定することが望ましいが、昨年現在の規則ではそのようなラリー構成を作るのは難しかった。
タイヤ交換サービス間で減り具合にばらつきが激しいので、ラリー全体としての使用本数制限のほうが良いが、その場合、管理が難しい。
準備するタイヤの本数を減らさなければ、コスト減にはほとんどつながらないが、事前のパターン登録などはSS情報の公開が遅いために不可能。
タイヤ規制そのものが行われていないイベントも多いので、第一歩として、どういう内容でも「規制」を実施してもらうことが重要。
以上のことから「1セクション5本、という方法であれば管理しやすく、使用本数についても前年までに比べてわずかでも確実に減らせるので、まずこれでマーキングとチェックをしっかり実施していただく」ということが決定した。
 ⇒本年の提案:
上記をふまえ、各主催者のできる範囲で、「1セクション5本」にこだわらず、SS距離、路面に応じて使用本数やタイヤ交換のタイミングを考え、タイヤを無駄遣いせずなおかつ競技の公平性を確保するような規制を実施してほしい。
ラリー構成を工夫するなどして対応していただきたい。たとえば、SS路面を単一にすることで準備本数の増大を防ぐことができる。グラベルとターマックの両方があると、たとえ「ラリータイヤ使用」という特別規則を設けても、グラベル用には新品のラリータイヤ、舗装用には超硬質路面用ラリータイヤの山を減らしたもの、など少なくとも2種類のタイヤが必要になり、タイヤ準備本数は単一路面の場合の倍になる。
【3】 新規則の利点を積極的に活用するための提案
  規則が規則として効力を持つための最初の年なので、規則を厳格に適用していただきたい。また、どういう問題が生じ、どう対応したか、次戦の主催者に申し送りし、改善策を練ってもらいたい。
<車両規則>
 車両をイコールコンディションに近づける第一歩として、以下のことを徹底していただきたい。
(1)
内径検査とシーリングの実施
シーリング実施について書面にて案内したうえで、どのような準備(車両の状態や必要な道具など)でのぞめばよいかを必ず通知する。→JRCAホームページに具体的手順の掲載を検討中。
スタート前の検査を厳密に行う。
ラリーフィニッシュ後の再車検を厳密に行う。
前イベントでのシーリングを有効として内径検査を免除するかどうかについては、検討の余地あり。
(2)
重量測定
スタート前の厳格な測定。
スタート前車検で最低車重を満たさなかった場合の処置を、あらかじめ明確にしておく。
競技途中にも随時計測する。その場合の処置もあらかじめ明確に。
フィニッシュ後の再車検での測定を厳格に行う。
<競技規則>
(1)
「最長120kmごとに20分以上のレストタイム」
以前は「150kmごとに1時間のレストタイム」であったものから現規定になることで、ラリー構成が作りやすくなったのではないかと期待する。タイヤ交換のタイミングをうまく配置するために、この規定を活用していただきたい。
(2)
「リグルーピング」
リタイヤ等で開いた出走間隔をつめるための措置。できるだけ全車の走行条件が公平となるよう、また、出走順が近接している選手(通常は、これらの選手は実力が接近している)が、できるだけ近い条件で走れるようにという目的もあるが、同時に、ラリーをスケジュール通りに運ぶために有効な方法でもあるので、これを活用していただきたい。
(3)
「スペシャルステージの中止」
スペシャルステージ実施中の事故などでステージが中断し、その後にギャラリーステージが予定されているような場合は、ギャラリーステージ実施予定時間を優先的に考慮して、中断したステージの続行・キャンセルを決定していただきたい。
SSの中止については、各主催者によって考え方が異なるだろうが、いずれにしても、どういう場合にどういう対応をするのか、特別規則で明確にし、その方法を運営側で徹底するようにしてほしい。また、なるべくSSキャンセルは避けたいとはいえ、決定を先送りするとかえって問題を大きくする可能性もあるので、適切な時期に適切な判断が望まれる。
2. JRCA一括制作資材の運用について
3. JRCA一括協賛の実施要領について
(資料「JRCA一括イベント協賛実施要領」、「パブリシティレポート」「一括協賛参加企業一覧」参照)
評議員代表による趣旨説明:開催運営資金の調達は多くの主催団体にとって慣れない仕事で苦労が多いことから、JRCAがあらかじめ賛同企業をまとめることで主催団体を支援するというもの。主催団体は、たとえわずかでも協賛を受けた企業は「スポンサー」としてその企業の期待に応えるという意識で、開催運営をしてもらえれば、この企画の趣旨もさらに生きてくると思う。
企業代表による期待表明:これまではシリーズ全戦に均等というわけではなく、積極的なところに重点的に協賛していたが、JRCAのもとに全日本ラリー全体がレベルアップすることを願ってこの企画に賛同した。GT選手権はさまざまな手法で人気を高めたが、あれに近づけるよう、みんなで工夫してほしい。主催団体は、企業から「お金をもらう」のではなく、「いいラリーをするために協賛をいただく」という姿勢で、全日本ラリーの格を高め、人気を高めるようなイベントを作ってほしい。そういうイベントをしてもらえれば、我々もさらに他の企業に協賛を求めてアプローチをかけることができる。
4. 意見交換
(1)
各主催団体代表者による各競技会の予定概要説明
(2)
意見交換
セレモニアルスタート、セレモニアルフィニッシュについて
主催者がスタートとフィニッシュで各車のデジカメ写真を撮り、画像データとしてホームページにアップしておけば、媒体が自主的に使えるのではないか? 昨今のデジカメはかなり画像サイズが大きいものが撮れるので、印刷物にもじゅうぶん使用可能と思う。
フィニッシュ時のホヤホヤの写真があったほうがいいということだが、たとえばひえつきはゲートがあるので、ゲートでプレスが待っていて戻って来たラリー車を撮影するのは可能。その際、ゲート周辺に広告協賛メーカーのバナーなどあったほうがよい。
セレモニアルスタート、セレモニアルフィニッシュは、外の世界に対してラリーの印象を良くするというのがその目的の一つ。たとえば、表彰台に上がった選手が見苦しい格好をしているのは、全日本ラリーが冠スポンサーを獲得しようとする場合にマイナス要素となる。できる限りの華やかな演出がほしい。もちろん、SSを確保して競技をしっかり運営するのは核となるものだが、外も華やかにしなければ、いつまでたっても資金難は解決しない。このままではいつまでたっても今の状態から抜け出せないのではないか。
マレーシア国内選手権では、ラリーのスタートとフィニッシュを大きなショッピングモールなどに設定していた。このようにラリー車が入の集まる所に入って行くことが必要と思う。
セレモニアルスタート、セレモニアルフィニッシュ、或いはフィニッシュ直後の写真撮影等は、個々のイベントの状況に応じて、条件があえばできるだけ実施していくということで一同了承。
ターボシーリング、車検について
過去20年間、「良識に任せる」という方法でやってきた結果、問題が後を絶たないという状況が生まれている。ゴリ押しを認めてしまうと、いつまでもその姿勢は正されない。誰かが厳しくチェックしない限り、状況は改善しない。
シーリングは1戦1戦するのが当然で、1度シーリングすれば年間通して有効、という方法では意味がない。今頃になってシーリングをどうするのかという議論をしていること自体、日本のラリーの問題を露呈しているように思う。シーリングについてもFIA規定に沿ってJAFで規則化してもらうべきではないのか。
全般について
数年前からオフィシャルとしてラリーに参加しているが、主催者は地域振興をかねたラリー運営が求められていると思う。国内ラリーに欠けているのは資金調達をしてくれる代理店。資金を調達するにはどうすればいいのか、それぞれがバラバラにやるのではなく、知識と労力を出し合えるような方法が必要と思う。
今一番大事なのは、ラリーに人が集まること。それが今の全日本に欠けていることだと思う。ギャラリーステージ、ホームページ、PDやJAFスポーツでの告知以外に、もっと外にアピールする方法をJRCAとして全体で考えればよいのではないか。
抽象的な議論が多いと感じる。たとえばシーリングに関しては、具体的な手順を決め、みんながそれに従って実施していくべきだと思う。
本来、JRCAは全日本ラリー開催運営のための資金調達を仕事とすべきだが、それには全日本ラリー全体を構成する各大会の質を均一に高めなくてはならないので、現状では主催者に頑張ってもらわなければならないことが多い。JRCAもそのためにいろいろ支援しているが、現状ではまだ出来ることが少ないので、議論が抽象的になっているのだと思う。具体的にしようとすればするほど、意見が異なったり費用もかかったりという事情もある。いまやっと、少し取っ掛かりが出来たという段階だ。

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