全日本ラリー選手権第1戦
ツールド・九州 2008 in 唐津
4月11~13日 佐賀県唐津市
スペシャルステージ本数:11本
スペシャルステージ総距離:59.05km
ラリー総距離:2レグ約350km
SS路面:オールターマック
SS路面状況:ドライ
チャンプ勝田範彦が圧巻の走りで開幕戦3連覇
ランサー、インプレッサがともに新型デビューとなった今年の開幕戦は、どちらに軍配が上がるのかが一つの大きな注目点だった。ランサーEvo.10で登場したのは2006年までの5年連続チャンピオン・奴田原文雄、対してインプレッサGRBは、2007年チャンピオンの勝田範彦と同年ランキング2位の北村和浩がドライブという豪華な顔ぶれだ。
水曜から木曜にかけて春の嵐に見舞われた現地だが、レッキが行われる金曜日にはすっかり路面も乾き、土曜日は完全ドライコンディションでのラリースタートとなった。SS1はまず北村がベストタイムで先制し、勝田がその2.4秒差につける。SS2は勝田がベストを奪うが北村は2番手につけて首位をキープし、過去2年ここで繰り返された勝田と北村のマッチレースが、今年も再現されそうな予感だ。
SS1のリピートとなるSS3でトップ2が抜け出した。勝田がこのロングステージを制し、ブレーキにトラブルが生じた北村にあと0.1秒と肉薄。いっぽう勝田と3位石田正史との差は8.5秒に開いた。つづくSS4で勝田はついに北村をとらえてラリーリーダーに。3位から5位は石田雅之、石田正史、奴田原文雄がわずか2.0秒の間にひしめく。
サービスで各チームは車両を修復し勝負はセクション2に入る。約1.2kmのギャラリーステージの2回連続走行となるSS5/SS6は、石田正史と奴田原が交代で1位2位の座を分け合ったが、上位2台との差はほとんど縮まらない。これで3位争いはますます熾烈になり、5位までの差はわずか1.1秒に。また北村は0.4秒ずつながら勝田との差を縮め、これもあと1.1秒と迫った。
レグ1最終のSS7、この日3度目のロングステージでラリーの流れは大きく動いた。勝田が2番手石田正史に6.2秒の差をつけるスーパーラップで磐石のリードを築く。北村との差は9.0秒に広がった。北村に6.7秒差の3位には石田正史、その1.0秒落ちに石田雅之という2台のランサーEvo.9が続き、Evo.10の奴田原はさらにその4.3秒と差が少し開き始めた。
一夜明けて、翌朝は前日とうって変わって今にも雨が降りそうな曇り空。だが、午前中いっぱいは雨は降らないという天気予報を信じて各チームともドライ用タイヤでスタートする。SS2/SS4のリピートとなるSS8では、勝田が前の2回に続いてまたもや最速で走りぬけ、このステージを完全制覇。最後のロングステージとなったSS9でも勝田は攻撃の手を緩めず、圧巻のタイムで開幕戦勝利に向けてちゃくちゃくと足固めをしていく。北村との差は17.7秒に。その3.9秒差に石田正史、さらに4.6秒遅れて石田雅之、そして奴田原はその7.8秒落ちと、3人のベテランによる厳しい3位争いも、ほぼこれで決着がつきそうだ。
最後の2本となったSS10/SS11は、ふたたび1.2kmのギャラリーステージの連続走行。北村が1本目にコースアウトして3位石田正史に2.0秒差まで詰め寄られるというご愛嬌はあったが、結局上位5台の順位には変動なし。終わってみれば勝田は3年連続でツール・ド・九州in
唐津の勝者となり、北村が3年連続の2位。また、表彰台は2年連続で勝田、北村、石田正史という顔ぶれとなった。
JN3クラスは、その圧倒的強さから「エンペラー」の称号を欲しいままにした榊雅広がJN-1.5に移動し、誰がどんなクルマで勝つかが注目されていたが、優勝は森博喜MRS、2位は岡田孝一セリカで、ベテラン勢による1-2フィニッシュに落ち着いた。
またJN2クラスは、一昨年に総合8位に入ってJN4クラス勢を震撼させた高橋悟志レビンが、山口清司レビンとの激戦をわずか0.6秒差で制して総合9位に食い込んだ。
今年新設されたJN1.5クラスは、予想どおり榊雅広コルトの圧勝。2位には天野智之ヴィッツが入った。
JN1クラスは昨年シリーズ2位だった廣瀬康宏シティが勝ち、「今年こそ」のチャンピオン獲得に向けて幸先の良いスタートを切った。
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