全日本ラリー選手権第7戦


全日本ラリー選手権第7戦
2008 Rally in Akaigawa
8月22~24日 北海道赤井川村
スペシャルステージ本数:13本
スペシャルステージ総距離:108.74km
ラリー総距離:305.62km
SS路面:グラベル
SS路面状況:1日目ドライ、2日目セミウェット

奴田原文雄が勝利目前でコースアウト
   勝田範彦が今季3勝目


 10年前からリゾート施設キロロを中心に開催されてきたこのイベントは、昨年の中止を経て今年2年ぶりに復活。名称からキロロが外れたものの、コースレイアウトは従来とほぼ同様で、わずか300kmの総距離の中に100km以上のSSを含む。SSはいずれも道幅が狭くてトリッキー、しかも路面状態は千変万化で、スプリントながらも過酷なラリーといえるだろう。

 晴れ続きの週末、ラリーは完全ドライの状態で始まった。とはいえパンパンに乾いた路面に砂利が散らばった部分はたまらなく滑りやすく、堅く締まった高速区間のうねりでは、クルマはどこに飛んでいくかわからないほど跳ね躍る。SS1は乗り慣れたGDBインプレッサで出場のディフェンディングチャンピオン勝田範彦がまずベストタイムを奪った。いっぽう、前戦2位の巧者・石田雅之が早くもミッショントラブルでリタイアし、波乱のラリーを予感させる。

 SS2では奴田原文雄が、SS3ではベテランの大嶋治夫が、SS4では石田正史が最速ラップを奪う。セクション1は奴田原が制したとはいえ、そのわずか0.7秒落ちで大嶋がつけ、石田正史がその3.2秒差にいるという接戦だ。他方、前戦の覇者・北村和浩は最初から精彩がなく、この時点でもうすでにトップから1分近くも遅れて8位にいた。

 サービスを経てセクション2に入る。SS5、SS6の短いステージではトップグループ各ドライバーともそれぞれ僅差であがり、誰が抜け出すかわからない状況だったが、この日最後のSS7でラリーが動いた。キロロトラバースの18.49kmを、奴田原が2番手の勝田に17.3秒もの差をつけるぶっちぎりベストタイムで駆け抜け一気にスパート、ラリーリーダーの座を決定的にした。大嶋は手痛いバーストを喫して奴田原から4分以上も遅れ、石田正史はブレーキホースが切れたクルマをなんとかフィニッシュまで導いたものの1分近くをロスしてしまった。

 こうして1日目を終えた時点で奴田原が首位に立ち2位の勝田とはすでに33.1秒差、さらにそこから22.2秒遅れて田口幸宏が3番手、そして4位には前戦も好調だったベテラン岩下英一がつける。石田正史を抜いて5位に食い込んできたのは、29歳の桑田幸典ランサーエボ7だ。
 
明けて2日目、天気予報は午後から雨。しかし雲が低く垂れ込めた空から、早くもスタート前に雨がぱらぱらと落ちてきた。これでコースはセミウェットとなり、今日も難しいコンディションだ。

 奴田原は2位との差を見ながらペースをコントロールするかのように着実に勝利に向かってラリーをこなしていった。SS10で田口がデフトラブルによりリタイアしたため、最終のSS13・ブルックトレイル9kmをスタートする時には、トップ奴田原と2位勝田との差は38.3秒。さらにその30.2秒差の3位に岩下英一、4位の石田正史はその10.3秒落ちで、上位の順位はこのままでラリーは終わるだろうと思われた。

 ところが、奴田原はSS13をスタートしてまもなくコースアウトして道路上から消え、SS13のフィニッシュに最初に飛び込んだ勝田が、思いがけなく今季3勝目を手にすることになった。2位は岩下、3位は石田正史で、セクション3に入って桑田を逆転した北村が4位に。桑田はSS9でバーストしたうえに、「セットアップがドライ用のままというのもあるけど、やっぱり路面がウェットになるとトップの人たちとはまだまだ実力の差がある」と言うように徐々に遅れたが、この内容での5位入賞はなかなかのもの。6位には地元の秋葉貴之が入った。

 JN2は最初にリードを奪った平塚を福永修が追う展開となったが、福永がSS7で、平塚がSS9でリタイアし、最終的に関根正人が前戦に続く2連勝を遂げた。JN1.5は大庭誠介が順当に勝ち、榊雅広とのチャンピオン争いに向けて体勢を整えた格好だ。
JN3、JN1クラスは成立しなかった。

【全日本ラリー選手権 第7戦 総合結果】(出走32台/完走18台)
総合順位/クラス順位
ドライバー/コ・ドライバー
車名
トータルタイム
 1位/JN4-1位 勝田範彦/保井隆宏 ラック名スバルSTiDLインプレッサ 1:29:49.5
 2位/JN4-2位 岩下英一/高橋昭彦 IRS GAM ADVAN ランサー 1:30:25.5
 3位/JN4-3位 石田正史/澤田茂 DLテイン マルシェ ランサー 1:30:41.7
 4位/JN4-4位 北村和浩/竹下紀子 アーレスティDL・KYBインプレッサ 1:31:19.8
 5位/JN4-5位 桑田幸典/井川宏美 DL・IDI・KYBランサー 1:31:24.6
 6位/JN4-6位 秋葉貴之/瀧 正憲 CMSCカマタスポーツランサー 1:33:53.3
 9位/JN2-1位 関根正人/五十嵐恵子 DLゼロスオクヤマPガレブーン 1:36:46.7
 13位/JN1.5-1位 大庭誠介/高橋巧 REPSOL-ADVAN コルト 1:45:13.0
注)クラス区分の説明:JN4クラスは2000ccを超える車両、JN3は1600ccを超え2000cc
以下の車両、JN2は1500ccを超え1600cc以下の車両、JN1.5は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1クラスは1400cc以下の車両。

【ドライバーズポイントランキング】(総合/第7戦終了時点)
順位
ドライバー
ポイント
 1位  勝田範彦  99.6pts
 2位  石田正史  67.6pts
 3位  北村和浩  65pts
 4位  奴田原文雄  45pts
 5位  田口幸宏  42pts
 6位  岩下英一  39pts

Event photo

全日本総合1位(JN-4クラス1位)
勝田 範彦/保井 隆宏

全日本総合2位(JN-4クラス2位)
岩下 英一/高橋 昭彦

全日本総合3位(JN-4クラス3位)
石田 正史/澤田 茂

全日本総合9位(JN-2クラス1位)
関根 正人/五十嵐 恵子

全日本総合13位(JN-1.5クラス1位)
大庭 誠介/高橋 巧

サービスパーク/
キロロ・マウンテンホテル駐車場


サービスパーク/
キロロ・マウンテンホテル駐車場


各クラス1位のドライバー(左)、コ・ドライバー(右)、マシン

【参考総合結果表】
  2008_rd07.xls
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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