ラリーカーってどんなクルマ?

スペシャルステージで0.1秒を争う選手たちのラリーカーには、ターマック(舗装路)やグラベル(未舗装路)などあらゆる路面で速く走るためのチューニングはもちろん、ボディ補強や万が一の際の安全装備(消火器など)も施されています。

荒れた路面で全開走行を続けるマシンには大きな負担がかかります。高速で段差を乗り越えたり、時には石を踏んだりしてダメージを受けることも少なくありません。そのため、強靭なサスペンションのほか、エンジンやトランスミッションなどを守るアンダーガード、そして乗員を守るためのロールケージや多点式シートベルトなどが装備されています。

ターマックとグラベルの両方に参戦する選手は、1台で転用する場合、車高やサスペンション、ブレーキなどの交換が必要です。選手権を追っている選手の場合、専用マシンを使い分けることもあります。

国内のラリー車両の主な車両規定

R車両 FIAによりグループA、R、N(公認有効期限後5年を経過していない車両を含む)として公認された車両。昨年までのグループNに準拠したRN車両もこのクラスに含まれる。
RJ車両 JAF登録車両でFIAに公認されていない、もしくは公認切れとなった車両で、国内ラリーとしては改造範囲が広い。全日本では最終生産年から10年以上経過した車両は出場できない。
RPN車両 同一車両型式の最も古いJAF登録年が2006年1月1日以降の車両で、改造範囲はRJ車両よりも狭い範囲に規定されている。
AE車両 電気モーター、または電気モーターとエンジンを併用して動力とする車両。改造範囲はRPN車両と同じく狭い範囲に規定されている。

コクピット

コクピットは、ドア内張の素材置換、遮音材やリヤシートなど不要な部分の排除が可能です(RPN車両を除く)。コ・ドライバー側にはラリーの進行をサポートする時計やトリップメーターを装備。最近ではその機能を備えたスマートフォンやタブレットなどを使用する選手も増えています。軽量ステアリングへの交換のほか、ダッシュボードには防眩加工など、ラリーカーならではの装備も。

エンジン

エンジンの改造は規則により厳しく制限され、エンジンを制御するコンピュータについてはノーマル置き換えタイプであれば交換可能であったり、交換禁止なクラスもあります。WRX STIやランサーエボリューションなどのターボ車両は、FIA規則と同様にパワーを制限するための吸気リストリクターの装着が義務づけられています。またラリーは公道を走るため、マフラーの音量規制などもあります。

ブレーキ

グラベルラリーとターマックラリーで、タイヤとホイールのサイズが変更になるので、ブレーキローターやキャリパーのサイズも変わります。左足ブレーキや激しいブレーキングにより、ローターが真っ赤に焼ける様子が見られることもあります。

サスペンション

サスペンションについては、ダンパーやスプリングなどをある程度自由に選択できます。ターマックとグラベルでは、車高や必要なスペックの違いなどから、まったく別のセットを使用しています。もちろんストリート向けの車高調ではなく、競技向けの強靭な製品が使用されています。

ロールケージ

アクシデントからクルーの安全を守るため、すべてのラリーカーにはロールケージの装着が義務づけられています。横転などの際にもキャビン部分にダメージを受けないようFIAまたはJAFの厳格な規定に従って作られたもので、室内に張り巡らされた鋼管の総延長は数10mにも及びます。

タイヤ&ホイール

タイヤは、グラベルラリーでは溝が刻まれたラリー専用タイヤが、ターマックラリーでは雨に対応すべく縦溝が刻まれた市販スポーツラジアルタイヤが使用されます。ホイールはクラスごとに使用可能な最大サイズが定められています。

駆動系

過酷な条件下で使用されるラリーカーの駆動系には大きな負担がかかります。そのため強化クラッチや軽量フライホイールへの交換も可能となります。ケースの改造なしに装着できるLSDやクロスミッションも利用できます。RR車両は、シーケンシャルミッションを装着しています。

安全装備

すべてのラリーカーには、アクシデントに対応できるよう、三角停止板や消火器などを搭載することが義務づけられています。救急救命講習などが、ラリーの開催前に行われることもあります。

スペアタイヤ

路面の状況が一定ではないため、走行中にパンクしてしまうこともあります。そのため、ラリーカーには基本的に2本のスペアが積まれています。サービス時間以外はクルー自ら交換を行います。