2002年全日本シリーズ統一化推進事項

1.観客、開催地住民および一般へのアピール向上

(1)ラリーの魅力にナマで触れる機会を提供

<ラリー観戦で味わえるラリーの魅力>
   ● 高度なドライビングテクニックをすぐそばで見ることができる。
   ● ラリー車の迫力(美しいカラーリング、音、におい)を体感できる。
   ● ラリーファンが一緒になってラリーを盛り上げる楽しさを体験できる。
ラリー観戦で喜びや感動を体験した人が、それを人に伝えることで、ラリーに興味を持つ人が増える
――そんな循環を作っていくために、下記を提案します。

   提案1 SSの公開(ギャラリーステージの設置)
   提案2 SS以外でもラリーに触れる機会を提供
       ・スタート、サービスパーク、ラリーフィニッシュの公開
   提案3 地元の人たちにもラリーに親しみを持ってもらう
       ・移動ルート、通過時間を告知/出場者はマナーを守った運転を
   提案4 サービスパーク、フィニッシュなどで競技車到着を待つ時間の工夫

(2)ラリー概要の早期公表
   観戦計画をたてやすくして、来場してもらえる可能性を高めるためです。
   ・スタート地点、フィニッシュ地点、サービスパーク地点、ギャラリーステージの場所
   ・上記地点を競技車が通過するおおよその時間帯

(3)一般生活時間帯での開催
   以下のようなメリットがあります。
   [1] 選手にとってもオフィシャルにとっても、夜間に比べてSSでの安全性がはるかに高い。
   [2] 住民の安眠妨害を心配しなくてもよく、必要以上にエンジン音に敏感にならなくてもよい。
   [3] 競技車以外(関係者、観客)によっても増大する騒音やインパクトを、「害」ではなく「恩恵ある賑わい」という印象に変えることが可能。
   [4] 見物人だけでなく、一般通行人にもラリーをアピールできる。
   [5] 夜中に走るよりも宿泊するほうが、地元への経済貢献が大きい。
     →道路を通行止めにすることによって地域に与える「損害」との収支関係を配慮する。
   [6] 地元の宿泊施設やガソリンスタンドにとっても、夜間のラリーよりも対応がラク。
   [7] 都市近郊では、土曜日でも観客が来やすいよう、(睡眠時間帯ではない)夜間にギャラリーステージを開催するのもよい企画と考えられる。
★ スポンサー企業にとって、ラリー支援は慈善事業ではなく広報宣伝活動であり、投資に対する効果が問われる。投資効果がなければ支援する意味がない。投資効果が目に見えるようなラリーが求められる。
★ 外部の人にアピールするラリー、外部の人がわかりやすいラリーを実現すれば、メディアの取材も増えていくことが期待できる。

2.スポーツ性の向上:タイヤ使用本数規制の提案
(1)タイヤの使用本数規制について
   <規制の趣旨>
    ・出場者の負担を減らすことで全日本ラリーを活性化させる。
    ・できるだけイコールなコンディションを提供することで、新人にもチャンスを与える。
   <規制の内容>
   [1] 使用本数は1セクションあたり5本まで。1イベントで合計15本までに制限できるようなラリー構成とする。(3セクション以内の構成、またはタイヤ交換禁止サービスの設置)
   [2] タイヤマーキングとそのチェックを実施する。
   [3] マーキングされた以外のタイヤを使用した場合のペナルティを特別規則書に明記し、厳格に適用する。

(2)ラリー3週間前までの情報公開:タイヤ規制実施の必要条件
   [1] 各出場者が公平に準備できるよう、SSの情報を一斉に公開・告知する。
   [2] 公開・告知する項目
      ・SSの名称(例年使用している場合)、距離、路面状況、セクション構成
★ すでに多くのモータースポーツカテゴリーでタイヤ規制が実施されており、タイヤメーカー側からはもっと踏み込んだ内容の規制が要望されていた。今回は比較的緩やかな内容で、まず「最初の一歩」を踏み出すことが大切という趣旨である。今後さらに規制が強まる方向は時代の流れである。

3.諸細目の確認およびそれらに関する提案
(1)スタート前車検の項目について
   ・項目統一の提案(オフィシャルにとっても参加者にとっても便利で効率が良い。)
   ・統一項目以外で行われる場合は事前に必ず参加予定者に書類で告知

(2)車輌整備申告書の取り扱い手順について
   ・取扱手順統一の提案(オフィシャルにとっても参加者にとっても便利で効率が良い。)
   ・統一手順以外で行われる場合は事前に必ず参加予定者に書類で告知

(3)レッキの実施方法について
   [1] ロードブックはレッキ開始前に配布(当日の状況を想定してノートを作成するため)
   [2] 各SS場所の各進行方向につき2回ずつ
   [3] レッキ車輌がSS中で対向しないようなスケジュール設定
   [4] ペースノートの清書時間も考慮したスケジュール設定

(4)タイヤメーカーのサービススペースについて
   [1] サービススペースを無償で提供
   [2] サービスパークでの作業場所配置への配慮

(5)成績の表記について
   「わかりにくい」というイメージを払拭し、「速い者が勝つ」モータースポーツであることをアピールする。
   [1] 競技結果は「点」や「秒」ではなく、「○時間○分○秒」と表記する。
   [2] 「減点」ではなく、「ペナルティ」という言葉を使用する。
   [3] SSのタイムは、「減点」でも「ペナルティ」でもなく、「SSタイム」とする。

(6)同タイム者の順位決定方法について
   国際規則の導入を推奨:SS1のタイムが良いほうを上位とする。SS1のタイムが同じ場合は、SS2のタイムで比較する。SS2も同タイムの場合はSS3のタイムを比較、以下順次同様にする。

<国際規則を推奨するおもな理由>
   ・誰が見てもすぐにわかる方法が望ましい。
   ・同じ成績の者に順位をつけるのだから、「運」の要素が強くても仕方がなく、これに無理やり意味を持たせるために複雑な計算をする必然性は低い。
   ・ラリーのスタート時には全車が公平な状態で出走していると見なしてよく、競技開始間もないときにペースを調整することはあまり考えられないので、SS1のタイムを優先するのは合理的。

(7)移動区間の所要時間設定について
   [1] 所要時間の算定にあたっては、移動距離と平均速度だけでなく、ラリー当日のその時間帯の交通状況や、途中の行動(SSフィニッシュ後の停車、タイヤマーキングおよびマーキングチェック、給油など)に要する時間も考慮し、余裕を持った運転をしてもTCには予定時刻の5分前ぐらいには到着できるように設定する。
   [2] 事前の予想を裏切る事態が生じて、当初の所要時間内での移動が困難になりそうだと判断された場合は、公式通知によって所要時間の変更を通知するなど、すみやかに対応する。
   [3] 上記[2]のような対応ができなかった場合でも、不可抗力による遅延に対する救済措置を特別規則書に明記しておくことで、無理な運転や暴走を防ぐことができる。

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