全日本ラリー選手権2輪駆動部門第4戦
8月6~7日/北海道足寄郡陸別町周辺
スペシャルステージ本数:10本
スペシャルステージ総距離:約50km
ラリー総距離:約200km(2レグ)
路面:オールグラベル
路面状況:ドライ

「セッティングが合った」
上原利宏が全日本ラリー初優勝


 RTC主催の全日本ラリーは過去2年間、ラリージャパンの舞台である北海道・新得町を舞台に行われてきた。だが今年は、同じラリージャパンの舞台である陸別町へとステージを移しての開催となった。

 このラリーで過去2年間、Bクラスで圧倒的な速さを見せ付けてきたのが青沼達也(ミラージュ)など地元勢だった。新得町にしろ陸別町にしろ、そのコースは本州以南では見られない、また走るチャンスのないようなハイスピードコースばかり。それに加えて緩やかに上り下りしながら曲がるようなコースもあり、経験豊富な地元が非常に有利といわれてきた。だが「ここのコースはなかなか走るチャンスのないシチュエーションで、とても勉強になる」と2輪駆動部門の常連勢には好評でもある。

 さて今年のRTCラリー、その地元勢の雄である青沼が不参加。さらにシリーズリーダーの榊雅広(インテグラ)も欠場とあって、昨年2位に入っているアキラ(セリカ)が大本命と目されていた。アキラはシリーズ2位につけていながらまだ今シーズン優勝がない。アキラ自身、ここで勝って後半の2戦を有利にしておきたいところだ。だがSS1、あろうことかアキラはペースノートの左3のコーナーで、若干オーバースピード気味に進入したところ「全然アタマが入らなかった」とコースアウト、リタイアしてしまったのだ。そのSS1をトップで駆け抜けたのは地元の馬渕貴博(ミラージュ)だった。だがSS2、「セッティングが合った」という関東の上原利宏(シビック)がベストタイムをたたき出してラリーリーダーに躍り出た。上原はSS3こそ上原淳(インテグラ)に譲ったもののSS4で再びベストタイムをマークして、初日レグ1を2番手の森博喜(セリカ)に11秒リードのトップで終えた。レグ2最初のSS5でも上原はトップタイムをマーク、さらにマージンを広げて以降ベストタイムはないもののコンスタントに2番手、3番手タイムをマークして逃げ切りを果たし、自身初となる全日本優勝を手に入れた。

 一方、混迷を極めたのが2位争い。まずSS5で馬渕が2番手タイムをマークして森を逆転。さらにSS6ではシリーズ3位につける横尾芳則(インテグラ)がベストタイムをマークして馬渕を逆転して2位に。SS7では馬渕がベストタイムをマークして横尾を逆転。SS8では再び横尾がベストタイムで逆転2位。SS9では森が意地を見せてベストタイムをマーク。馬渕2番手、横尾3番手ながらも順位は変わらず、森が馬渕のコンマ2秒後ろにまで迫った。そして迎えた最終SS、横尾が最後を締めくくるベストタイムをたたき出し2位を死守。森が坂本岳(セリカ)につぐ3番手タイムをたたき出して馬渕を逆転して3位。馬渕は6番手タイムしか出せず、終わってみれば森にコンマ8秒差の4位に後退していた。

 これでシリーズポイントは榊がトップで横尾が2位に浮上、上原は3位浮上で、アキラは4位にまで沈んでしまった。だがポイント差は4人ともわずか。シリーズチャンピオン争いは最終戦までもつれ込みそうだ。

 毎戦勝者が違うAクラスだが、シリーズリーダーの若槻幸治郎(マーチ)には今シーズンいまだ勝ちがない。グラベルが得意な若槻だけに、ここはなんとしても勝ちたいところだ。SS1でベストタイムをマークしたのは、2003年2輪駆動部門Cクラスチャンピオンの長谷川哲(スターレット)だった。だが若槻はコンマ5秒差の2番手につけ、SS2のベストタイムでトップに躍り出た。SS3も若槻が取り、SS4はヴィッツを駆る河野健司に譲ったものの、レグ1を終えた時点で若槻は、2番手の山本剛(スターレット)に16秒以上のリードをつけていた。これだけのタイム差があれば、若槻はマキシマムアタックを敢行せずとも優勝できる。若槻はレグ2の6SS中2SSでベストタイムをマークするのみで、ラリーリーダーの座を守りきってゴール。今季初優勝を果たし、シリーズ展開をかなり有利なものにした。2位には長谷川、3位には河野が入りヴィッツの速さをアピールした。

 Cクラスのシリーズリーダー大庭誠介(スターレット)は、今シーズンは中国の国内ラリー選手権へも参戦している。今回のRTCラリーと次戦のソネットラリーが中国選手権と重なっているため、大庭はこの2戦に不参加とのウワサが流れていた。だが全日本チャンピオンを獲得するためには、この2戦欠場は大きな痛手。そこで今回は、アジア・パシフィックラリー選手権でシリーズチャンピオンに輝いた経験を持つ片岡良宏に中国選手権を託し、大庭はRTCに参戦となった。一方、ライバルの三好秀昌(フェアレディZ)は今回は不参加。大庭が有利な展開となるはずだった。だが大庭はセッティングがうまく合わずにレグ1を3位で終えた。一方で、レグ1トップは青島巧(スターレット)、2番手に藤井博樹(スターレット)と、大庭の弟子ともいえる若手が大健闘を見せる。だがレグ2に入ると大庭がスパート。SS7以降4SSすべてをベストタイムで上がり、逆転優勝を果たした。青島は2位、藤井はSS5でベストタイムをマークするもSS6でコースアウトからリタイアとなってしまい、田口慎二(スターレット)が3位に入った。これで大庭はシリーズで青島を大きく引き離し、次戦ソネットを欠場したとしても、最終戦でかなり有利な条件でシリーズチャンピオンを争うことができるようになった。

Event photo

上原 利宏&伊藤 一也(Bクラス1位)
チェックメイト・シビック

横尾 芳則&鈴木 一也(Bクラス2位)
スキルガレージカトウ自動車DC2

森  博喜&藤綱 和敏(Bクラス3位)
ミツバ・ラック・セリカ

若槻幸治郎&石丸 智之(Aクラス1位)
NRSマーチ

大庭 誠介&高橋 浩子(Cクラス1位)
REPSOL ADVAN スターレット

【各クラス優勝者】
●2輪駆動部門Bクラス
1位
上原 利宏/伊藤 一也 チェックメイト・シビック
38分46秒8
2位
横尾 芳則/鈴木 一也 スキルガレージカトウ自動車DC2
38分55秒5
3位
森  博喜/藤綱 和敏 ミツバ・ラック・セリカ
38分59秒7
4位
馬渕 貴則/島田 憲二 SK・MONK・CMSC ミラージュ
39分00秒5
5位
曽根 崇仁/桝谷 知彦 BPF★KYB★インギングセリカ
39分46秒3
6位
藤原 憲吾/中村 隆之 北大自動車部・AIM・KVS・CJ4A
39分50秒2
  

●2輪駆動部門Aクラス
1位
若槻幸治郎/石丸 智之 NRSマーチ
40分29秒7
2位
長谷川 哲/池田 徹矢 K's☆BRIG☆Hyp☆EP82
40分56秒0
3位
河野 健司/浦  雅史 DL ラックBRIG☆MJ ヴィッツ
40分59秒6


●2輪駆動部門Cクラス
1位
大庭 誠介/高橋 浩子 REPSOL ADVAN スターレット
39分18秒9
2位
青島  巧/高橋  巧 星白:ターゲット.BRIG.EP
39分27秒5
3位
田口 慎二/森脇 克也 アムロケイズオベロンスターレット
41分00秒1
注)全日本選手権クラス区分は、排気量により分かれ、Cクラスは2000ccを超える車両、Bクラスは1400ccを超え2000cc以下の車両、Aクラスは1400cc以下の車両。

【参考総合結果表】
  ●2005_2wd_rd4.pdf
  ●2005_2wd_rd4.xls
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。


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