全日本ラリー選手権第9戦
11月13~15日 佐賀県神埼郡吉野ヶ里町周辺
スペシャルステージ本数:8本
スペシャルステージ総距離:64.22km
ラリー総距離:1デイ約240km
SS路面:オールターマック
SS路面状況:ウェットのちドライ

奴田原がターマック今季初勝利でチャンピオン決定


 2009年全日本ラリーの総合チャンピオン争いは、シリーズ中盤のグラベル3連戦を全勝で乗り切った奴田原文雄ランサーがリードを保ちつつも、ターマックラリーでは勝田範彦インプレッサが圧倒的な強さを発揮して、その行方がまったく予断を許さないまま、とうとう最終戦にもつれこんだ。

 ただし現行の選手権規定のもとでは、最終戦に勝田が勝利して今季のターマック6戦を全勝で飾っても、3勝の奴田原が最終戦2位でチャンピオンを手に入れるという構図になっている。自分が優勝しても2位に奴田原以外の誰かが入ってくれなければ望みがない勝田と、ターマックで1勝もできないままではたとえタイトルを獲得しても喜べないと公言している奴田原では、この最終戦に賭ける意気込みにやや違いがあったかもしれない。

 金曜日はあいにく雨の中のレキとなったが、天気は快方に向かうという予報どおり、土曜日の朝ラリーが始まる頃には、すっかり雨もあがった。しかし路面はウェットのままで、各車ともウェット用タイヤでスタート。 ラリーは意外な展開で幕を開けた。

 SS1を制したのはブリヂストンタイヤを履く榊雅広。インテグラで参戦していた頃は「七山エンペラー」と呼ばれるほど、この地域でのイベントでは比類なき強さを誇っていた。その地元の利と、タイヤが路面にマッチしたこと、さらに路面が徐々に乾いていく状況下での9番という出走順が効を奏したのだろう。当然トップ争いをすると見られた奴田原、勝田、石田正史はそれぞれ4位、3位、6位で、この先の展開は不透明だ。

 SS2になると趨勢がやや見え始めた。榊はセカンドベストを記録して相変わらず好調ながら、奴田原が早くもこのラリー1つ目のベストタイムを奪う。勝田と石田はそれぞれ3番手、4番手タイムに甘んじ、この時点で奴田原がトップに立ってラリーの主導権を握った。

 SS1のリピートとなるSS3では、ふたたび榊がベストタイムをマークしてラリーリーダーに立つも、奴田原がそれに続き、わずか0.6秒差で2位につけている。勝田、石田のダンロップ勢がいつものスピードを発揮しきれない中、奴田原と同じく横浜タイヤを履く吉澤哲也が、奴田原とは約14秒差ながら3番手に割って入り、勝田、石田はその後塵を拝する形だ。

 SS2のコースを再走するSS4の頃になると、タイヤが通る部分の路面がようやく乾いてきた。ここでは6番出走で横浜タイヤを履く大嶋がベストタイムを奪い、奴田原が2番手、そして勝田がSS2に続いて3番手であがる。セクション1を終えた時点でトップは奴田原、9.3秒差に榊、その8.8秒落ちで勝田、その後ろに大嶋が2.9秒差でつけ、石田はそこから2.4秒遅れの5番手というオーダーだ。

 45分のサービスと、それに続くリフューエルを経て、SS5開始はSS4が終了してから2時間以上の時間が経っていた。SS4の逆走となるコースは、ほぼ全面がドライコンディションに。勝田がついにこのラリーで初めてのベストタイムを奪って反撃を開始するが、奴田原はその3.2秒差のセカンドベストで踏ん張り、首位をキープ。 続くSS6、SS7はわずか1.3kmのギャラリーステージでタイム差はほとんどつかないが、勝田にとっては奴田原との差14.9秒を少しずつでも縮めたいところ。しかしこの短いステージはいずれも奴田原が制し、SS8を残して勝田とトップ奴田原
との差は18.5秒に。ただ、勝田がこれまで幾多のターマックラリーで見せたパフォーマンスを思い起こせば、さらに、奴田原がもしもスピンなどのミスをすれば、まったく逆転不可能な数字でもない。

 だが、11.91kmのSS8を最速で走り抜けたのは石田正史で、勝田は2.1秒差のセカンドベスト。奴田原は0.3秒差でこれにくらいつき、トップの座を守り抜いた。勝田は榊を逆転して2位に上がったが、ここでラリーは終了。優勝した奴田原が20ポイントを得て有効得点を125ポイントとし、2位で15ポイントを加算した勝田に10ポイントの差をつけて今年の全日本ラリー総合チャンピオンを確定させた。
勝田の3連覇は成らず。いっぽう奴田原にとっては3年ぶりのタイトル奪還となった。

 JN3クラスはすでに前戦でシリーズチャンピオンを決めていた村瀬太シビックが、今回もスタート早々からベストタイムを連発。SS7以外のすべてを制して今季のターマック6戦を全勝し、初タイトルに花を添えた。

 JN2クラスは優勝すれば自力チャンピオンの可能性があった高橋悟志がSS3までトップを走っていたが、マシントラブルのためSS4で失速、SS5を走りきらずにリタイアした。
これで田中伸幸が今季4勝目を得て初めてのJN2クラスタイトルを確定した。

 JN1クラスは明治慎太郎が今季2勝目をあげたが、西山敏が2位に入って2年ぶり2度目のJN1クラスタイトル獲得を決めた。

 すでに大井こずゑのチャンピオンが決定しているJN1.5クラスは、天野智之が今季3勝目でシリーズ2位を確保した。

【全日本ラリー選手権 第9戦 総合結果】(出走45台/完走37台)
総合順位/クラス順位
ドライバー/コ・ドライバー
車名
トータルタイム
 1位/JN4-1位 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 49:56.6
 2位/JN4-2位 勝田範彦/保井隆宏 ラック名スバルDLインプレッサ 50:14.8
 3位/JN4-3位 榊雅広/松井博和 クスコBSitzzCMSCランサー 50:17.6
 4位/JN4-4位 石田正史/澤田茂 DLテイン マルシェ ランサー 50:22.9
 5位/JN4-5位 吉谷久俊/高田新二 RS★RxDLxLANCER 50:38.2
 6位/JN4-6位 大嶋治夫/井手上達也 セーフティ21アドバンランサー 50:49.0
 10位/JN3-1位 村瀬太/宮部弘陽 RSTアジップDLエナペタル羽山FD2 52:04.5
 14位/JN2-1位 田中伸幸/遠山裕美子 BSフォルテックitzzCMSC☆CJ4A 52:53.4
 20位/JN1-1位 明治慎太郎/田崎彩夏 OKUADVANelP.MUTG旭スターレット 53:57.0
 25位/JN1.5-1位 天野智之/井上裕紀子 DL・MOTUL・BRIG・VITZ 54:24.0
注)クラス区分の説明:JN4クラスは2000ccを超える車両、JN3は1600ccを超え2000cc
以下の車両、JN2は1500ccを超え1600cc以下の車両、JN1.5は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1クラスは1400cc以下の車両。


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全日本総合1位(JN-4クラス1位)
奴田原文雄/佐藤忠宜

全日本総合2位(JN-4クラス2位)
勝田範彦/保井隆宏

全日本総合3位(J-4クラス3位)
榊雅広/松井博和

全日本総合10位(JN3クラス1位)
村瀬 太/宮部 弘陽

全日本総合14位(JN-2クラス1位)
田中伸幸/遠山裕美子

全日本総合20位(JN-1クラス1位)
明治慎太郎/田崎彩夏

全日本総合25位(JN-1.5クラス1位)
天野智之/井上裕紀子


奴田原選手(左)
/佐藤選手

【参考総合結果表】
  2009_rd09.xls  2009_rd09.pdf
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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