JAFへの要望

 9月5日付で、下記の「JRCA活動報告とご協力のお願い(第一次)」を、JAFモータースポーツ局に宛てて提出しました。
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2. ご協力のお願い

 先ごろ青森において開催された全日本ラリー選手権四輪駆動部門第8戦「ツール・ド・東北」は、主催者・CMSC青森が当初に発表したものとはまったく異なる内容のイベントとなりました。当初の発表内容に大きな期待が集まっていただけに、それが変更されたことについて疑問を感じる人が非常に多く、主催者と出場者の相互理解を推進するJRCAとしては、それに答えていかなければならないと感じております。そのためには、貴局のご協力が是非とも必要です。
 このような事態になったのは、一言で言えば主催者の許可申請手続きに不備があったことが原因と私達は認識しております。しかしながら、実際のところほとんどの出場者はそれをじゅうぶん理解していないか、あるいは納得していないと思われます。私達は主催者から事情を聞き、その内容をすでに会員に伝えておりますが、許可申請手続きのもう一方の当事者である貴局競技課の見解を明らかにしなければ、これは片手落ちであると言えましょう。
 この件についての貴局競技課の見解を公にされることによって、多くの人の誤解や疑問を解くことができると思います。また、情報を公開することは、今後このようなことを防ぐための一助ともなるはずです。
 つきましては、下記の2点につきまして文書にてご説明くださいますよう、お願いいたします。貴局からのご返事は、そのまま会員に報告させていただきます。

(1) <具体的にどういう不備があったのか> 
SS実施に必要な書類を審査される貴局競技課の立場におかれまして、「ツール・ド・青森」の当初の申請内容にどのような不備があったのか、できるだけ具体的に(所轄機関名称、書類名、書類に記された表現の内容などを挙げて)ご説明くださいますよう、お願いいたします。

(2) <具体的にどうすればよかったのか>
その不備を補うためには、主催者は、どこに行って何をするべきであったのか、具体的にご指摘くださいますようお願いいたします。

3.今後の課題についてご検討のお願い
 JRCA設立準備会からの1年の活動および最近のアンケートを通じて、非常に困難な問題が多くあることを再認識するいっぽう、ある程度進むべき方向が見えてきた問題もあります。それらの中で、このたびは、現在の状況改善に向けて是非ともご検討いただきたい事柄について、ご報告させていただきます。
 これらを取り上げた理由の一つは、これらがすべて、全日本ラリー主催者にとってイベントの運営を難しくしている主要な要素を構成しているからです。ラリー振興には、現実問題として、まず「良いイベント」を運営してもらうことが第一であり、これには主催者が大きなカギを握っています。(「良いイベント」を簡潔に定義づけるのは難しいですが、あえて言えば、「スポーツ性が高く、観て面白いこと」と「周辺社会に受容され支持されること」が必須条件かと思います。)これらの項目が実現されれば、主催者が「良いイベント」を立案・運営するための環境がかなり整うのではないかと考えます。
 JRCAは今後きめ細かく会員の意見を吸い上げ、これらの事柄について詳しく調査・検証していく所存です。その前提で、貴局におかれましてもこれらについて吟味され、近い将来における実現を視野に入れて、前向きにご検討くださいますようお願いいたします。

(1) 全日本ラリー開催準備段階における問題解消への対策を要望します。
ラリーを開催するためには、主催者は貴局競技課に対して申請書類を提出しなければなりませんが、前述のCMSC青森のように、許可申請手続きの不備を指摘される場合が多々あると聞いております。このような状況を改善するために、以下のようなご協力をいただけないものかどうか、ご検討をお願いします。

1. 主催者の理解促進支援  必要な手続きについては明文化されているにも関わらず、不備を指摘されるケースが後を断たないのは、内容に対する理解がゆきとどいていないことが原因ではないかと思われます。そこで、主催者を集めて説明会を行ったり、あるいは、内容をより具体的に説明したマニュアルを発行するなど、正しい知識を浸透させるような方策を実施してくださるよう要望いたします。

2. 関係諸機関との交渉支援  主催者がラリーおよびSSの許可を各地域の関係諸団体(警察など)に申請するにあたり、地域あるいは機関ごとに理解度や見解がまちまちで、交渉に非常な困難をともなうこともあるようです。このような場合、たとえば、貴局職員が主催者に同伴して関係諸機関に交渉に出向いてくださるとか、貴局のほうから直接、そのような手続きの必要性および合法性について担当者に説明していただくなどして、各主催者と関係諸機関との交渉を支援していただければと思います。このような制度の実現を要望いたします。

3. 関係諸機関への周知徹底  ラリーおよびSSが違法なものという誤解が開催許可申請を困難にしている場合もあると聞きます。モータースポーツを推進するという貴局の立場をもって、この競技は所定の手続きを経れば合法的に行えるということを、全国の関係諸機関に周知徹底させてくださるよう要望いたします。

(2) 全日本ラリー選手権において、四駆部門と二駆部門の併催、および地方選手権との併催が認められるよう要望します。
一昨年より全日本選手権および地方選手権は二輪駆動車と四輪駆動車それぞれに対して別々にイベントを開催しなければならなくなりましたが、その結果、イベント数が増え、イベントあたりの出場者数が激減したことは周知の事実です。そして、下記のような問題が生じることとなりました。

(i) 現状では、主催者はラリーの開催運営費用の大部分を出場者からのエントリーフィーに頼っているため、エントリーの減少は運営資金の減少を意味します。経済的に余裕のない状況では、イベントの「質」の維持も困難になっています。「質」という言葉には、競技運営面だけでなく、開催環境の保全や、参加者、観客さらには周辺住民の安全確保などの問題も含まれます。

(ii) 二駆と四駆、全日本戦と地方戦がそれぞれ独立して開催されなければならないため、同一地域で頻繁にラリーが開催されることになります。このため、ラリー開催によって周辺の社会生活および環境に影響を与える機会も増えています。
 とくに(ii)の問題は、世界的に「環境」や「暮らしの質の向上」に対して関心が高まる中では、時代に逆行するものでもあります。地域社会との共存共栄を目指していかなければならない「ラリー」という競技の性質を考えると、この問題は非常に重要であり、併催によってイベント数を減らすことは、遅かれ早かれ、必ず実現しなければならないことと考えます。
 上記2つの問題の解消のために、四駆部門と二駆部門、全日本戦と地方戦との併催が可能になるよう、規則等の整備についてご検討くださいますようお願いいたします。これらの併催が実現すれば、さらに良いことには、一つのイベントに多彩な車種が参加することになり、イベントとしての面白みも増え、一般へのアピールもよりしやすくなるというメリットもあります。

(3)  全日本ラリー選手権において、総行程に対するSS距離比率の制限が撤廃されるよう要望します。
昨年、全日本選手権に限ってSS総距離の上限が撤廃されました。これは国内ラリーの最高峰である全日本選手権のスポーツ性確保のための措置と理解しております。しかしながらその一方で、イベントの総行程に対するSS距離の比率を30%以下に制限する規則、およびイベント総行程を250km以上とする規則は残ったままです。これらの規則があるために、たとえSS区間が小さな地域にまとまっていても、全日本選手権として成立するためには、不必要なリエゾン区間を設定してラリー全体を250km以上にしなければなりません。また、SS距離が83.33kmを越える場合は、さらに全体の距離を増やし、ラリーを長大化させなければなりません。それによって以下のような問題が生じています。

(i) 不必要なリエゾン区間を設定しなければならないため、主催者はラリー構成をスピーディかつコンパクトなものにしたくてもできません。

(ii) 不必要なリエゾン区間は、ガソリンの無駄、時間の無駄、出場者のエネルギーの無駄につながります。

(iii) 時間が長くかかるために、SSに使用する道路の閉鎖時間も長くなります。また、必要がないのに何度も同じ地域を走行したり、遠いところまで単に距離を稼ぐために移動したりして、周辺の交通や地域住民の生活に対するインパクトが増大します。
つまり、距離比率および最短総行程の規定は、主催者にとってラリーを作りにくくしているだけでなく、(ii)のように環境およびエネルギーの視点から見て時代にそぐわないものえあり、(iii)のように周辺の地域社会に不必要な迷惑をかけることにつながるものです。ひいては主催者および出場者の負担増にもなります。
スポーツ性の高いラリーにおいて最も重要な意味を持つものは、SSのタイムでありSSの総距離です。総行程やリエゾンの比率は関係ありません。世界ラリー選手権(WRC)においても、SS総距離に関する規定はありますが、総行程やリエゾンの比率についての規定はありません。これは、WRCというスポーツ性の高いラリーにおいては、SSこそが競技の中心であるからに他なりません。
日本において、SSつまりタイムトライアル区間と、それ以外の区間との距離の比率が規定された背景には、以前はタイムトライアル区間以外の部分の「減点」も競技の重要な要素を構成していたことがあります。そのようなラリーも依然として存在してはいますが、今日の全日本選手権では、SSとリエゾンだけから成るラリーがほとんどです。つまり、上記のWRCの例からも容易に理解できることと思いますが、このようなラリーにおいては総距離の規定およびSSとリエゾンの距離比率の規定は意味を持ちません。そして、現状ではこれら無意味な規定が、ラリーの社会的、環境的インパクトを不必要に増大させているのです。
これらの規定について廃止の方向でご検討くださいますよう要望いたします。

上記の項目に関しては、JRCAとしてもさらに詳しく検討を重ねる方針であることはすでに記したとおりですが、貴局においてご検討される際に、ご不明な点やご提案などがありましたら、ご遠慮なくJRCA事務局までご相談ください。当会といたしましても、できる限りのご協力をさせていただく所存です。
どうぞよろしくお願いいたします。


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