シリーズの行方を決める大勝負
奴田原文雄が今季2勝目を獲得
9月16~18日/北海道・赤井川村周辺
スペシャルステージ本数:13本
スペシャルステージ総距離:約105km
ラリー総距離:約350km
路面:オールグラベル
路面状況:ドライ/ウエット
ラリージャパンを2週間後に控えた9月17日、同じ北海道ながら小樽付近の赤井川村を中心に、全日本ラリー選手権4輪駆動部門第4戦KIRORO
Traverse Kamuimindara 2005 Rally in Akaigawa(キロロ トラバース カムイミンダラ2005 ラリー イン 赤井川)が開催された。全5戦が組まれた今シーズンの全日本ラリー4駆部門。取りこぼしができない、シビアな戦いが続いている。ここまでCクラスのシリーズをリードしているのは、優勝2回3位1回で初チャンピオンに意欲を燃やす鎌田卓麻。その鎌田を優勝1回2位1回3位1回の04年チャンピオン奴田原文雄が追う展開。第4戦を前に二人のポイント差はわずか5点。どちらも何とか1勝をもぎとって、最終戦での戦いを楽にしておきたいところ。事実、ラリーを前にして二人とも「今回が天王山」と口をそろえていた。
ラリーは初日レグ1には3セクション7SS、2日目のレグ2には3セクション6SSが設定されていた。約1ヶ月のインターバルの間マシンのセットアップを進めてきた奴田原が、SS1から好調な滑り出しを見せた。最初の2SSでベストタイムをマーク。この時点で2番手の鎌田に約20秒もの大量マージンを築いていた。鎌田も負けじとSS3でベストタイムをマークするも、奴田原はそのコンマ4秒差であがる。ここで「今回はやりますよ!」とスタート前に語っていた勝田範彦が、鎌田の1.4秒差の3位につける。なんとか2位をキープしたい鎌田は、奴田原をマークしつつ、勝田との激しい2位争いをすることになった。
続くSS4は奴田原がベスト、SS5はBクラスで車両火災が起きた影響でCクラスはキャンセルとなった。レグ1も残すところ2SSのみ。この時点で小雨がポツポツ降り始めた。翌レグ2の天気予報は雨。SS6前のサービスで、ドライパターンのソフトコンパウンドのタイヤに履き替えるクルーが多かった。だがそんななか、奴田原は翌日の雨を想定してウエットタイヤをチョイス。今シーズンは雨が降らず、ウエットタイヤのフィーリングを確認しておこうという作戦だったようだ。1.45kmのSS6は奴田原がベストタイム。続くレグ1最終のSS7では、奴田原のチームメイト田口幸宏がベストタイムをたたき出して初日をしめくくった。レグ1を終えてのオーダーは、トップ奴田原。その34秒後ろに鎌田がつける。勝田は鎌田の2.8秒後ろの3番手、田口は勝田の2.4秒後ろの4番手だ。
一晩中降り続いた雨は一夜明けても止む気配は全くない。レグ2は雨の中のスタートとなった。まずSS8、勢い良く鎌田がベストタイムをたたき出す。だがSS9で勝田がベストタイムをマークして鎌田を2.5秒逆転して2番手に躍り出た。勝田はその後もSS10、11と連続ベストをたたき出し、鎌田との差をどんどん広げていく。鎌田はSS12で再びベストタイムをたたき出すも、最終SSを前にトップ奴田原は安泰で2番手勝田に30秒以上の大差、勝田と鎌田との差は22秒8にまで広がっていた。4番手の田口と鎌田との差は13.8秒。最終SSは約20kmのロングステージだが、それぞれのタイム差は、よほどのことがなければ縮まらない。だがその「よほどのこと」が起きてしまった。SSゴールの手前約200m地点。左コーナーイン側に出ていた石に鎌田が乗り上げ、なんと転倒からリタイアしてしまったのだ。
結果、奴田原がブッちぎりの優勝。2位に勝田、3位に田口、4位には初日不調ながらレグ2で復調した平林織部が入った。これで奴田原はポイントを67に伸ばし、今回ノーポイントに終わった鎌田との差を15ポイントとした。これで、最終戦で鎌田が優勝したとしても、奴田原は6位入賞でチャンピオンが決まるという、奴田原にとって非常に楽な展開に持ち込むことができた。その最終戦、いったいどんな戦いが繰り広げられるのか。鎌田が勝って奴田原が7位以下なら、鎌田は待望の初チャンピオンを手に入れる。また奴田原が6位以内だと、JAF全日本ラリー選手権史上初となる、Cクラス6度目のドライバーズタイトル獲得となる。どちらにしても、最終戦が待ち遠しい。
Bクラスは第4戦を前に、原口真がチャンピオンに王手をかけていた。シーズン前に原口は「ことしは5戦しかないから取りこぼしはできない。勝てなくても2位とか3位とか確実にポイントを重ねておかないとチャンピオンは難しいだろう」と語っていた。言葉のとおり原口は序盤2戦を連勝し、第3戦は負けを最小限に抑えて2位に入っている。対する大嶋治夫、田中伸幸は、リタイアや3位以下のポイントが多く、第3戦を終えた時点で、原口に引き離されてしまった感があった。
Bクラスの戦いは大嶋治夫のベストタイムで始まった。続くSS2を地元の関根正人が制してSS3は再び大嶋が取り、序盤で大嶋が2番手原口を4秒リードする。原口に遅れること1.6秒で田中。関根も田中の1.2秒後方につける。続くSS4、5と大嶋が破竹の勢いでベストタイムを連発。原口も負けじとSS6、7でベストタイムをマーク。その後方で田中、関根はずるずると遅れだし、レグ1を終えて大嶋と原口の差はわずか3.3秒! 大接戦となっていた。
レグ2に入っても大嶋の勢いは止まらない。SS8こそ関根に譲ったもののSS9でベストタイム、SS10は田中伸幸がベストタイムを出すも大嶋はそのコンマ9落ち。その後も大嶋はSS11、12とベストタイムを連発する。最終SS13は原口が奪取するも時すでに遅し。結局大嶋が2位原口に45秒も大差で今季2勝目をゲットした。だが原口が2位に入ったことで、原口の05シーズンチャンピオンが決定。大嶋にしてみれば、遅すぎた2勝目と言えたかもしれない。「Bクラスはことしで最後。最後のチャンピオンになりたい」とシーズン前に語っていた原口。最終戦を前に、念願の「最後のチャンピオン」に輝くことができた。
Aクラスはシリーズリーダーの小倉雅俊がラリージャパン参戦に専念するため今回は不参加。そうなると平塚忠博、小野寺清之のチームメイト同士の争いとなる。どちらも今回勝って最終戦を有利にしたいところ。SS1、2と小野寺連続奪取で始まった戦いだったが、その後平塚がスパートするが、レグ1は小野寺が4秒リードしてトップで折り返した。だがレグ2、平塚も頑張ってベストタイムをマークするも、小野寺がトップを守りきり、うれしい今シーズン初優勝を手に入れた。最終戦を前にポイントトップは小野寺で60ポイント。だが平塚がわずか5ポイント差で続く。不参加の小倉は45ポイントと、わずかながらチャンピオンの可能性を残して最終戦に臨むことになった。
【各クラス優勝者】
●4輪駆動部門Cクラス |
1位
|
奴田原 文雄/小田切 順之 |
ADVAN-PIAAランサー |
1:20:50.0 |
2位
|
勝田 範彦/北田 稔 |
ラック名スバルSti IPF DL インプレッサ |
1:21:31.2 |
3位
|
田口 幸宏/佐藤 忠宜 |
アドバンPIAAカヤバランサー |
1:22:27.9 |
4位
|
平林 織部/晝田 満彦 |
5ZIGEN・Dunlop インプレッサ |
1:23:03.2 |
5位
|
星野 博/渡辺 孝次 |
クスコポテンザCMSCランサー |
1:23:31.1 |
6位
|
炭山 裕矢/星野 元 |
クスコスバルADVANインプレッサ |
1:23:45.4 |
7位
|
高田 修/盛合 とうこ |
ADVANKYBGamランサー |
1:24:24.6 |
8位
|
桑田 幸典/湊谷 孝司 |
AIM北大ランサー1.5 |
1:25:05.6 |
9位
|
岩下 英一/高橋 昭彦 |
オクヤマ ランサー EV08 |
1:25:28.4 |
10位
|
坂上 哲司/原 信義 |
カマタスポーツランサー |
1:28:05.9 |
●4輪駆動部門Bクラス |
1位
|
大嶋 治夫/井手上 達也 |
SAFETY21ADVANGC8 |
1:27:51.6 |
2位
|
原口 真/松井 和子 |
SPM・DL・インプレッサ |
1:28:36.8 |
3位
|
田中 伸幸/波川 弘 |
クスコBS CMSC wmランサー |
1:29:19.6 |
●4輪駆動部門Aクラス |
1位
|
小野寺 清之/黒田 正彦 |
ダイハツ ストーリア×4 |
1:27:36.5 |
2位
|
平塚 忠博/鈴木 裕 |
ダイハツ ストーリア×4 |
1:27:41.9 |
3位
|
原 宴司/原 聡子 |
ウィンマックスDLストーリア |
1:35:57.5 |
注)クラス区分は、排気量により分かれ、Cクラスは2000ccを超える車両、Bクラスは1400ccを超え2000cc以下の車両、Aクラスは1400cc以下の車両。
【参考総合結果表】
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。