全日本ラリー選手権第8戦
10月16~18日 岐阜県高山市
スペシャルステージ本数:12本
スペシャルステージ総距離:73.410km
ラリー総距離:2デイ約360km
SS路面:オールターマック
SS路面状況:ウェット、一部ドライ

勝田範彦インプレッサがターマック5勝目


 ハイランドマスターズといえば、素晴らしい紅葉が名物の一つになっているが、一昨年は暖冬のため色づきが遅れ、去年はラリージャパンへの配慮により10月の第1週に開催された。全日本ラリーが紅葉と時を同じくして行われるのは3年ぶりだ。

 金曜日のレッキは錦秋を愛でるに最適な好天に恵まれたが、一夜明けると空は曇り。午後に一時雨が降るという天気予報にも関わらず、朝から雨粒が落ちてきた。ラリーのスタートは午前11時。この後の天気の推移によっては、各チームのタイヤチョイスが勝負のカギを握ることになりそうだ。

 3年連続総合チャンピオンをめざす勝田範彦インプレッサと、3年ぶりチャンピオン奪還を狙う奴田原文雄ランサーの戦いは、ポイント上では奴田原がかなり有利とはいえ、実質的にはどちらにとっても条件はほとんど五分五分ともいえる。そんな厳しい状況の中、今回もターマックキング勝田範彦がその名にたがわずSS1を制した。

 SS1と同じ林道をリピートするSS2は、勝田と同くダンロップユーザーの石田正史が0.3秒差でベストラップを奪い、駐車場に作られた30秒ほどの短いコースで競うSS3、SS5は、いずれも元ジムカーナチャンピオンの古谷哲也が制したが、同じ林道の3度目となるSS4では勝田が再びベストタイムを刻み、2番計時の奴田原を5.1秒差に突き放した。セクション1の19kmのSSを終えた時点で、勝田が順当に先頭を走り、3位奴田原とは早くも14.5秒差。石田正史が勝田と7.3秒差で間に割って入っている。

 1時間のサービスを挟んでラリーカーは午後4時前にサービスパークを出発、SSが始まるのは午後5時に近く、ナイトステージに突入する。このセクション、「一時雨の後曇り」という天気予報を信じたクルーはドライ用タイヤをチョイス、天気予報よりも目の前の空を見て判断したクルーはウェット用を選んだようだ。

 しかし天気予報とはうらはらに空模様は気まぐれに変化し、SS中でも出走順によって路面が著しく異なる状況となった。冒頭のSS6では、トップ石田正史、2位勝田というのはほぼ予想できる展開だが、JN3クラスの村瀬太シビックが総合3番手タイム、曽根崇仁セリカが6番手、JN1.5クラスの青島巧が7番手タイムを記録するなど、後方出走になるほど路面が乾いていったことがうかがえる。逆にSS7では後方ほど雨が激しくなったようだ。

 しかしこのように雨が降ったりやんだりでコンディションがころころ変わる難しい状況も、勝田には本領発揮のチャンスとなったか、SS8終了時点で2位石田正史に対して25.2秒のアドバンテージを築いてデイ1を終えた。奴田原はその3.1秒差で3番手につけている。

 明けてデイ2。ラリーは舞台を高山市の南西部へ移す。高山市東部で展開したデイ1のほぼ半分が、過去何十年も使ってきた林道であったのに対し、デイ2の林道はいずれも歴史が浅く、過去1~2度しか使ったことがない。その冒頭のSS9を制したのは、デイ1で4位につけていた横尾芳則ランサーだ。しかし横尾は続くSS10でフロントをヒットしインタークーラーを破損。SS10を走りきった時点でラリーを終えることになってしまった。
 
 いっぽう奴田原はSS9で横尾に次ぐセカンドベストを刻み、石田正史を逆転して2位に浮上。続くSS10では石田正史がわずかに奴田原を上回り、SS10終了時点で1/10秒単位までまったく同タイムの2位に並んだ。だがこのデッドヒートは、SS11で石田正史がコースアウトしたことであえなく決着した。

 勝田はラリー終盤のSS10、11、12を連続ベストタイムで締めくくり、今年ターマックラリーでは土つかずの5勝目を達成。しかし奴田原が2位を手に入れたため、ポイントでは依然として奴田原がリードしており、タイトルをかけた勝負は最終戦に持ち越される。
 
 JN3クラスは村瀬太シビックがターマック全勝の5勝目をあげてクラスチャンピオンを確定した。村瀬は初のタイトル獲得となる。JN2クラスは高橋悟志が3連勝し、逆転チャンピオン奪取へ望みをつないだ。

 JN1.5クラスは、天野智之が優勝しても大井こずゑが4位に入れば大井のタイトルが決まるという状況でスタート。天野はセクション1では順当にトップを走っていたが、セクション2でタイヤ選択に失敗して遅れ、最終的にはSS10でドライブシャフト破損のためリタイア。
天野とトップ争いをすると見られた青島巧も浮き沈みが激しく、勝ちを狙わず終始淡々と走った大井こずゑが優勝し、女性初のラリードライバーチャンピオンを確定した。

JN1クラスは成立しなかった。

【全日本ラリー選手権 第8戦 総合結果】(出走29台/完走18台)
総合順位/クラス順位
ドライバー/コ・ドライバー
車名
トータルタイム
 1位/JN4-1位 勝田範彦/保井隆宏 ラック名スバルDLインプレッサ 56:41.0
 2位/JN4-2位 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 57:14.7
 3位/JN4-3位 吉澤哲也/井手上達也 セイフティ21アドバンランサー 58:21.5
 4位/JN3-1位 村瀬太/宮部弘陽 RSTアジップDLエナペタル羽山FD2 1:00:00.7
 6位/JN4-4位 古谷哲也/横川紀仁 DL itzz.ランサー 1:00:27.5
 6位/JN4-5位

小館優貴/田中直哉

アライモータースポーツインプレッサ 1:00:38.7
 9位/JN2-1位 高橋悟志/箕作裕子 ミツバWM DLラックMgレビン 1:02:09.4
 12位/JN1.5-1位 大井こずゑ/竹下紀子 CMSC*ROSEコルト 1:03:13.7
注)クラス区分の説明:JN4クラスは2000ccを超える車両、JN3は1600ccを超え2000cc
以下の車両、JN2は1500ccを超え1600cc以下の車両、JN1.5は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1クラスは1400cc以下の車両。


【ドライバーズポイントランキング】(総合/第8戦終了時点)
順位
ドライバー
ポイント
 1位  奴田原文雄  115pts
 2位  勝田範彦  100pts
 3位  石田正史  53.4pts
 4位  福永修  52.4pts
 5位  横尾芳則  31pts
 6位  吉澤哲也  30.8pts
※第6戦はSS距離が150kmを越えたため係数1.2がかかっています。
※上記のポイント合計は、JRCAの独自集計によるものです。 正式ポイントおよび内訳はJAFホームページをご参照ください。


Event photo
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全日本総合1位(JN-4クラス1位)
勝田 範彦/保井 隆宏

全日本総合2位(JN-4クラス2位)
奴田原 文雄/佐藤 忠宜

全日本総合3位(J-4クラス3位)
吉澤 哲也/井手上 達也

全日本総合4位(JN3クラス1位)
村瀬 太/宮部 弘陽

全日本総合9位(JN-2クラス1位)
高橋 悟志/箕作 裕子

全日本総合12位(JN-1.5クラス1位)
大井 こずゑ/竹下 紀子

スペシャルステージ


勝田選手(左)
/保井選手

【参考総合結果表】
  2009_rd08.xls  2009_rd08.pdf
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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