ツール・ド・九州2013 in 唐津

開催日時:4月12~14日
開催場所:佐賀県唐津市周辺
スペシャルステージ本数:19本
スペシャルステージ総距離:67.54km
ラリー総距離:313.69km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1 ドライ、デイ2 ドライ
ポイント係数:1.0

ラリー概要

2013年度のJAF全日本ラリー選手権は全9戦。そのうち有効ポイントは7戦分となり、同点の場合は、先に開催されたイベントでいい成績を収めた選手が有利となる。ポイント係数は1.0と標準的ではあるが、その意味でも開幕戦は選手権を追う上で非常に重要だ。今年も、九州は佐賀県唐津市周辺で行なわれるターマックラリー「ツール・ド・九州2013in唐津」から、全日本ラリーの幕が開いた。開幕戦らしくすべてのクラスが成立し、37台のラリーカーが勢揃いした。

唐津のコースはまさに九州特有の道と言え、コーナーの奥が大きくまわり込むようなコースが多い。そのため、多くの選手が旋回性能の高いインプレッサが有利と語っている。また、舗装路面の骨材がタイヤへの攻撃性が強く、4WDはもちろん、FFやFRにとっても「タイヤに厳しい」と言われる林道が多い。いずれも山間部を走るワインディングロードで、デイ1の「林の上」、デイ2の「三方」はこのラリーを代表する名物コースだ。旋回スピードをかせぐとともに、規定により10本まで使えるタイヤをどのようなローテーションで交換するかが勝敗の大きな鍵を握る。

デイ1のコースは唐津市の東に位置する七山周辺の山間部コース。午前中に3.93kmの「林の上」、2.95kmの「浮岳」、2.31kmの「黒木平」を2回ずつ走行。昼のサービスをはさんで、午後からは同じコースを逆走する4.29kmの「林の上リバース」、2.32kmの「黒木平リバース」、2.85kmの「浮岳リバース」を2回走行するという、12本のショートステージが用意された。

デイ2はサービスを挟まずに7本のSSをこなす。サービスパークが置かれた唐津壱岐フェリーターミナルの埠頭に設置された0.36kmのギャラリーSS「シーサイド」を走行し、唐津市街地から南に移動。イベント最長10.90kmの名物ステージ「三方」とタイトな3.81kmの「白木々場」を2回ループ。特に「白木々場」は、排気量1500ccまでと絶対的なスピードが遅いJN2クラスの車両が、排気量3000ccまでOKなJN3クラスの車両のタイムを上まわることもある、非常にタイトなコース。最後に埠頭に戻り、2本のギャラリーSSで締めくくられる。

ラリー前には、いざという時に選手自身が対応できるよう救急活動訓練を実施。例年の恒例行事として、金曜日の夕方17時から唐津神社でクルーたちは1年のラリーの無事と選手権の成功を祈ってお祓いを受け、集まった観客と古の神々に見守られながら順にセレモニーを行った。

JN4クラス:勝田範彦が唐津連続優勝の記録を「8」に更新

ランサー、インプレッサがしのぎを削るJN4クラスは、ディフェンディングチャンピオンでありこの唐津は7連勝中の勝田範彦GRBが序盤からリード。16本中同タイムを含む9本でベストタイムをマークし、2位の奴田原文雄CZ4Aに10.4秒差をつける。3位は柳澤宏至GRB、4位に福永修GRBと、インプレッサ勢有利の下馬評どおりの展開だ。

デイ2に入ると、1本目のギャラリーステージこそ奴田原が勝田に1.1秒差のベストタイムを刻むも、ロングステージの「三方」で勝田が奴田原を7.7秒上まわるスーパーベストでその差は17秒と大きく開いてしまう。続く「白木々場」では奴田原が2.7秒巻き返すも、事実上ここで勝負は決着。勝田が唐津8連覇の偉業とともに、2013年の開幕戦を制した。2位は奴田原で、デイ2でトップタイムを刻むデイポイントも獲得。以下、3位柳澤、4位石田正史CZ4A、5位福永と続いた。

JN3クラス:S2000&86勢を押さえた山口清司レビンが開幕戦勝利

昨年のチャンピオン眞貝知志が、今季はターマック3戦のみのスポット参戦となったJN3クラス。新たな戦いが予想されるなか、昨年モータースポーツ界でいち早くトヨタ86が投入され、話題をさらったJN3クラスには今年も4台の86が登場。2010年以来の全日本ラリー復帰となる横尾芳則がGAZOOラック86で、さらに曽根崇仁がセリカからインギング86に乗り換えて参戦。クスコの三好秀昌、ハセプロカラーの阪口知洋らが注目を集めた。

しかし、ラリーは序盤から地元九州出身の筒井克彦AP1と、熟成極まるAE111レビンを駆る山口清司が好タイムを出し、デイ1を終えて山口が首位、0.2秒差の2番手に筒井、首位から9.2秒遅れの3番手に三好という順で、86勢はやや押され気味だ。

明けたデイ2もロングステージで好タイムを刻む山口が、一時はタイヤバーストで危ういシーンもあったが後続を押さえて勝利。2位は筒井、3位に三好と、86勢は一歩及ばず。86で初参戦となった横尾は、SS14のロングステージでは山口を9.2秒上まわるベストタイムをマークするなど速さを見せたが、SS15でのスピンの影響が大きく4位に終わった。

JN2クラス:七山キング榊雅広が初代ヴィッツで完全勝利

排気量1500ccまでのマシンで争われるJN2クラスは10台が参戦。昨年のチャンピオンである天野智之NCP131ヴィッツ、昨年は同点で2位に終わったNCP13の川名賢ら、有力選手が数多く出場したが、地元の七山キングの異名をとる榊雅広が圧倒的な速さを披露。榊は普段はJN4でランサーエボリューションをドライブしていたが、JN2の前身であるJN1.5クラスでは三菱コルトを駆って初代チャンピオンに輝いた経験もある。今回は加勢eレーシング製のNCP13を駆り、実に14本ものベストタイムを刻み、総合順位でもJN3クラスに食い込む12位で完勝を果たした。

2位は安東貞敏とのコンビで出場した川名、デミオの岡田孝一が3位を獲得した。チャンピオンの天野は4位とやや出遅れた。

JN1クラス:AK12マーチの小泉茂が2年連続で勝利

昨年は全イベントで成立したJN1クラスは、今年はチャンピオンの山口貴利がJN3クラスにスポット参戦するためチャンピオン不在となったが、5台のエントリーを集めて成立。デイ1は昨年の唐津を制したAK12マーチの小泉茂がリードを広げる。2位はJN1クラスに初めてロータリーエンジンを搭載するSE3P RX-8を投入した難波巧。まだ完成度は低いとしながらも2カ所のSSでベストタイムを刻み、ニューマシンへの期待を抱かせる。M112SストーリアX4を駆る松岡竜也が3位で続くが、タイム差はすでに51.5秒差まで広がっている。

デイ2になると、勝負どころの「三方」と「白木々場」で小泉が圧倒的なタイムで後続を引き離してそのまま優勝。2位が期待された難波だったが、SS15でエンジンに火が入らないトラブルが発生し惜しくもリタイア。松岡が2位、AK12マーチの山北研二が3位に入った。

総合結果

出走37台/完走33台

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN4-1 勝田範彦/足立さやか ラック 名スバル DL WRX STI 55:35.9
2 JN4-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 55:46.1
3 JN4-3 柳澤宏至/中原祥雅 CUSCO ADVAN WRX-STI 56:22.1
4 JN4-4 石田正史/宮城孝仁 DL テイン マルシェランサー 56:41.8
5 JN4-5 福永 修/奥村久継 ハセプロ CL☆DLインプレッサSTI 57:10.2
6 JN4-6 高山 仁/河野洋志 NENC IMMENS DLインプレッサ 57:11.8
9 JN3-1 山口清司/島津雅彦 エナペタル ADVAN久與レビン 58:39.3
12 JN2-1 榊 雅広/井手上達也 加勢eレーシング ADVAN ヴィッツ 58:51.2
26 JN1-1 小泉 茂/小泉由起 TG厚木OKU安斉自工ADVAN マーチ 1:01:43.1

注)JN4クラスは3000ccを超える車両、JN3は1500ccを超え3000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1は1400cc以下の車両(過給器つき車両は排気量×1.7で換算)

参考総合結果表: 2013_rd01(PDF)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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