YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg
開催日時:6月9日(金)〜11日(日)
開催場所:京都府京丹後市周辺
スペシャルステージ本数:12本
スペシャルステージ総距離:117.36km
ラリー総距離:297.90km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ/ウエット
ポイント係数:1.2
2023年シーズン全日本ラリー選手権第5戦「YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg」が、6月9日(金)~11日(日)にかけて京都府京丹後市を拠点に開催され、トップカテゴリーのJN-1クラスはシュコダ・ファビアR5をドライブしたヘイキ・コバライネン/北川紗衣が勝利を飾った。2位にはシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoの福永修/齊田美早子、3位にプジョー208ラリー4の新井大輝/毛利太哉が入っている。
第2戦新城から続いてきたターマック4連戦、その最終ラウンドは日本海を望む京都府が舞台となる。そのステージは、丹後半島を南北に貫く丹後縦貫林道を区切って設定。全般的にスムーズでクリーンな路面を特徴とするが、低速・高速コーナーが入り組んでおり、どこにターゲットを絞って足まわりのセッティングを決めるかが攻略の鍵になる。また、梅雨の時期に入っており、天候の変化にも注意が必要だ。
レグ1
6月10日(土曜日)のラリー初日は、丹後半島中部から南へと向かう3SS「Tsunotsuki (9.28km)」「Nariai(13.07km)」「Iwataki Okuyori(6.69km)」を、サービスを挟んで2度走行する6SS、58.08km。今シーズン、ここまでウエット中心の戦いが続いてきた全日本ラリー選手権だったが、この日は久々に完全なドライコンディションでの走行が実現した。
今年は京丹後市役所で行われたセレモニアルスタートに続き、クルーは9.28kmを走行するSS1へ。オープニングステージでベストタイムを刻んだのは、もっかターマック3連勝中のヘイキ・コバライネンだった。このステージだけで2番手タイムの福永修に6.7秒差、3番手の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリスJP4-ラリー2)に7.5秒差をつける圧巻の一番時計。コバライネンはSS2とSS3でも余裕のベストタイムを並べ、クラス2番手の福永に17.1秒差、クラス3番手の勝田に20.8秒差をつけて、午前中のセクションを終えた。
49.1秒差のクラス4番手には、唐津以来の登場となった新井大輝。53.1秒差のクラス5番手には眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)、54.0秒差のクラス5番手に柳澤宏至/竹下紀子(トヨタGRヤリス)と、4番手から6番手までは僅差のバトルが繰り広げられている。
ラリーは、京都産業21に設置されたサービスパークでの45分間のサービスを挟んで、午前中に走行したステージをリピートする午後のセクションへ。首位のコバライネンは、路面コンディションが比較的良好だったことをうけて、あえてタイヤを交換せず、スペアタイヤを1本下ろしてスタート。さらにペースを上げ、2番手以下を大きく引き離す3連続ベストをたたき出した。終わってみれば、この日行われた全SSを制覇し、2番手福永との差を45.3秒にまで拡大。余裕のトップで初日を折り返している。
午後のセクションでは、SS4とSS5で勝田がセカンドベストをマークし、福永に1.3秒差にまで迫った。しかし、SS5の途中で勝田のGRヤリスJP4-ラリー2に排気漏れの症状が発生し、SS6ではパワーダウンを余儀なくされてしまう。結局、SS6は福永が勝田を5.5秒上まわり、その差は6.8秒に広がった。勝田はサービスまで自走で戻ってきたものの、トラブルの影響確認も含め、最終日に万全な状態で出走することを目指してデイリタイアを選択。これでJN-1クラスは新井大輝が1分53秒5差の3番手に浮上、4番手は首位と1分57秒6差の柳澤、5番手に1分59秒3差の眞貝が続く。
ターマックではもはや敵なしの状態となったコバライネンは「今日の走りには満足しているよ。タイヤ1セットで午前と午後を走り切れたからね。特に午後のループは良いフィーリングで走ることができた。僕は先頭スタートだし、午前中は少しダストが路面に残っていたんだ。でも、午後はクリーンになってグリップレベルが上がったし、タイヤを1本下ろしたことで、クルマが少し軽くなったことも大きかった」と、納得の笑顔を見せる。
勝田のトラブルもあり、2番手をしっかりキープした福永は「とりあえず、2番手は確保できました。勝田選手が排気漏れしているみたいで、そのトラブルにも助けられました。今回、ドライビングやタイヤの使い方、セットアップも変えたんですが、勝田選手もペースアップしたので、少し追いつかれ気味でしたね」と、振り返る。2輪駆動ながらも4輪駆動勢を抑えて3番手につける新井大輝は「ライバルが新しいマシンをモノにしてきているので厳しいですね。流れるようなコーナーであれば問題ないんですが、ストップ&ゴーが続くと、どうしてもパワーで負けてしまいます」と、コメントした。
JN-2クラスは奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)が、合計タイムでコバライネンから54.0秒遅れと、JN-1クラスに割って入るスピードを発揮。クラス2番手の三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)に1分11秒8差と、大きくリードしている。徳尾慶太郎/石田一輝(トヨタGRヤリス)が3番手。前戦久万高原で勝利した山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)は序盤2番手につけていたが、 SS6で側溝にヒットして左フロントタイヤをパンク。徳尾に5.6秒差の4番手から、最終日に表彰台を狙う。
トラブルに見舞われた前戦から一転、本来のスピードを披露した奴田原は「順調に走れています。ただ、気温が上がっているので、タイヤの摩耗が予想していたよりも厳しいですね。明日の午前中は雨の予報なので、最初のループをどうするか考えています」と、慎重に語る。2番手の三枝は「2番手につけていた山田選手にトラブルが発生したこともあって、良い順位で初日を終えられました。明日は雨予報なので、路面の状況をケアしつつ、いい形でラリーを終えたいです」と、笑顔を見せた。
JN-3クラスは、SS1で長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)がベストをマークするが、続くSS2で痛恨のエンジントラブルから後退。昨年のチャンピオンで、今シーズン初登場となった竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ)が、ベストタイムこそなかったが、山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)に3.2秒差をつけて初日をトップで終えた。11.1秒差の3番手には上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)。4番手にはエンジントラブルを解消し、この日5本のベストを刻んだ長﨑がつけている。
久々の実戦となった竹内は「しばらくラリーに出ていなかったので、SSではかなりドタバタしてしまいました。タイムは悪くないですし、タイヤをあまり使わずに走れました。淡々とドライブしましたが、なんだかんだベストを獲れませんでしたね(笑)」と、肩をすくめる。3連勝中の山本は僅差の2番手に「タイム的には接戦なんですが、クルマの動きが納得いくものではなくて……。午後はセットアップを変更したことで、だいぶ良くなりました」と、コメント。グラベルは苦手と公言する上原は「初日無事に帰れたことを喜んでいます。3番手ですが、長﨑選手がトラブルを抱えているのに速くて、だんだんと差をつめられています」と、プッシュを続ける長﨑を警戒した。
JN-4クラスは、3本のSSでベストタイムをマークした東隆弥/白石認(スズキ・スイフトスポーツ)が、昨年チャンピオンの西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)に4.3秒差をつけて初日トップ。午前中ペースの上がらなかった内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)は、SS4とSS6でベストを刻み、18.3秒差の3番手につけている。内藤から7.7秒差の4番手には黒原康仁/松葉謙介(スズキ・スイフトスポーツ)がつけており、こちらもまだ分からない状況だ。
初日を首位で折り返した東は「もう少し西川選手を離したかったんですが、ほぼほぼトントンになっているので、気が抜けません。明日はタイヤが悩みどころで、そこで間違えると離されてしまうので……。天気予報と睨めっこしながら、慎重に決めたいです」と、雨が予想されている最終日に向けて慎重に語る。一方の西川は「なかなか東選手が引いてくれませんでしたね。まだ4秒差なので、明日このタイム差を返せればと思っています。東選手も雨が得意なので、どちらかが優勝すると思っています」と、最終日の逆転を狙う。2本のベストを獲得しながらも優勝争いに加われなかった内藤は「午後はセットを変えて走りやすくなって、タイムが出るようになりました。久万高原はSS2でリタイアしているので、とにかく完走が目標です」と、控えめにコメントしている。
JN-5クラスは、前戦久万高原で待望のシーズン初勝利を手にした大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が、すべてのステージでベストタイム。2番手の松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)に41.0秒の大差をつけてラリーをリードした。松倉から14.0秒差の3番手にはベテランの小川剛/梶山剛(トヨタ・ヤリス)がつけている。
「綺麗に走ったつもりでしたが、タイヤはかなり厳しかったです。久しぶりのドライだったので、楽しく走りすぎましたね(笑)。今回のラリーに向けてクルマを変えたところが、だいぶ良くなっています」と、大倉は完璧な初日に満面の笑顔を見せる。大倉の先行を許した松倉は「午後は丁寧に走れましたし、内容としても悪くないんですが、トータルで見たらかなり離されてしまいましたね。明日は雨が降る予報もありますし、そこで勝負をかけるしかないと思っています」と、逆転を諦めていない。
JN-6クラスは、開幕4連勝中の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、全SSベストタイムを叩き出し、2番手の海老原孝敬/蔭山恵(ホンダ・フィット・ハイブリッドRS)に1分半以上の大差をつけて初日トップ。海老原はSS5でエンジンがセーフモードに入り、天野を追うことができず。「確実に舗装路でのセッティングやタイヤの使い方が分かってきた」と、振り返った清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス・ハイブリッド)が3番手を走行している。
JN-5クラスに割って入るタイムを刻んだ天野は「2番手以下とタイム差がかなりありますが、海老原選手も清水選手も確実に進化しているので、今後は競る展開になるかもしれません。今回、我々が速かったのは、ドライに特化した走りができたから。雨になる明日、このままの足まわりで行くのか、悩ましいです」と、余裕のコメント。今シーズン投入予定だったパーツをすべて入れたと語る海老原は「ミッションが焼けたことで、高温によりエンジンがセーフモードに入ってしまいました。SS5の残り3kmくらい、エンジンが吹けない時間がしばらくありました」と、想定外のトラブルに肩を落とす。
レグ2
6月11日(日曜日)に行われたラリー2日目は、前日のルートを逆向きに走行する形でエリアを回る。2014年以来の設定となった「Oouchi(4.56km)」、「Nariai Reverse(12.82km)」「Tsunotsuki Reverse(12.26km)」の3SSをサービスを挟んでリピートする6SS、59.28km。予報どおり夜半から降雨があり、スタート時点でも路面にウエットが残った。
ラリー初日、JN-1クラスの3番手でSSを走り切りながらも、SS5で排気漏れの症状が発生し最終サービスでデイリタイアを選択した勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリスJP4-ラリー2)。チームはマシンを修復して再車検を通過したものの、エンジンがかからず大きく遅れてサービスイン。修復作業を行い再びスタートしたが、チームは最終的にリタイアを決断。戦列復帰を果たすことはできなかった。
ウエットコンディションとなったオープニングのSS7、総合ベストタイムをマークしたのは、JN-2クラスに参戦する山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)。2輪駆動のプジョー208ラリー4をドライブする新井大輝/毛利太哉(プジョー208ラリー4)に0.1秒差、福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)に0.5秒差をつける堂々の一番時計だ。ウエットタイヤとドライタイヤをクロスで組み合わせ、濡れた路面を警戒したコバライネンは1.1秒差の総合4番手・クラス3番手タイムでまとめている。
しかし、どちらも10km以上を走行するSS8とSS9では、乾きつつある路面に対応し、ドライとウエットの組み合わせが完璧に機能したコバライネンが連続ベスト。「なんとかヘイキに追いつきたい」とプッシュを続けている福永との差を、午前中だけで1分02秒3にまで拡大している。2分19秒1差のクラス3番手に新井大輝。SS8で柳澤宏至/竹下紀子(トヨタGRヤリス)に追いついた眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)が、クラス4番手タイへと順位を上げた。新井大輝と眞貝の差は4.3秒と、路面がドライアップした午後のセクション、まだ分からない状況だ。
中間サービスを挟んだ午後のセクション。乾き切った路面でコバライネンはフルアタックを敢行し、圧巻の3連続ベストタイム。福永との差を1分15秒2とさらに引き離し、ターマック4連勝を達成した。コバライネンにこそ届かなかったものの、午後の全SSをセカンドベストでまとめた福永が2位表彰台を手にした。2分58秒4差の新井大輝は、唐津以来となる3位表彰台。眞貝と柳澤による順位争いは、SS11で総合3番手タイムをマークした柳澤が眞貝を逆転。最終のSS12も眞貝を上まわった柳澤が4位を得た。
圧巻のターマック4連勝を決めたコバライネンは、「今回はシンプルに進んだラリーになった。ただ、今朝の午前中は少し濡れていたこともあって、ドライとウエットタイヤを組み合わせて走った。午後は完全なドライコンディションになったから、限界を見極めようとハードにプッシュしたよ。来週はフィンランドでグラベルラリーを走る。カムイに向けていい準備になるはずだ」と、余裕の表情。
「スバルが欠場したり、最大のライバルの勝田選手もリタイアしましたから、こういったラリーで2位を確保できて良かったです。次からはグラベルのカムイですし、流れが変わると考えています。ヘイキとの差もターマックほどではないと考えているので、優勝を狙っていきたいです」と、福永は次戦カムイでの挽回を誓う。「丹後のようなストップ&ゴーのコースでドライコンディションになると、やはり上位2台には歯が立たないですね。舗装ですらこの厳しさなので、グラベルは勝負にならないですし、最低限4WDで出たいです」と、新井大輝はマシンのハンディを前に悔しさをのぞかせた。
JN-2クラスは、スタートから首位をキープしていた奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)が、、最終日も安定したペースをキープし、唐津以来となる勝利。合計タイムでもJN-1勢に割って入る総合3位につけた。初日、パンクで遅れた山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)は、オープニングのSS7で総合ベストタイムをたたき出すと、SS8でも総合2番手タイムを刻み、三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)をパス。2位に順位を戻してラリーを走り切った。三枝はSS8で側溝にはまったものの、徳尾慶太郎/石田一輝(トヨタGRヤリス)を11.1秒差で抑え切り、3位表彰台を得ている。
唐津以来、2戦ぶりとなるJN-2クラス勝利を手にした奴田原は「最終日もトラブルもなく、スムーズに走れましたね。午後は想定していたよりも濡れた箇所がありましたが、無理することなくドライブできたと思います」と、笑顔でコメント。初日の4番手から2位までポジションを戻した山田は「すごく山あり谷ありでしたが、とても良い経験をつめました。今年はウエットが多く、濡れた路面での走らせ方が分かってきて、SS7では総合ベストタイムも獲れました。とても充実感がありますが、ドライではまだ力の差が顕著に出ることも分かったので、しっかり持ち帰って分析したいです」と、振り返っている。
JN-3クラスは初日トップの竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ)が、ウエットの残った路面で3連続ベストを並べ、2番手の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)を突き放し、昨年のハイランド以来となる勝利を手にした。初日を3番手で折り返した上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)は、SS8でオーバースピードからコースオフ。この日も2度のベストタイムをマークした長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)が3位表彰台を得ている。
今シーズンは、この丹後のみの参戦となるという竹内は「JN-3クラスはいつも接戦で、それを楽しめたらいいなと思っていました。その中で、勝負どころと考えていたウエットでしっかりとタイムを出せたことが勝因です」と、予定通りの走りに満足の様子。濡れた路面で竹内の先行を許してしまった山本は「午後のループで晴れてから少し挽回したんですが、雨でのタイム差がきつかったですね。逆転することができなくて、正直あと3SS欲しかったです」と、悔しさをのぞかせた。今回のラリーで最多ベストタイムを記録しながら、初日のトラブルで3位に終わった長﨑は「初日にトラブルで失ったタイムがなければ……と思いますが、タラレバですね。SSタイムを見ると、よく乗れていたと個人的には思います」と、納得の表情だ。
JN-4クラスは、初日トップの東隆弥/白石認也(スズキ・スイフトスポーツ)が、路面が乾くことに望みをかけてドライセッティングで走行。これが裏目となり、西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)がSS8で逆転。さらに、SS7からSS9までウエット路面で3連続ベストを記録した内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)にもパスされ、3番手に順位を落とした。路面が乾いた午後のセクション、西川は内藤の追い上げを2.7秒差でしのぎ切り、シーズン3勝目。ドライ路面となった午後に3連続ベストで追い上げた東は、首位から3.3秒差、2位の内藤には0.6秒差とわずかに届かなかった。
最後まで僅差のバトルが続いた厳しい展開を制した西川は「接戦でした。最終SSを終えて雄叫び上げたのは、久しぶりです。出し切った最終SSでした。5秒以内に3台がいて、ちょっと気を抜いたら抜かれてしまう状況だったので。今までの全日本の中で、接戦で勝ててこれだけ嬉しかったことはないくらいです」と、喜びを爆発させた。惜しくもトップに届かなかった内藤は「追い上げ虚しくですね(笑)。それでも2位表彰台は獲得できたので、良かったです」と、コメント。こちらも僅差で届かなかった東は「2ループ目かなり頑張って、全てのSSでベストを獲得したんですが、残念ながら届きませんでした。3位はシリーズを考えるとキツイですね……」と、悔しさを露わにしている。
JN-5クラスは、ウエットとなった午前中のセクション、初日2番手の松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)がSS7から3連続ベスト。首位大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)との差を20秒近くも縮めるが、ドライとなった午後は大倉がペースを取り戻す。終わってみれば、大倉が2位の松倉に19.1秒差をつけて、久万高原に続くシーズン2勝目を飾った。一方、3番手につけていた小川剛/梶山剛(トヨタ・ヤリス)がSS9で転倒。杉本延重/馬瀬耕平(ホンダ・フィット)が、地元開催の全日本戦で3位表彰台を得ている。
タイトルに向けて貴重な2勝目を手にした大倉は「最後まで気が抜けなくて、タイム差のわりには痺れる展開でしたね。大きく勝って大きく負けて、っていう展開でした。ウエットになってからが厳しかったんですが、逃げ切れて良かったです」と、喜びのコメント。そのウエットで見事な追い上げを見せた松倉は「ウエットからドライになったのが、最後つらかったです(笑)。カムイとラリー北海道に出るつもりなので、楽しみです」と、グラベルでのシーズン初勝利を狙う。地元丹後で3位表彰台を得た杉本は「地元のラリーで、無事にクルマをフィニッシュまで持ち帰ることができました。何度か危ない局面もありましたが、最終ステージを前に4位と50秒差があったので、『なんとか無事に……』と思いながら走りました」と、笑顔で振り替えった。
JN-6クラスは天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、この日も安定したペースで走行し、危なげなく開幕5連勝。この日、2本のベストタイムをマークした海老原孝敬/蔭山恵(ホンダ・フィット・ハイブリッドRS)が2位。パンクがありながらも走り切った清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス・ハイブリッド)が、ターマックラリー4連戦すべてで3位を手にした。
盤石の展開で全クラス唯一の開幕5連勝を達成した天野は「路面がドライになったことで、最後にタイムが伸びませんでしたね。それでも安全に走って、レグポイントを獲得できて良かったです。次の初めてのグラベルがどうなるかですね。グラベルでアクアを意のままに走らせられるか、足踏み式サイドブレーキだったりと色々あるので……」と、すでに気持ちは次戦カムイのグラベル戦に向かう。2位の海老原は「午前中と午後、それぞれ1本目のステージは上手くいったんですが、いかんせん新しい足まわりのセッティングが終わっていなくて、なかなか自分でも評価や判断ができない状態でした」と、マシンの熟成不足を語っている。
(RALLY PLUS)
総合結果
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | JN1-1 | Heikki Kovalainen/北川 紗衣 | AICELLOラックDL速心FABIA | 1:27:31.7 |
2 | JN1-2 | 福永 修/齊田美早子 | アサヒ☆カナックOSAMU555ファビア | 1:28:46.9 |
3 | JN2-1 | 奴田原文雄/東 駿吾 | ADVAN カヤバ KTMS GRヤリス | 1:29:29.9 |
4 | JN1-3 | 新井 大輝/毛利 太哉 | Ahead プジョー 208 ラリー4 | 1:30:30.1 |
11 | JN3-1 | 竹内 源樹/木村 悟士 | YH CUSCO 大阪冷研 BRZ | 1:33:13.0 |
14 | JN4-1 | 西川真太郎/本橋 貴司 | スマッシュDLモンスターitzzスイフト | 1:34:00.6 |
22 | JN5-1 | 大倉 聡/豊田 耕司 | AISIN GR Yaris CVT | 1:36:47.3 |
26 | JN6-1 | 天野 智之/井上 裕紀子 | 豊田自動織機・DLアクアGR SPORT | 1:38:51.9 |
注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。
参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。