ラリーとは、複数の競技区間=スペシャルステージ(SS)を1台ずつタイムアタックし、その合計タイムで勝敗を競うモータースポーツです。競技区間であるSSは、一般の交通を遮断し、閉鎖された環境で行われますが、SSとSSの間をつなぐ移動区間(ロードセクション/リエゾン)は、一般道を使って一般車と同じように交通法規を守って移動していきます。

全日本ラリー選手権は、国内におけるラリー競技の最高峰。基本的に土曜日と日曜日の2日間で行われ(一部の大会では金曜日にもイベントやSSを実施する場合もあります)、多いところでは2日間で15カ所にもおよぶSSを順番に走行して勝敗を決します。ひとつのラリーにおけるSS総走行距離は50〜100㎞以上、移動区間も含めたラリー全体での総走行距離は約300㎞〜1000㎞近くまで、大会の規模によって様々です。開催地域ごとに環境や路面、設定された走行距離が異なる点も、ラリーならではの特徴と言えるでしょう。

路面は舗装路(ターマック)や未舗装路(グラベル) 、雪や氷の路面(アイス・スノー)で争われるものなど様々な種類があり、路面に合わせた車両のセットアップやタイヤ選択も勝敗を分ける重要な要素です。特にグラベルやアイス・スノーなどの場合は、天候や前走車の走り方で路面状況が変化していくため、選手はそれらを的確に判断しながら最速タイムを目指します。

なお、競技中の安全を確保するため、全日本ラリー選手権では「レッキ」と呼ばれる事前試走を各ステージあたり2回ずつ実施し、クルーはコースの形状や特徴を示す「ペースノート」を作成します。本番の走行では、助手席のコ・ドライバーがペースノートを読み上げ、それを頼りにタイムアタックを行います。

なお、ラリーに出場するためには、ドライバー/コ・ドライバーともJAFの競技ライセンス(国内Bライセンス以上)が必要です。世界ラリー選手権(WRC)をはじめとする国際格式のラリーでは、参戦経験を積むことで取得できる国際ライセンスが原則として必要となります。