RALLY HOKKAIDO

開催日時:9月23日(金)〜25日(日)
開催場所:北海道十勝地方
スペシャルステージ本数:16本
スペシャルステージ総距離:157.80km
ラリー総距離:750.33km
SS路面:グラベル
SS路面状況:デイ1/ハーフウエット、デイ2/ドライ
ポイント係数:2.0

全日本ラリー選手権第7戦「RALLY HOKKAIDO」は9月23日(金)〜25日(日)の日程で開催され、初日2位の新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)がSS14で初日トップの奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)をとらえ逆転。今季3勝目を獲得し、2年連続となるシリーズチャンピオン獲得に望みを繋いだ。また、2位でフィニッシュしてシリーズポイントを加算した奴田原は、ランキングトップの勝田範彦を抜き、待望のシリーズポイントトップに浮上した。

デイ1

国内最長SSを誇るラリー北海道だが、本格的なラリーがスタートする9月24日(土)のSS2「イケダ」(12.37km)でいきなり大きな局面を迎えた。このラリー唯一となるこのターマックステージで、ランキングトップの勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)がいきなりコースオフしてしまい、レグ離脱となってしまう。昨年は前走車が掻きだした泥が路面全体を覆い、多くのドライバーが口々に「まるで泥のスケートリンクのよう」と語っていたこのステージが、今年もいきなり牙を剥いた。このSS2では、勝田の他にJN5クラスのヘイキ・コバライネン/北川紗衣(GT86 CS-R3)や、JN4クラスの香川秀樹/船木一祥(ホンダ・シビックtypeR)、JN1クラスの田中伸幸/中田昌美(スズキ・スイフトスポーツ)などの有力クルーを次々と飲み込む魔のステージとなった。この難ステージを制した奴田原は、続くSS3「リクベツ・ロング1」(4.63km)でもベストをマーク。前日のSS1「SSSサミー・サツナイ1」(1.47km)を含め、この序盤だけでライバルの新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)に6.0秒のマージンを築き上げる。

その後は、台風による豪雨の影響でコースの一部が走行困難な状況となり、前半の約8kmを短縮したSS4「クンネイワ1」(20.42km)やSS5「パウセカムイ」(10.40km)といった高速ステージはほぼ互角の勝負を見せるふたりだが、SS3のリピートステージとなるSS6/SS7は奴田原が連取し、新井との差を10.7秒に拡大。終盤は新井や鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)からの反撃を受けるものの、中盤までに滑りやすい路面のテクニカルステージで築いたマージンを活かした奴田原が、2位の新井に6.2秒差のトップで初日を折り返した。「北海道を襲った台風の影響や前日の雨の影響を受け難しい路面コンディションだったが、低速からトルクが深いランサーの持ち味を活かせたと思う」と奴田原。勝田が序盤でレグ離脱したことも重なり、シリーズポイント逆転に向け、大きな足掛かりを掴んだ。

JN5クラスは、柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208 R2)がSS7を終えた時点で2番手の関根正人/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3-MAX)に1分以上の差を付ける快走を披露。その関根がSS8でオーバーヒートによりレグ離脱したために、シリーズチャンピオンを狙う柳澤にとっては直接的なライバルとなる大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)が2位に浮上してくるものの、その差は2分以上。圧倒的なリードを保ち、競技最終日を迎える。

JN4クラスは、クラス唯一の4WDとなる小倉雅俊/平山真理(ダイハツ・ブーン×4)が、曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)と好勝負を展開。「中盤から後半にかけては、かなり抑えて走った」という小倉が、「自分のペースを守って走っている」という曽根に13.5秒差を付け、初日トップに立っている。

JN3クラスは、すでに今季のチャンピオンを決めている天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)が、デイ1の11SSのうち9本のベストタイムを重ねる速さで初日をトップで折り返す。

全日本ラリー選手権のグラベルラウンドでは初のクラス成立となるJN2クラスは、「とにかく完走して優勝を目指す」という明治慎太郎/谷内壽隆(トヨタ86)が首位、JN1クラスは、松原久/和田善明と坂昭彦/中谷篤と高篠孝介/廣嶋真がシーソーゲームを展開するが、SS10でトップに立った高篠が初日を首位で折り返している。

デイ2

前日の最終サービスで「路面コンディションに合わせるためにサスペンションセッティングを変更する」と語っていた新井は、その狙いがピタリと当たり前日とは見違えるような速さで次々とベストタイムを奪っていく。「昨日は運転が下手になったんじゃないか!? と思うくらいタイムが伸びなかったけれど、セッティングを変えてからはいつもの走りができるようになってきた。シリーズポイント的には逆転チャンピオンはまだ難しい状態だけど、この優勝で首の皮一枚繋がったのは確か。第7戦ハイランドマスターズもしっかり集中して走り、最終戦までシリーズチャンピオン争いを楽しんでいきたい」と、残り2戦に向けての抱負を語った。
2位となった奴田原は、シリーズポイントでは勝田範彦を22.1点上まわりトップに浮上。有効ポイントの関係から、次戦第8戦は奴田原が11点以上でポイント加算、勝田と新井は第8戦で獲得するポイントがほぼ全ポイント加算されることから、タイトル争いはまだまだ余談を許さない状況だ。

JN5クラスは、初日トップの柳澤がこの日もベストタイムをマークして快走。終盤はセルモーターの調子が悪くなるマイナートラブルが出るものの、最後までしっかりと走り今季4勝目を獲得。RR車両としては国内初となるシリーズチャンピオンに王手をかけた。2位には、その柳澤をしっかりと追従する大倉が入賞。3位には、駆動系トラブルが連発した大橋が、数々のトラブルを乗り越え最後まで走り切り、今季初となる表彰台を掴んだ。

JN4クラス唯一の4WDとなるダイハツ・ブーンX4を投入して、初日トップの座を掴んだ小倉は、競技最終日も「マシントラブルを避けるために、かなり抑えて慎重に走った」とトップの座を守り切り、自身初となるラリー北海道優勝を果たした。2位には、シリーズポイントトップの曽根が入賞し、シリーズチャンピオンに王手をかけた。また、3位には三菱コルト・ラリーアートを投入した木村謙治/尼子祥一が入賞した。

そのほか、JN3クラスは初日トップの天野が優勝して今季5勝目を獲得。JN2クラスは、明治が慎重にペースを守って完走し優勝。JN1クラスは、初日トップの高篠がそのまま逃げ切り、全日本初優勝を飾った。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 新井敏弘/田中直哉 富士スバルアライモータースポーツWRX 1:38:58.1
2 JN6-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:39:01.8
3 JN6-3 鎌田卓麻/市野 諮 SYMS TEIN DL WRX STI 1:39:56.2
4 JN5-1 柳澤宏至/中原祥雅 YHクスコラリープラス208 R2 1:48:16.9
6 JN4-1 小倉雅俊/平山真理 DLデューポイントブーン 1:52:19.6
8 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS 1:53:27.1
12 JN1-1 高篠孝介/廣嶋 真 YH・WM・KYB・マクゼススイフト 2:01:32.6
17 JN2-1 明治慎太郎/谷内壽隆 YHGd高崎くす子86 2:09:15.3

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2016年 全日本ラリー選手権 第7戦 北海道

イベントフォト

JN6クラス優勝 新井敏弘/田中直哉