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全日本ラリー選手権のクラス区分は「日本ラリー選手権規定」で決められています。この規定は毎年発行されていますが、2016年のクラス区分が大きく変更され、クラス区分はこれまでよりシンプルにまとめられました。最高峰となるJN6クラスは4WD、JN5クラスは2WDと駆動方式により二分され、JN4クラスとJN3クラスは排気量によって分けられました。また、JN2クラスとJN1クラスは最も改造範囲が狭くマシンのコストが安価なRPN車両がまとめられ、純粋な速さもJN6〜1へと大まかに並べ替えられた格好です。JN5クラスにはラリー専用車両とも言えるRR車両(ベースはFIA R1〜R3)が、JN1クラスにはAE車両が組み込まれています。今年も新たな車種が全日本ラリーに登場しそうです。

クラス区分と主な参戦車両

新型車やラリー専用車両が本格的に参入
2016年は新たな全日本ラリーの歴史の始まり

JN6:最高峰クラスは4WD限定
最新のスバル vs 完熟の三菱の戦い

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JN6クラスは国内最高峰クラスとして、長らくライバル対決を繰り広げてきたスバルWRX STIvs三菱ランサーエボリューションによる対決。しかし、スバルが最新のVAB型WRX STIで快進撃を見せた2015年から、戦況は大きく様変わりしました。2016年からは4WD限定となったことで、MINI JCWクロスオーバーもJN6クラスへ組み込まれるなど、2強以外のマシンの参戦の可能性も広がってきています。昨シーズンを席巻したVABが勝るか、熟成極まるランエボ勢が巻き返すか、今年も2強対決から目が離せません。

JN5:ターボFFとFIAグループRによる
2WD車両の頂点を決めるバトル

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2016年のJN5クラスは、2500cc超の2WDのRN/RJ車両とRR車両で構成されます。トヨタ86&スバルBRZが対象外となり、製造終了から10年を経過した車両が参加不可能となったため、クラスの主役はトヨタ・ヴィッツGRMN ターボ、プジョー208 GTi 、MINI JCWなどのハイパワーFFとなります。また、RR車両もアバルト500ラリーR3Tに加えて、プジョ208 R2、シトロエンDS3 R3-MAXなどが参戦予定。戦闘力が高いRR車両とターボFFがどのような戦いを見せるのか、注目です。

JN4:実質86/BRZのワンメイククラス
新たな挑戦者の参戦も!?

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新生JN4クラスの参戦車両は、1500cc超2000cc以下の車両へと再編成されました。主力車種は86/BRZ。排気量的には1600ccのホンダ・シビックタイプRや三菱ミラージュ、1800ccのホンダ・インテグラタイプRなどが対象ですが、今年から製造終了後10年を越えた車両は参戦不可となったため、事実上86/BRZのワンメイク状態となりそうな勢いです。2000ccのFRながら、ワンメイクレース、タイムアタックなどで爆発的人気を集め、年々安定感とスピードを増している86/BRZ。その速さをラリー会場で確かめてください。

JN3:小型・軽量なホットハッチに
ロータリー&軽自動車が宣戦布告!

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JN3クラスは下限の排気量が撤廃され、シンプルに1500ccまでの2WD車両となりました。2016年は、2014年にこのクラスでチャンピオンを獲得している天野智之がヴィッツRSで凱旋。昨年王者の岡田孝一のマツダ・デミオと再び相見えます。それ以外にも、昨年までJN1クラスで活躍したRX-8がJN3クラスへ編入され、ターマックイベントでは脅威となるかもしれません。トヨタ・ヴィッツ、ホンダ・フィット、デミオ15MBやロードスターなどもこのクラスとなり、群雄割拠の様相を呈することになりそうです。

JN2:低コスト、ロースピードがコンセプト
改造範囲が狭く身近な車両多数

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2016年のJN2クラスは、昨年までのJN4クラスとまったく同じ規定となっています。排気量区分は1600〜2000ccで、改造範囲が非常に狭く、新しい車両に限定されるRPN車両が対象となっています。そのことから、参戦コストは比較的安くなっています。また、タイヤ規定の変更によりひとつのラリーでの使用本数が6本に制限されたことがどのように影響するかにも注目です。JN2クラスも86&BRZが主力車種ですが、FD2型シビックタイプRなども参戦可能となっており、まだまだ新しい車種の登場にも期待がふくらみます。

JN1:最も排気量の小さい入門クラス
ハイブリッドやEV車両も対象に

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新しいJN1クラスは旧JN2クラスのRPN車両+AE車両という組み合わせ。まだまだ台数は少ないAE車両ですが、すでに電気自動車の日産リーフ、燃料電池車のトヨタMIRAIなどが参戦した実績があり、今季からはTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジでハイブリッドのトヨタ・アクアのクラスが新設されることから、アクアの参戦も増えてくるかもしれません。本命は1600ccのスイフトスポーツですが、パワーだけでは勝てないのがラリー。1500ccのデミオ、フィット、マーチ、そしてAE車両による下克上にも期待しましょう。

日本のラリーのヒエラルキー

“全日本ラリー選手権”は国内最高峰のラリー競技!

全日本ラリー選手権は日本自動車連盟(JAF)登録クラブ・団体が主催する国内格式のラリー競技です。その下に全国5地区で開催される地方ラリー選手権があり、それぞれに6〜9戦程度の選手権が置かれています。さらにその下には都道府県レベルのラリーシリーズやジュニアラリーシリーズなどが置かれ、ピラミッド構造となっています。現在はほとんどのラリーが競技区間“スペシャルステージ”(SS)での速さを競う「SSラリー」です。

また、ラリーに出場するためには、ドライバー/コ・ドライバーともJAFの競技ライセンス(国内Bライセンス以上)が必要となります。

開催スケジュール

文字どおり全国各地を転戦。開催地と時期が変更に

2016年の全日本ラリー選手権は、2015年と同じく4月から11月にかけて全9戦が予定されており、それぞれに特徴をもった、その地方ならではの個性豊かなラウンドが設定されています。

今シーズンは北海道で2戦、東北で1戦、関東で1戦、中部で2戦、近畿で1戦、四国で1戦、九州で1戦が行われます。2015年と同じくグラベル3戦、ターマック6戦という構成で、選手が得意とする路面やマシンの特性の違いなどにより、タイトル争いに大きな影響が現れると予想されます。

ポイント制度

ポイントテーブルが一新、1位は20点、8位は3点に

全日本ラリー選手権では、各ラリーのクラス順位に応じて1〜8位までにポイントが与えられ、全9戦を終えた段階で最も得点の高い選手がチャンピオンとなります。ただし、シリーズ戦数が年間8戦以上の場合は高得点順に7戦分、7戦以下の場合は全戦が有効となります。ポイントは2015年までは10-8-6-5-4-3-2-1点でしたが、2016年からは20-15-12-10-8-6-4-3点へと変更となりました。これに、SS総距離と路面に応じた得点係数が掛けられます。さらに、デイごとにクラス1〜3位に与えられるデイポイント制が採り入れられ、得点獲得のチャンスも増えています。

ポイント表(係数早見表)

順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位
ポイント×1.0 20 15 12 10 8 6 4 3
ポイント×1.2 24 18 14.4 12 9.6 7.2 4.8 3.6
ポイント×1.5 30 22.5 18 15 12 9 6 4.5
ポイント×2.0 40 30 24 20 16 12 8 6

得点係数

SS距離 ターマック グラベル
50〜100㎞未満 1.0 1.2
100〜150㎞未満 1.2 1.5
150㎞以上 1.5 2.0

※やむをえない理由で競技が短縮された場合は、終了したSS総距離が30km以上かつ審査委員会が適当と認めた場合に成立。係数は0.8となる。

デイポイント表

順位 1位 2位 3位
ポイント 3点 2点 1点

*デイポイントはイベント係数に関係なく上記の点数が与えられる。

タイヤ規定の変更

Sタイヤの使用を禁止、市販スポーツラジアルへ

2016年最大の焦点はタイヤ規定の変更です。ターマックラリーでのタイヤが複数の縦溝を有するタイヤに制限され、これまで主流だったSタイヤが使用禁止となりました。また、RPN/AE車両(JN2、JN1クラス)はラベリング/グレーディング対応タイヤに制限。使用可能本数は8本(RPN/AEは6本)となりました。背景には、公道での雨天時の安全性、参戦コストの抑制などがあります。選手ごとの使用タイヤに注目してみても面白いでしょう。

車両規定

排気量、駆動方式、車両規定により、新たな車種が年々増加中

 全日本ラリー選手権に出場するラリーカーは、今年から排気量と駆動方式、改造範囲(車両規定)によって新たな6クラスに再分類されました。

トップカテゴリーであるJN6は、グループN車両規則に近いRN/RJ車両の4WD。三菱ランサーとスバルWRX STI、MINIクロスオーバーなどが鎬を削る最高峰クラスです。JN5は2500cc以上の2WDのRN/RJ車両、そしてRR車両の戦い。プジョー208やMINI、ヴィッツGRMNターボなどのターボFF と、FIA 規定のR1 〜R3 が競います。JN4 は2500cc以下の2WD&4WDのRN/RJ車両となり、旧JN5の86&BRZが主力車種になります。JN3は昨年と変わらず1500cc以下の2WDのRN/RJ車両ですが、排気量の下限がなくなったことでJN1からマツダRX-8が移動。勢力図が変わるかもしれません。

JN2とJN1はそれぞれ旧JN4、JN2から名称が変更されました。改造範囲の狭いRPN車両に加えて、JN1はAE車両とも戦うことになります。

2016年 全日本ラリー選手権 クラス区分

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*過給器つき車両は排気量×1.7で換算した数値(ターボ係数)をもとに区分される。

車両規定

RN車両 FIA/JAF公認車両をベースにして作られるラリーカー。現在の国内最高峰クラスのメインの車両。
RJ車両 JAF登録車両をベースにして作られるラリーカー。RN車両と改造範囲は近い、日本独自の規定。
RR車両 FIAグループRと呼ばれるラリー専用車両。改造範囲はレーシングカー並み。日本のナンバーが必要。
RPN車両 2006年1月1日以降にJAF登録された車両をベースとしたラリーカー。改造範囲は非常に狭い。

ラリー関連諸規則

さらに詳しく知りたい方は、JAFのホームページにある以下の規定を参考にしてください。

– ラリーのルールに関すること
  ラリー競技開催規定(国内競技規則 付則 P.280〜)
– ラリーの車両に関すること
  2016国内競技車両規則 第2編 ラリー車両規定
– 全日本ラリーのルールに関すること
  2016全日本ラリー選手権統一規則
– 国際ラリーの安全ルールに関すること
  FIA国際モータースポーツ競技規則 付則H項(和訳)
– 国際ラリーの車両に関すること
  FIA国際モータースポーツ競技規則 付則J項(和訳)