
ラリーとは、複数の競技区間=スペシャルステージ(SS)を1台ずつでタイムアタックし、その合計タイムで勝敗を競うモータースポーツです。競技区間であるSSは一般の交通が遮断され、閉鎖された環境で行われますが、SSとSSの間をつなぐ移動区間(ロードセクション/リエゾン)は、一般の道を使い、一般車と同じように交通法規を守って移動します。
全日本ラリー選手権は、国内におけるラリー競技の最高峰。基本的に土曜日と日曜日の2日間を使って行われ(一部金曜日にも SSを実施する場合もあります)、多いところで約20カ所にもおよぶSSを順番に走行して勝敗を決します。ひとつのラリーにおけるSS総走行距離は50~100㎞以上、移動区間も含めたラリー全体での総走行距離は約300㎞~約1000㎞と、ラリーの規模によって様々です。
開催地域によって環境や路面、設定された走行距離が異なるのも、ラリーならではの特徴と言えるでしょう。路面には舗装路(ターマック)や未舗装路(グラベル) 、2022年は全日本ラリーとしては行われていませんが、雪や氷の路面(アイス・スノー)で争われるものなど様々な種類があり、車両のセットアップやタイヤ選択も勝敗を分ける重要な要素です。特にグラベルやアイス・スノーなどの場合は、天候や前走車の走り方で路面状況が刻一刻と変化していくため、ドライバーはそれらを的確に判断しながら最速タイムを目指します。
競技中の安全を確保するため、全日本ラリー選手権では「レッキ」と呼ばれる事前試走を各SSあたり2回ずつ実施し、ドライバーはコースの形状や特徴を示す「ペースノート」を作成します。本番の走行では、助手席のコ・ドライバーがペースノートを読み上げ、それを頼りにタイムアタックを行います。
なお、ラリーに出場するためには、ドライバー/コ・ドライバーともJAFの競技ライセンス(国内Bライセンス以上)が必要です。世界ラリー選手権(WRC)をはじめとする国際格式のラリーでは、参戦経験を積むことで取得できる国際C-Rライセンス以上が必須となります。
全日本ラリー選手権の基礎知識 目次
1. ラリーってどんな競技?
2. 車両区分は全6クラス
3. 2022年からJN1クラスに性能調整を導入
4. 順位とチャンピオンの決め方は?
5. ラリーの流れはどんな感じ?
6. ラリーカーってどんなクルマ?
7. 観戦に必要なものは?
8. ラリー関連諸規則