新城ラリー2013

開催日時:10月25日(金)〜27日(日)
開催場所:愛知県新城市内
スペシャルステージ本数:12本
スペシャルステージ総距離:78.54km
ラリー総距離:290.61km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1/ヘビーウエット〜一部ドライ、デイ2/ドライ一部ウエット
ポイント係数:1.0

ラリー概要

 2013年の全日本ラリー選手権もいよいよ最終戦、新城ラリーを迎えた。新城ラリーは10年にわたって新城市との協力体制を築き、ラリーを通じて町おこしや地域の活性化に取り組んでいる、国内で最も成功した例として知られている。10周年を迎えた今年は愛知県の後援を受け、会場を2012年まで使われていた桜淵公園から県営新城総合公園へと移動。公園内の道路を使用したギャラリーステージ「県営総合公園」や、公園内の陸上競技用トラックにデモランやセレモニアルスタートのためのグラベルコース「スタジアムサーキット」などの特設コースを設定した。また、地元のアイドルやアーティストによるライブイベント、飲食店やモータースポーツ関連のメーカーの出展など、ラリーを核とした一大イベントとして規模を拡大。2日間合わせてのべ4万2000人もの観客を集め、日本最大規模のラリーとして大成功に終わった。

 ラリーの競技は10月26日(土)〜27日(日)の2日間での開催。季節外れの大型の台風が日本列島を襲い、25日(金)のレッキ時から雨に見舞われたものの、影響はデイ1の午前中まで。デイ2は湿った路面も残ったが雨は降らずドライコンディションとなった。しかしこの初日の雨が様々なアクシデントを引き起こすこととなる。

 デイ1のコースはツイスティな「ほうらいせん 一念不動」(9.18km)、2車線のハイスピードな上り「作手北」(6.96km)、「県営総合公園」(0.95km)の3カ所を2回走行する6SS。デイ2は、新城ラリーの名物ステージである「雁峰(がんぽう)」を14.27kmまで延長して使用した「雁峰西」と、デイ1でも使用した「作手北」「県営総合公園」の3カ所を2回走行する6SS、計12SSで争われた。また、26日はJAF中部・近畿ラリー選手権、27日はTRDラリーチャレンジが併催となった。

JN4クラス:奴田原文雄が逆転勝利、タイトルは勝田範彦が獲得

 チャンピオン決定を最終戦まで持ち越したJN4クラスは、勝田範彦/足立さやか(スバルWRX STI)と奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)のタイトル争いに注目が集まった。ポイントリーダーの勝田に対して奴田原がチャンピオンを獲るには、デイ1、デイ2のデイポイント3点を獲得し、なおかつラリーで優勝する必要がある。

 出だしのSS1は柳澤宏至/中原祥雅(スバルWRX STI)がベストタイムをマーク。勝田、奴田原はヘビーウエット状態のなかで、勝田が9.7秒遅れの4番手、奴田原が13.6秒遅れの7番手に沈む。勝田は「攻めたタイヤ選択が裏目に出た」と語り、奴田原は「路面がヌルヌルで雪の上を走っているようだった。原因はよく分からない」と首を傾げる。続くSS2、SS3と奴田原は少しずつタイムを縮めていくが、SS4で勝田が路面を川のように流れる水に足を取られてクラッシュ。道をふさいで動けなくなり、以降は全車同一タイムとなってしまった。残る2本のSSを終えてデイ1の順位は首位が高山仁/河野洋志(スバルWRX STI)、2番手が柳澤、3番手が奴田原。この時点で奴田原の逆転タイトルの可能性は消え、デイリタイアした勝田の4年連続チャンピオンが決まった。

 すでにチャンピオンが決した後のデイ2は、首位高山が全日本初優勝を挙げることができるかどうかに期待が集まった。しかしその高山に待ったをかけたのが奴田原だ。SS8以降のすべてのSSで高山を上まわるタイムを刻み、SS11でついに高山をとらえて首位に立つと、そのままフィニッシュ。タイトルこそ届かなかったものの、今季4勝目を挙げてシリーズランキング2位で2013年シーズンを終えた。

JN3クラス:山口清司が今季2勝目をマーク

 JN3クラスはSS1の1.9km地点で鎌田卓麻/市野諮(スバルBRZ)がいきなりリタイアする波乱の展開。これにより、SS1の後続選手には全車同一のタイムが与えられた。

 注目を集めたのは、SUPER GTドライバーであり、全日本ジムカーナチャンピオンでもある山野哲也。さらに、勝田範彦の息子であり、全日本F3ドライバーとして活躍する勝田貴元らレーシングドライバーたちの参戦だ。ともにトヨタ86で挑戦し、今大会中最もハイスピードな設定の「作手北」では、SS2、SS8、SS11で山野が、SS5で勝田がそれぞれベストタイムをマークし、レーシングドライバーの実力を披露した。

 JN3クラスの優勝争いは、すでにタイトルを決めている横尾芳則/永山総一郎(トヨタ86)、山口清司/島津雅彦(トヨタ・カローラレビン)、香川秀樹/浦雅史(ホンダ・インテグラタイプR)が接戦を繰り広げ、横尾が首位、2.9秒差の2位に山口、香川が12.4秒差の3位でデイ1を折り返す。

 しかし明けたデイ2、横尾がハーフスピンでタイムロスする一方、山口がSSによって幅の異なるタイヤを使い分ける作戦を実行し、最終的に山口が2位横尾に6.2秒差をつけて今季2勝目を挙げた。3位には49.1秒遅れで香川が入賞した。

JN2クラス:新城マイスター天野智之が圧勝

 JN2クラスは新チャンピオンの川名賢/小坂典嵩(トヨタ・ヴィッツRS)が初日からクラストップを守る。地元の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS G’s)はファイナルギヤがコースに合わず、6.7秒差の2位。3位には岡田孝一(マツダ・デミオ)が14.8秒差で続く。

 しかしデイ2に入ると雁峰西で天野が猛追。SS7では川名に8.2秒、SS10では18.1秒もの差を築く。川名もSS8、SS11の作手北ではクラスベストの走りを見せるが、天野がすぐ後ろにつけて差は埋まらず、そのまま優勝を遂げた。2位に川名、3位は天野と同じNCP131ヴィッツを駆る高橋悟志/箕作裕子が入賞した。

JN1クラス:リーフ&国沢光宏が全日本初勝利、タイトルは松岡竜也がゲット

 チャンピオンがまだ決定していないJN1クラスは、ポイントリーダーの松岡竜也/縄田幸裕と、ベテランの鷲尾俊一/佐竹尚子という2台のダイハツ・ストーリアX4の直接対決。「雨は得意」と語る松岡が初日をトップで終え、鷲尾とは11秒の差。3番手には3戦目の参戦となる国沢光宏/木原雅彦の日産リーフが松岡から18.4秒差だ。

 迎えたデイ2、追い上げたい鷲尾が後退し、SS8でクラッシュ。走行は可能だったがフロントライトが破損して公道を走行できないためにリタイアに追い込まれてしまった。この時点で松岡のJN1クラス初チャンピオンが決定した。

 しかし続くSS10でトップの松岡がまさかのスピン。追い上げてきていた国沢のリーフに逆転を許してしまう。松岡も最後まで追い上げるも届かず、国沢が電気自動車で初めて、全日本ラリーのクラス優勝を遂げた。

総合結果

出走39台/完走27台

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN4-1 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:18:52.4
2 JN4-2 高山 仁/河野洋志 NENC IMMENS DLインプレッサ 1:18:55.5
3 JN4-3 柳澤宏至/中原祥雅 CUSCO ADVAN WRX-STI 1:19:16.9
4 JN4-4 中井育真/佐土原慶一 NENC DL フォルインサービスインプ 1:21:18.8
5 JN3-1 山口清司/島津雅彦 エナペタルADVAN久與レビン 1:22:09.4
6 JN3-2 横尾芳則/永山総一郎 GAZOOラック86 1:22:15.6
7 JN2-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・ラック・DLヴィッツG’s 1:05:22.1
21 JN1-1 国沢光宏/木原雅彦 日産リーフ 1:27:01.4

注)JN4クラスは3000ccを超える車両、JN3は1500ccを超え3000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1は1400cc以下の車両(過給器つき車両は排気量×1.7で換算)

参考総合結果表: 2013_rd09(PDF)  2013_rd09(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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