新城ラリー2015
開催日時:10月30日(金)〜11月1日(日)
開催場所:愛知県新城市
スペシャルステージ本数:17本
スペシャルステージ総距離:96.735km
ラリー総距離:414.088km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0
全日本ラリー最終戦「新城ラリー2015」は、初日トップの勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が逃げ切り、第3戦以来となる今季3勝目を挙げた。
ラリー概要
今年の新城ラリーは、10月30日(金)の夕方に愛知県新城市内でセレモニアルスタートを行い、本格的な競技は31日(土)の早朝から始まった。新城総合公園を拠点とするラリーは、デイ1に10SS(SS総距離59.439km)が設定されている。オープニングのSS1「雁峰北1」(11.139km)は、ブラインドコーナーやタイトコーナーが息つくひまもないほど連続し、ギャップや落石なども点在する全日本屈指の難ステージとして知られている。
デイ1
このSS1で抜群の速さを見せたのが、新城ラリーで最多優勝を誇る勝田だ。「タイヤと路面が合っていた」と2番手タイムの新井に8.0秒差を付けた勝田は、続くSS2「上平井1」(5.074km)でもベストタイムを重ね、序盤戦をリードする。一方、2番手の新井はこのラリー最速ステージのSS3「鬼久保1」(6.771km)と、新城総合公園内に設定されたギャラリーステージのSS4「県営新城総合公園W1」(0.813km)で連続ベストタイムをたたき出し反撃開始。勝田とのタイム差を3.2秒差に詰めてくる。サービスを挟み2ループ目に入ると、SS1のリピートステージとなるSS5と、SS2のリピートステージとなるSS6で勝田がベストタイムを奪い、新井との差を13.8秒に広げた。新井もSS7とSS8で勝田との差を詰めてくるシーソーゲームが続いたが、5本のSSを制した勝田がトップの座を守りきり初日を終えた。9.2秒差の2番手には2本のSSを制した新井が付け、3本のSSでベストタイムを奪った奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)がトップと20.3秒差の3番手に付けた。
JN5クラスは、SS1でベストタイムを奪った眞貝知志/漆戸あゆみ(アバルト500ラリーR3T)が、最終SSまでトップの座を守りきり、デイ1のデイトップポイントを獲得した。2番手には、ラリー北海道でJN5クラスチャンピオンを獲得した天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)が、トップの眞貝から10.5秒差で付けている。健闘を見せたのが、TOYOTA GAZOO Racingの勝田貴元/足立さやか(トヨタ86)だ。オープニングのSS1でフロント左タイヤがパンクした勝田は、クラストップの眞貝から57.1秒遅れの14番手でフィニッシュ。だが、SS2からSS10まで9連続ベストタイムを奪い、2番手の天野に0.9秒差の3番手まで追い上げる快走を見せた。
チャンピオン決定が最終戦まで持ち越されたJN4クラスは、第6戦と第8戦を制した横尾芳則/渡邊晴子(トヨタ86)が、デイ1最終となるSS10ではあわやリタイアというスピンを喫するものの、タイムロスを最小限に抑え、トップをキープしたまま初日を終えた。また、タイトルを争う番場彬/加勢直毅(トヨタ86)は、終盤まで2番手をキープするものの、SS10の横尾がスピンしたコーナーでスピンアウトしてしまいクラッシュ。タイトル争いから脱落するという最悪の結果となってしまった。番場のリタイアにより、シリーズランキングトップの石川昌平/石川恭啓(スバルBRZ)が2番手に浮上。3番手には小濱勇希/馬場雄一(スバルBRZ)が付けた。
その他、JN3クラスはすでにチャンピオンを獲得している岡田孝一/鶴田邦彦(マツダ・デミオ)がトップ、JN2クラスは第8戦で全日本ラリー初優勝を獲得した鈴木尚/山岸典将(スズキ・スイフトスポーツ)がトップ、JN1クラスは第3戦優勝の中村晃規/古川智崇(マツダRX-8)がトップに付けた。
デイ2
前日と同じく好天に恵まれたデイ2は、初日にも走行したハイスピードステージのSS鬼久保を2回、テクニカルステージのSS上平井を1回、ギャラリーステージのSS県営新城公園)を2回、新たに設定されたSSほうらいせん一念不動を2回走行する7SS(37.296km)で争われる。
JN6クラスは、初日トップの勝田範彦がデイ2オープニングのSS11「ほうらいせん一念不動1」でベストタイムをマーク。続くSS12「上平井4」でもベストタイムを重ね、初日は9.2秒差だった2番手の新井とのタイム差を14.0秒差に拡大する。一方、ハイスピードステージで勝負をかける新井はSS13「鬼久保4」とSS14「県営新城公園」でベストタイムを奪い、勝田とのタイム差を10.1秒に縮めてくる。テクニカルステージでベストを奪う勝田と、ハイスピードステージでベストを奪う新井という初日と同様の展開となった勝負は、勝田が8.5秒差で逃げ切り今季3勝目を挙げるとともに、VAB型WRX STIを投入して初となる優勝を飾った。また、勝田のコ・ドライバーを務めた石田は、全日本ラリーに出場して40年目で、念願の最上位クラス初優勝を飾った。2位には新井が入り、トップ2台を追い切れなかった奴田原は、トップから30.8秒差の3位でフィニッシュした。
JN5クラスは、SS1でタイヤパンクを喫し大きく出遅れながらも、その後はSS2からデイ1最終SSとなるSS10までベストタイムを重ね、初日クラス3番手まで追い上げた勝田貴元が、デイ2オープニングのSS11で2番手の天野とトップの眞貝を捉えクラス首位に立った。その後も勝田の勢いは止まらず、SS12、13、14を連取。SS15は曽根にベストタイムを譲るものの、SS16、17で再びベストタイムを奪い、2位の眞貝に11.8秒、3位の天野に26.5秒差を付け、今季初優勝を飾った。
JN4クラスは、初日トップの横尾がこの日も快走。ライバルの追従を許さず今季3勝目を獲得した。2位には、初日4番手の佐藤隆行/藤井俊樹(スバルBRZ)が、SS11で小濱を捉え3番手に浮上。さらにSS11のリピートステージとなるSS15では石川を逆転し、2位入賞を果たした。また、初日のギャラリーステージでタイヤパンクを喫し、初日に6本のタイヤを使い切ってしまった石川が我慢のラリーを続け3位に入賞。自身初となる全日本チャンピオンを獲得した。
JN3クラスは、初日首位の岡田がこの日もライバルを圧倒し独走。2位に2分40秒以上の大差を付け、全クラスの中で最多となる今季6勝目を獲得した。2位以降は荒れた展開となり、SS12では初日2番手の島田章/石黒祐輔(マツダ・デミオ)が、SS14では初日4番手の鷹野健太郎/尼子祥一(マツダ・デミオ)が相次いでリタイアとなったため、初日3番手の藤田幸弘/藤田彩子(マツダ・デミオ)が2位でフィニッシュ。3位には戸塚和幸/木村悟士(トヨタ・ヴィッツ)が入賞した。
JN2クラスは、初日のトップを奪った鈴木のペースが上がらず、SS15で須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)の逆転を許し2位に後退。「SS11で一気に10秒近くタイム差を縮めることができたのが大きかった」という須藤が、今季2勝目を飾った。
最終戦までタイトル争いが持ち越しとなったJN1クラスは、2位以下を大きくリードしていた中村がギャラリーステージの最終SSでまさかのコースアウト。3位以上でチャンピオンが確定する松田が優勝を奪い、全日本タイトル獲得に華を添えた。70歳になる松田は大庭誠介が持っていた全日本ラリー最年長チャンピオン記録を大きく更新した。また、2位には水素燃料電池車のトヨタMIRAIで出場した国沢光宏/木原雅彦が入賞した。
(RALLY PLUS)
総合結果
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | JN6-1 | 勝田範彦/石田裕一 | ラックSTI 名古屋スバル DL WRX | 1:13:02.5 |
2 | JN6-2 | 新井敏弘/田中直哉 | フジスバルアライモータースポーツWRX | 1:13:11.0 |
3 | JN6-3 | 奴田原文雄/佐藤忠宜 | ADVAN-PIAAランサー | 1:13:33.3 |
7 | JN5-1 | 勝田貴元/足立さやか | TOYOTA GAZOO Racing 86 | 1:17:40.3 |
11 | JN4-1 | 横尾芳則/渡邉晴子 | 諏訪姫PLUMレーシングBS86 | 1:18:19.3 |
24 | JN3-1 | 岡田孝一/鶴田邦彦 | キーストーンナビゲーターDLデミオ | 1:22:32.3 |
27 | JN2-1 | 須藤浩志/新井正和 | スマッシュBRIGコマツスイフト | 1:23:04.6 |
39 | JN1-1 | 松田保夫/杉原慶彦 | SRS-DL-RX8 | 1:28:34.9 |
注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。
参考総合結果表: 2015_rd09(PDF) 2015_rd09(Excel)
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。