がんばろう!福島MSCCラリー2016
開催日時:6月10日(金)〜12日(日)
開催場所:福島県棚倉町、いわき市、鮫川村
スペシャルステージ本数:15本
スペシャルステージ総距離:64.48km
ラリー総距離:463.86km
SS路面:グラベル
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.2
全日本ラリー選手権第4戦「がんばろう!福島MSCCラリー2016」は6月11日(土)〜12日(日)の日程で開催され、SS2でトップに立った新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)がその後も後続とのタイム差を広げ、待望の今季初優勝を飾った。今シーズンの新井は開幕戦からトラブルやリタイアが続き、第3戦を終えてシリーズ7位と不調にあえいでいたが、この優勝により復活の狼煙を上げた。
ラリー概要
今シーズン初のグラベルラウンドとなる今回のラリーは、2日間合わせて15SS(64.48km)が設定された。
初日は、西根R(6.52km)、鶴石山R(11.06km)、長草萱山(4.38km)の林道SS3本と、ギャラリーステージのサミーステージ in ルネサンス(0.50km)を、サービスを挟み2回ずつ走行する44.92km。林道SSの3本は深い轍やガレ場、さらには路面から掘り起こされた大きな石が散乱する区間が多く、ひと筋縄ではいかない悪路が連続する難ステージだ。
デイ2は、林道ステージの流岡田R(4.34km)を3回、東野牧野(2.33km)とギャラリーステージのサミーステージ in 鹿角平(0.94km)を2回ずつ走る19.56km。SSの距離は短いものの、平均速度が高い高速SSやこのラリー唯一のターマックSSなど、変化に富んだステージが用意されている。
デイ1
オープニングステージとなるSS1 西根R1は、今季まだ優勝はないもののシリーズ2位につける奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)がベストタイムをマーク。だが、続くSS2 鶴石山1のスタートから約4km地点のジャンクションでスピン。コース復帰に手間取り約20秒のタイムをロスし、トップから15秒遅れの3番手にポジションを下げる。このSSでは開幕戦から3連勝を飾った勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)がベストタイムを奪うものの、SS1とSS2で2番時計を奪った新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が首位に浮上してくる。
その後、新井はSS3 長草萱山1、SS4 サミーステージ in ルネサンス1、SS5 西根R2、SS7 長草萱山2でベストタイムをマーク。SS6でベストタイムをたたき出し2番手に浮上した奴田原に21.1秒差をつけ、初日トップの座を奪った。
新井は、「2周目の道の荒れ方がひどく、SS6(鶴石山2)では路面に散乱する大きな石にオイルパンをヒットしてしまったが、サービスで修復でき、事なきを得た。クルマ自体には問題はないので、2日目もこの調子でしっかりと走り切りたい」と、今季初優勝に向けて抱負を語った。
JN5クラスは、SS1からオーバーヒート症状に苦しむ柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208 R2)に対し、関根正人/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3-MAX)がSS2で20秒以上の差をつけトップに立つ。SS3以降は柳澤もペースアップし、SS6では関根が前走車に追い付きタイムロスするという不運も重なり、SS8を終えて両者の差は3.7秒差にまで縮まった。2日目も2台のRR車両による優勝争いが展開されることが予想される。
この日、最も激戦となったのがJN4クラスだ。序盤は、SS2とSS3で連続ベストタイムを奪った曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)がトップに立つが、2周目となるSS5で山口清司/島津雅彦(トヨタ86)が3.2秒差で逆転首位。曽根もSS6で応酬し、0.6秒という僅差ながら再びトップの座を奪い返すという1秒を争う好勝負が展開された。しかし、SS7で曽根が痛恨のスピンを喫し、タイヤのパンクも重なったことから、再び山口にトップの座を明け渡してしまった。初日を終えてトップの山口と2番手の曽根との差は14.6秒と開いているが、2日目も1秒を争う展開となりそうだ。
JN3クラスは、目下3連勝中と波に乗る天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)がこのラリーでも快走。悪路を激しい走りで攻める唐釜真一郎/松浦俊朗(マツダ・デミオ)がSS3〜4でトップに立つが、午後のSSでマージンをもった安定した走りの天野が徐々に後続を引き離し、2番手の唐釜に26.4秒差をつけ初日をトップで折り返した。
JN1クラスは、昨年のJN2クラス最多勝利を奪った須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)が序盤からリード。午後に入ると昨年のJN2クラスチャンピオン高橋悟志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツRS)と激しい攻防を展開したが、須藤が高橋に対し13.5秒差で首位に立っている。
デイ2
これまで雨に祟られることが多かったこのラリーだが、デイ2もデイ1と同じく早朝から雲ひとつない青空がフィールドを覆った。気温もグングンと上昇し、真夏を思わせるドライコンディションのなかで熾烈な優勝争いが行われた。このラリーで2日間ともドライコンディションとなったのは、2008年以来になる。
これまで、タフな路面に加え滑りやすいウエット路面の中で戦われることが多かったため、1秒を争う展開となりながらもリタイアが続出するサバイバル戦の様相となるラリーが多かったが、今回のラリーもデイ2オープニングとなるSS9流岡田1(4.34km)でベストタイムを奪った鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)が、SS13東野牧野2(2.33km)のフィニッシュ500m手前でミッショントラブルに見舞われ、惰性でフィニッシュまでたどり着くもののリタイア。SS9は鎌田と0.1秒差の2番手タイム、SS10東野牧野1(2.33km)でベストタイムを奪いペースを上げてきた炭山裕矢/保井隆宏(スバルWRX STI)も、SS12流岡田2(4.34km)でコースオフを喫しリタイアと、ひと筋縄ではいかない路面は、完全ドライコンディションとなりながらも容赦なくエントラントに牙を剥いた。
そのなか、初日トップの新井は、ベストタイムこそ1本だが好タイムを連発しトップをキープ。デイポイント3点を奪う激走を見せた奴田原に19.1秒差をつけ、今季初優勝を飾った。
「開幕戦から第3戦まで悪い流れが続いたけど、この優勝で流れも変わると思う。次(第5戦洞爺)も取りに行くよ」と連勝を狙う新井。シリーズ連覇に向けての足掛かりとなる勝利を手にした。奴田原は3戦連続となる2位、ランキングトップの勝田は3位に入賞した。
JN5クラスは、3.7秒差でトップの関根を追いかける柳澤が、SS9とSS10を連取し、関根と0.6秒差のトップに浮上。SS12は関根に逆転を許すが、柳澤が「ここは昔から得意」というSS13で総合4番手のタイムをたたき出し、再びトップの座を奪い返した。関根もSS14でタイム差を0.6秒縮めるが、反撃もそこまで。最終SSは柳澤がダメ押しともいえるベストタイムをマークし、トータル4.9秒差で第3戦に続き2連勝を飾るとともに、シリーズポイントも3位に入賞した大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)を抜き、ランキングトップに躍り出た。
デイ1に山口と曽根が激しいトップ争いを展開したJN4クラスは、初日2番手の曽根がSS13でベストタイムを奪い山口を逆転。SS14、SS15も連取し、2011年にセリカで優勝を獲得して以来、5年ぶりとなる全日本優勝を飾った。
「2011年の優勝以来、2位は何度もあったけどなかなか優勝に手が届かなかった。最後まで諦めずに走ったことが良かったと思う」と勝因を語る曽根。激戦のJN4クラスで、今季4人目のウイナーとなった。
JN3クラスは、初日トップの天野が、この日も快調に後続との差を広げ、そのまま逃げ切り優勝。開幕から続く4連勝を達成した。2位は唐釜が入賞。3位には、初日に45.5秒あった2位との差を3.6秒差にまで縮める激走を見せた岡田孝一/菅野総一郎(マツダ・デミオ)が入賞した。
JN1クラスは、初日トップの須藤が逃げ切り今季初優勝。初日2位の高橋が2位、3位には松原久/和田善明(マツダ・デミオ15MB)をSS10で捉えた直井健/厚地保幸(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、全日本初表彰台を獲得した。
(RALLY PLUS)
総合結果
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | JN6-1 | 新井敏弘/田中直哉 | 富士スバルアライモータースポーツWRX | 1:01:50.9 |
2 | JN6-2 | 奴田原文雄/佐藤忠宜 | ADVAN-PIAAランサー | 1:02:10.0 |
3 | JN6-3 | 勝田範彦/石田裕一 | ラックSTI 名古屋スバル DL WRX | 1:02:21.8 |
6 | JN5-1 | 柳澤宏至/加勢直毅 | YHクスコラリープラス208 R2 | 1:08:00.6 |
8 | JN3-1 | 天野智之/井上裕紀子 | 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS | 1:09:28.9 |
9 | JN4-1 | 曽根崇仁/桝谷知彦 | P.MU☆DL☆SPM☆INGING86 | 1:10:07.4 |
11 | JN1-1 | 須藤浩志/新井正和 | スマッシュBRIGコマツYHスイフト | 1:10:36.0 |
注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。
参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。