
2016 ARK ラリー洞爺 Supported by Sammy
開催日時:7月1日(金)〜3日(日)
開催場所:北海道洞爺湖町
スペシャルステージ本数:15本
スペシャルステージ総距離:64.54km
ラリー総距離:376.25km
SS路面:グラベル
SS路面状況:デイ1/ドライ・ウエット、デイ2/ハーフウエット
ポイント係数:1.2
全日本ラリー選手権第5戦「2016 ARK ラリー洞爺 Supported by Sammy」は7月1日(金)〜3日(日)の日程で開催され、SS2でトップに立った奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)がライバルの追従を許さず今季初優勝を飾った。第2戦から第4戦まで3戦連続2位の奴田原は、この優勝によりシリーズトップの勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)とのポイント差を17.9ポイントに縮めた。
ラリー概要
シリーズの折り返し地点となる第5戦は、北海道有数の観光地、洞爺湖周辺を舞台に開催された。良質なグラベル林道を豊富に有するこのラリーは、ラベンダーロングやシータングル、プラムなどこれまでのラリーでもお馴染みの林道SSに加え、今年は新たな林道ステージを用意。デイ1とデイ2を合わせて63.76km(15SS)のステージが設定された。
一方、JN6クラスにAPRCで活躍するマイケル・ヤング/保井隆宏(スバルWRX STI)、JN5クラスに元F1ドライバーのヘイキ・コバライネン/北川紗衣(GT86 CS-RS)が出場。全日本トップドライバーとの対決も注目となった。
デイ1
オープニングとなるSS1 SSSニューボルケーノ1(0.70km)は、ラリーの拠点となる洞爺湖文化センターに隣接する砂防ダムを利用した特設ギャラリーステージ。金曜日の夕方に行われたこのSSは、翌日の土曜日から本格的にスタートするラリーの軽い足慣らしのような設定だが、このステージでシリーズランキングトップの勝田がまさかのミスコース。ベストタイムをマークした新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)から11.4秒という大きなビハインドを背負ってのスタートとなった。
本格的なラリーが始まる2日(土)は、早朝からポツポツと降る雨の影響によりウエットコンディションでの戦いとなった。そのなかで、前日のSS1でトップに立った新井がSS2でもベストタイムを連取。2番手に付ける奴田原との差を4.5秒に広げた。だが、その新井がスタート前に「ものすごく滑りやすく、今回のラリーで一番警戒しなければならないステージ」と語っていたSS3のゴール直前でスピンしてしまい、このSSでトップに浮上した奴田原に21.6秒差の6番手にポジションを下げてしまう。
その後、奴田原はSS4で鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)に2.4秒差、3番手のヤングに5.7秒差に迫ってくるが、雨が強く降り始めたセクション2は、ドライタイヤで挑んだヤングが、SS5で約40秒エンジンストップしてしまった影響も重なり首位から1分4秒9差の7番手に大きくポジションダウン。「ウエットタイヤに変えたらセッティングが合わなくなってしまった」という鎌田も、SS7で勝田に捉えられ3番手にポジションを下げてしまう。
そのなかでも、首位の奴田原はベストタイムこそ1本のみという状況だったが、荒れた展開となった今回のラリーでコンスタントに好タイムをマーク。ヘビーウエット路面となったセクション2で2番手に追い上げてきた勝田に対し12.2秒差を付け、初日をトップで折り返した。
JN5クラスは、SS2で関根正人/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3 MAX)と、大橋逸夫/藤上亘(MINI JCW)が相次いでコースアウトするという波乱の展開となったが、前日のSS1を含め4本のSSでベストタイムを奪った柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208 R2)が、2番手の大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)に16.3秒差を付け、初日のトップを奪った。3番手には、2本のSSでベストタイムを奪ったコバライネンが付けている。
その他、JN4クラスは石川昌平/石川恭啓(トヨタ86)がトップ、JN3クラスは雨のセクション2で天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)を逆転した寺川和紘/石川美代子(マツダ・デミオ)が、JN1クラスは須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)がそれぞれトップで初日を折り返している。
デイ2
デイ1を襲った激しい雨も上がり、早朝から穏やかな天候に恵まれたデイ2。だが、前日の雨はこの日もラリーに大きな影響を残した。このラリーでは名物SSとなった川渡りセクションがあるSS10シータングル1では、増水した川の影響でエンジンに水を吸い込みストップしてしまうマシンが続出。このSSだけで6台のマシンがリタイアするというサバイバル戦となった。
そのなか、JN6クラスは前日トップの奴田原がこの日も快走。2本のSSでベストタイムを奪うほか、初日2番手の勝田の追い上げを許さず、最終的にはタイム差を13.1秒に広げ、今季初優勝を飾った。
「2日間通して気が抜けないラリーでした。優勝はウエット路面に強いタイヤのおかげ。次のモントレーも、この調子で行きたいですね」と、昨年の第7戦以来となる勝利を喜ぶ奴田原。2位の勝田も「SS1のミスコースで、もうこのラリーは終わったと思いました。最後まで諦めなかったことが、挽回に繋がったと思う」と、シリーズトップの座をしっかりと守り切った。
熾烈な戦いとなった3位争いは、SS3でスピンを喫し初日を4番手で折り返した新井が、初日3番手の鎌田を猛追。デイ2トップポイントを獲得する速さを見せた新井だったが、鎌田が3.4秒逃げ切り3位入賞を果たした。
JN5クラスは、初日トップの柳澤が、この日も7SS中5本のSSを制する速さを見せ、第3戦、第4戦に続きクラス3連勝を飾った。川渡りセクションで次々とライバルがストップし、デイ2序盤から独走態勢となった柳澤は、「最後まで集中力をキープするのが難しいラリーでしたが、自分の走りに徹することができたと思います」と語る。この優勝により、シリーズポイントでも2位以下を大きく引き離す結果となった。また、川渡りセクションでエンジンがストップしてしまった大倉が、なんとか最後まで走り切り2位に入賞。注目のコバライネンも大倉と同じ川渡りでエンジンを止めてしまったが、その後復帰を果たし3位に入賞した。
JN4クラスは、初日2番手の曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)が、SS13で初日トップの石川を捉え逆転。初日のSS1ではミスコースしかけて大きく出遅れた曽根だったが、「雨のおかげ。これまでのグラベルでの経験を活かせたと思う」と、第4戦に続き2連勝を飾った。
JN3クラスは、2日目オープニングとなるSS9で、初日2番手の天野が、初日トップの寺川を逆転し、トップに浮上。その後は寺川の逆転を許さず、開幕戦から続く連勝記録を5に伸ばした。
JN1クラスは初日トップの須藤が、2位の松原久/和田善明(マツダ・デミオ15MB)に1分以上の差を付け優勝した。
(RALLY PLUS)
総合結果
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | JN6-1 | 奴田原文雄/佐藤忠宜 | ADVAN-PIAAランサー | 0:52:17.4 |
2 | JN6-2 | 勝田範彦/石田裕一 | ラックSTI 名古屋スバル DL WRX | 0:52:30.5 |
3 | JN6-3 | 鎌田卓麻/市野 諮 | SYMS TEIN DL WRX STI | 0:52:37.0 |
10 | JN5-1 | 柳澤宏至/中原祥雅 | YHクスコラリープラス208 R2 | 0:57:31.1 |
11 | JN4-1 | 曽根崇仁/桝谷知彦 | P.MU☆DL☆SPM☆INGING86 | 0:58:49.5 |
14 | JN3-1 | 天野智之/井上裕紀子 | 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS | 0:59:05.4 |
20 | JN1-1 | 須藤浩志/新井正和 | スマッシュBRIGコマツYHスイフト | 1:00:42.7 |
注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。
参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。