開幕戦記念撮影(唐津神社)

勝田範彦インプレッサが圧巻の走りで唐津7連覇!

開催日時:4月8~10日
開催場所:佐賀県唐津市周辺
スペシャルステージ本数:16本
スペシャルステージ総距離:72.56km
ラリー総距離:2デイ380.07km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1 ドライ、デイ2 ドライ
ポイント係数:1.0

ラリー概要

今年は全9戦で戦われる全日本ラリー選手権。その開幕戦「ツール・ド・九州2012 in 唐津」が、4月6日~8日に佐賀県唐津市を舞台に開催された。

唐津港の一角に設けられたサービスパークには41台のラリー車が集結。唐津市の協力により、市の中心部に位置する唐津ふるさと会館「アルピノ」に話題のトヨタ86をはじめ数多くのクルマが展示されるラリーパークが設けられた。この「アルピノ」ではデイ1のスタートやデイ2のラリーフィニッシュ&表彰式が行われるほか、SSのライブ中継が行われ、全国から訪れたラリーファンや唐津市民がラリーと触れ合うことができる場所として人気を集めていた。

また、ラリーウィークの5日(木)には、FIAとJAFの主催で「第1回ラリー競技中のスペシャルステージにおける救急活動訓練」が行われた。SS内での転落事故等のアクシデントを想定したこの訓練にはFIAよりWRCオフィシャルを特別講師として招き、ラリーに参加する選手やオフィシャルがレスキュー活動の手順や実際に使用するレスキュー機材の使用法などを実演を通じ学んでいた。この実技訓練は、ラリー北海道終了後の9月17日(月)にも北海道で開催される予定だ。

JN4クラス

2日間で戦われるラリーは、16SS計72.56kmのSSで構成。このラリー最長ステージのSS1「三方ロング」10.00kmから勝負開始となる。ここでステージベストを叩き出したのが、ディフェンディングチャンピオンの勝田範彦GRBだ。このラリーを最も得意とし「七山エンペラー」の異名を持つ榊雅広CT9Aに対し5.8秒、昨年は一時トップを快走して勝田を苦しめた奴田原文雄CZ4Aには10.07秒という大差を付け、早くもライバルたちを大きくリードする。勝田の快進撃は止まらず、SS5は奴田原に0.6秒差のステージベストを奪われたものの、デイ1に設定された10本のSS中9本のSSでステージベストをマーク。デイ1の最終SSとなるSS10で榊を逆転し2番手に浮上した奴田原に対し23.3秒という大差を付け、デイ1を折り返した。

デイ2に入ると、「タイム差的には逆転は難しいかもしれないけど、デイポイントは1位を狙う」と奴田原が全力で勝田を追いかけるが、勝田も手を緩めずに応酬。ギャラリーステージ「備前」では2本とも奴田原がステージベストを奪うが、勝田も4本のSSでステージベストを叩き出し、奴田原との差を24.6秒に広げ開幕戦を制した。

「昨年の終盤戦からエンジン制御をMoTecに変更したしたのが良い結果に結びついた。昨年の開幕戦はコーナーの進入で無理してた時もあったけど、今年はエンジン特性が良くなったので安定したドライビングを続けることができた」と、開幕戦7連覇を達成した勝田。一方の奴田原は「SS1は足が少し柔らか目だったけど、その後はうまくセッティングを合わすことができた。これまでこのラリーは最上位が4位とあまり相性が良くなかったので、2位入賞はシリーズを考えると上々のスタート」と、第2戦から3戦連続するグラベルラリーに向けて気持ちを切り替える。

3位には榊が入賞、4位には今季ランサーエボXからGRBインプレッサに変更した柳澤宏至が、5位にはハセプロワールドラリーチーム入りした若手有望株の高山仁が、6位には柳澤と同じくGRBインプレッサにスイッチした福永修が入賞した。

JN3クラス

JN3クラスは、4月6日に発売されたばかりのトヨタ86が早くも登場し、話題を集めた。車両を製作するラックが行ったオーディションにより86のステアリングを託された筒井克彦は、「まだ基本的なセッティングを探っている状態だが、セットアップの方向性は見えてきた。今回は高速コーナーに合わせたセッティングだったので、林の上と肥前は良かったが、S字コーナーが連続する三方で苦戦を強いられた。それでも予想以上にコーナリングが速く、しかも乗りやすいしドライビングそのものが楽しいクルマですね。次のターマックまでにはもっと速くなりますよ」と力強いコメント。今回はクラス6位に終わったが、次戦からの巻き返しに期待したい。そのJN3クラス、最速でステージを駆け抜けたのが眞貝知志DC2だった。昨年はSS1のスピンにより最下位スタートなり、そのタイムロスを終盤に入りやっと取り戻すという薄氷の勝利だったが、今年はSS1からステージベストを連発。全16SS中14本でベストを奪い、2位の曽根崇仁ZZT231に1分以上の大差を付け、開幕戦優勝記録を4に伸ばした。

「今年は、ターマックラリー全勝だけではなくJN3クラスタイトルも狙っています」と早くも開幕戦でチャンピオン宣言が飛び出した眞貝。グラベルラリー緒戦となる第2戦の久万高原ラリーの走りにも注目だ。

2位に入賞した曽根は、「今年はシーズン終盤までにはトヨタ86に乗り換える予定です。それと、今年のグラベルラリーはCJ4Aで挑みます。昨年、前半戦は好調だったんですけど、中盤戦のグラベルラリーからマシントラブルが続きつまずいた。今年はしっかりとポイントを重ね、昨年逃したタイトルを獲りたい」と、シリーズチャンピオンを狙う。

また、3位にはオーバーヒートに苦しみながらも「何回もラジエターに水を足して、なんとか最後まで走りきることができた」という山口清司AE111が入賞。4位にはGDBインプレッサからEP82スターレットに乗り換えた大倉聡が入賞した。

JN2クラス

昨年、2位以下を大きく引き離す快走をみせたものの、ドライビングミスでクラッシュしてしまい優勝をふいにしてしまったJN2クラスの丹羽和彦。「昨年は、クラス優勝よりも、自分の中ではJN3クラスの眞貝選手と勝負していた。FFで一番になりたかったし、すべてのSSのステージベストを奪いたかった。クラスの勝負には全然関係なかったんですけどね。そういっった自分のエゴのおかげで、応援してくれる回りの人たちに迷惑をかけてしまった。その反省をふまえ、今年はクラス優勝を目標にしっかりとペース配分して走ります」という言葉通り、前半で築き上げたマージンをしっかりと守りきり、昨年の雪辱を果たす優勝を遂げた。

一方、熾烈な戦いとなったのが2位争いだ。ラリー直前に行われたメディアの共同記者会見で「最もマークする選手は川名賢選手」と名言した昨年のチャンピオン天野智之NCP131と、その天野に指名された川名NCP13との現行VS初代ヴィッツによる2位対決は、初代ヴィッツを駆る川名に軍配。

「今回はベテランコ・ドライバーの安東貞敏さんに乗ってもらったんですけど、レッキの時からドライビング面で注意を受けていたんです。『ちゃんと荷重移動してからコーナーに入れ!』とか、今まで自分が積み上げてきたものを完膚無きまでに全否定されました(笑)。でも、たまに『今のコーナーは良かった』と言ってくれるんです。そうしたら、そこのSSで天野さんに6秒勝つことができたんです。もう、安東さんのおかげですよ(笑)」と川名。安東も、「テンションが上がったらどこまでも上がるタイプのドライバーだけに、それを抑えるのが大変。でも、若いけど良いドライバーだと思うよ」と評価する。

3位となった天野も、「成長しすぎだよ(笑)」と川名の成長を認める。今回は13台が出場とJN4クラスに匹敵する台数となったJN2クラス。これまでJN3クラスで戦っていた岡田孝一もこのクラスに加わり、ベテランと若手の対決が注目のクラスとなりそうだ。

JN1クラス

JN1クラスは、マーチ12SRを駆る小泉茂が2位以下を大きく引き離し優勝。EP82でも全日本ラリー優勝の経験を持つ小泉だが、RF車両規定の緩和により出場が可能となったマーチ12SRが全日本ラリー優勝を獲得するのは今回が初となる。

総合結果

出走42台/完走32台

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN4-1 勝田範彦/足立さやか ラック名スバルSTI DLインプレッサ 58:50.9
2 JN4-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN PIAAランサー 59:15.5
3 JN4-3 榊 雅広/井手上達也 加勢eレーシング・ランサー 59:23.3
4 JN4-4 柳澤宏至/中原祥雅 CUSCO ADVAN インプレッサ 1:00:00.4
5 JN4-5 高山 仁/河野洋志 DL☆OF☆レイルCL☆ハセプロランサー 1:00:16.2
6 JN4-6 福永修/奥村久継 ハセプロCL☆DLインプレッサSTI 1:00:41.6
8 JN3-1 眞貝知志/田中直哉 メロンブックスDLテインBRIGインテ 1:01:13.9
10 JN2-1 丹羽和彦/永山聡一郎 KYB YH itzzクスコ フィット 1:02:38.9
24 JN1-1 小泉 茂/小泉由起 TG厚木OKU安斉自工ADVANマーチ 1:06:39.5

注)JN4クラスは3000ccを超える車両、JN3は1500ccを超え3000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1500cc以下の車両、JN1は1400cc以下の車両(過給器つき車両は排気量×1.7で換算)

参考総合結果表: 2012_rd01(Excel) 2012_rd01(PDF)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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