久万高原ラリー

開催日時:5月4日(日・祝)〜5日(月・祝)
開催場所:愛媛県久万高原町周辺
スペシャルステージ本数:12本
スペシャルステージ総距離:68.82km
ラリー総距離:230.82km
SS路面:グラベル(未舗装路)
SS路面状況:デイ1/ドライ、デイ2/ウエット
ポイント係数:1.2

ラリー概要

全日本ラリー選手権第2戦「久万高原ラリー2014」が、愛媛県久万高原町を舞台に開催された。平均標高800m、山間部では1400mにも達する文字どおりの高原でのラリーは、2011年からシーズン最初のグラベルラリーとして2戦目が定位置となっている。

今年も例年どおり美川スキー場跡地にヘッドクオーター&サービスパークを設置。セレモニアルスタート&フィニッシュやシャンパンファイトも恒例行事として定着してきた。開催時期はゴールデンウィークの中日に設定され、約1000名のギャラリーが全国から集まってきた。セレモニアルスタートを観てから徒歩でギャラリーステージに移動できるなど、観戦もしやすいラリーと言える。

コースは、デイ1に3カ所のSSを2回ループする6SS(29.00km)、デイ2も同様に3SSをループする6SS(39.82km)という構成で、両日とも林道SS2本+「スキー場」のギャラリーステージをセットとして、ギャラリーステージの後にサービスを挟むアイテナリー。デイ1のSS1/4「大谷支線」、SS2/5「安田」の2本の林道SSはともにダウンヒルの中距離SS、デイ2のSS7/10「大野ケ原線」は途中から「安田」を逆走するヒルクライムで、SS8/11「大谷」は途中から「安田」に合流するダウンヒルだ。

第2戦久万高原は開幕戦唐津に続き、またもや天候が選手たちを悩ませた。もともと岩肌の露出した攻撃性の高い石が路面を覆っているコースが多いことから、マシンへのダメージが大きくトラブルも起きやすい。カーブレイカーラリーとして知られる久万高原だが、今年はデイ1が晴天、デイ2はコンディションが一変して雨。特に2日目は霧が深く立ちこめたステージもあり、路面だけではなく天候急変によるコースアウトやマシントラブルなどのリタイアも続出した。

エントリーはJN6クラス、JN5クラスが12台ずつ、JN3クラスが10台、JN1クラスが5台、そしてオープンクラスとして3台を合わせた計42台。なお、開幕戦唐津で成立したRPN車両のJN4クラスとJN2クラスにとって初めてのグラベル戦は、残念ながら不成立となった。

JN6クラス:奴田原文雄が新井敏弘の猛追を退け今季初勝利

JN6クラスは、SS1でいきなり上位陣にアクシデントが襲いかかった。まず奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)が右リヤを立ち木にヒットし3.8秒遅れの3番手タイム。さらにこのSSで新井敏弘/竹下紀子(スバルWRX STI)もバーストにより40秒以上のビハインドを背負ってしまう。ここで炭山裕矢/保井隆宏(スバルWRX STI)と牟田周平/加勢直毅(スバルWRX STI)が1−2体制の幸先いいスタートを切る。しかし続くSS2から奴田原と新井が猛追を開始。SS2/4/6で新井が、SS3では奴田原がベストタイムを奪い、デイ1を終えて奴田原が首位、3秒差の2番手に炭山、20.2秒差の3番手に勝田範彦/足立さやか(スバルWRX STI)がつける。勝田はSS5でベストタイムをマークしたものの持ち前の速さを発揮することは叶わず。4番手に牟田、新井はSS5でスピンを喫するも、奴田原と28.4秒差の5番手につけた。

明けたデイ2は予報どおりの雨模様。しかしここで新井が圧倒的な速さを見せた。SS7/8/10でベストタイム、SS9/11でセカンドベストを奪い、最終のギャラリーステージを残して奴田原との差をわずか1.5秒まで縮めることに成功。奴田原もデイ1のリードを守れる計算だったが、SS8で痛恨のスピン。終始クラス3番手以内のタイムを刻むが、大きく差を縮められてしまった。そして、ギャラリーが見守るなかでの最終SSでの勝負は、奴田原の1分9秒8に対して新井は7個目のベストタイムとなる1分9秒0。この瞬間、わずか0.5秒逃げ切った奴田原が今季初勝利を挙げ、ランキング首位に浮上した。2位は新井、3位には粘りの走りで勝田が食い込み、奴田原と3.8ポイント差のランキング2位につけた。以下、4位に炭山、5位に牟田、6位に藤本鋼二/中島亜希子(三菱ランサーエボリューションVII)が入賞した。

JN5クラス:ブーンX4の一騎打ちを小倉が制す

JN5クラスは、小倉雅俊/平山真理と松原久/和田善明のダイハツ・ブーンX4による一騎打ちの様相を呈した。デイ1を終えて首位が小倉、4.2秒遅れで松原が2番手につけ、どちらも譲らない攻防。3番手はSS1でバーストに見舞われるも徐々にタイムを取り返した鎌田卓麻/市野諮(スバルBRZ)が17.4秒差でつける。

デイ2に入ると、上りを得意とする松原がSS7/10、下りが得意な小倉がSS8/11でベストタイムとトップの座を奪い合う展開に。そして迎えた最終SS、松原が小倉を2.4秒上まわったものの、5.2秒のリードを守った小倉がブーンX4対決を制した。3位はギャラリーSSなどではベストタイムをマークしながら「勾配のきついSSは上り、下りとも4WDにかなわない」と苦戦を強いられた鎌田。しかしランキングではわずかな差ながら首位に浮上した。唐津のウイナーである山口清司/島津雅彦(トヨタ・カローラレビン)は通算4度ものバーストに見舞われクラス最下位に。4位は唐津でリタイアに終わった筒井克彦/石田裕一が三菱ミラージュで善戦。5位にブーンX4の山口貴利/山田真記子、6位にトヨタ86の増川智/赤木弥生が入った。

JN3クラス:天野智之の独壇場、開幕2連勝

JN3クラスは、他クラス同様に波乱の幕開け。SS1で岡田孝一/漆戸あゆみ(マツダ・デミオ)がドライブシャフトを折損するなど、3台がリタイアを喫した。そんななかでデイ1に用意された4カ所の林道SSをすべて制した天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)がリードを広げる。2番手は同じくヴィッツRSを駆る石川昌平/竹原静香、3番手は昨年のJN1チャンピオンである松岡竜也/縄田幸裕(スズキ・スイフト)だ。

明けたデイ2は、マシンを修復して復帰した岡田がSS7/10で、ギャラリーステージで松岡がそれぞれベストタイムで応戦するも天野には届かず。天野が開幕2連勝でポイントを伸ばした。2位に松岡、3位にマツダ・デミオに乗り換えて着実にタイムを刻んだ藤田幸弘/藤田彩子が入賞。デイ1で2番手だった石川はリヤサスペンション破損によりリタイア。完走5台のサバイバルラリーとなった。

JN1クラス:宇田圭祐デミオが久万高原2連覇

JN1クラスは、中西昌人/美野友紀(ダイハツ・ストーリアX4)がデイ1でエンジンブローに見舞われ、事実上マツダ・デミオの宇田圭祐/石川恭啓とダイハツ・ストーリアX4の鷲尾俊一/佐竹尚子の2台による対決に。しかし「着実にポイントを稼いで今年はチャンピオンを狙う」という鷲尾は完走狙いの走りにシフト。宇田が4分30秒近いリードを守り、昨年デミオを初投入した久万高原で、2年連続となる勝利の美酒を味わった。

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:10:55.8
2 JN6-2 新井敏弘/竹下紀子 アライモータースポーツWRX-STI 1:10:56.3
3 JN6-3 勝田範彦/足立さやか ラック名古屋スバルDLSTIインプレッサ 1:11:13.1
8 JN5-1 小倉雅俊/平山真理 DLデューポイントブーン 1:16:49.3
11 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・ラック・DLヴィッツG’s 1:18:19.1
14 JN1-1 宇田圭佑/石川恭啓 BRIGヨコハマWAKO’Sデミオ 1:20:52.4

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: 2014_rd02(PDF)  2014_rd02(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2014年 全日本ラリー選手権 第2戦 久万高原

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