がんばろう!福島MSCCラリー2014

開催日時:6月6日(金)~8日(日)
開催場所:福島県東白川郡棚倉町
スペシャルステージ本数:14本
スペシャルステージ総距離:62.72km
ラリー総距離:364.99km
SS路面:グラベル(未舗装路)※一部ターマック路面を含む
SS路面状況:デイ1/ウエット、デイ2/ウエット
ポイント係数:1.2

ラリー概要

全日本ラリー選手権第3戦「がんばろう!福島MSCCラリー2014」は、今年唯一の本州でのグラベルラリー。6月7日~8日にかけて、福島県の中部に位置する棚倉町を中心に、鮫川村、いわき市などの林道を使用した14SS、62.72kmでの戦いだ。

今年の福島のラリーには、新たな取り組みが多数盛り込まれた。

まずデイ1に、映画「フラガール」でもおなじみのスパリゾートハワイアンズにリモートサービスが設置され、選手紹介セレモニースタートを開催。スタート前にはいわき市長の挨拶やフラガールのダンスが披露され、ラリーの無事と成功を華やかに祈った。

観戦しやすいことで定評のあるルネサンス棚倉のギャラリーステージは、デイ1の午後に2本用意されたが、今年は久しぶりに逆走を採用。スタート直後の下りのターマックからグラベルに飛び込んでいくラリーカーの走りを間近で満喫できるコース設定となった。SS以外の時間帯には、サファリラリーなどで活躍した篠塚建次郎による同乗&デモ走行も実施。毎年この同乗を目当てにやってくるリピーターも多い恒例イベントともなっている。

デイ2は、昨年までラリーパークだった鹿角平観光牧場内に、まったく新しいターマックのギャラリーSSが誕生。広大な牧草地の緩やかな丘の上から、牧野を縫うように走るラリーカーの姿を満喫できた。また、あいにくの雨で実現できなかったが、フリースタイルモトクロスのデモランも予定されるなど、地元自治体との強い協力関係が築かれていることも、福島のラリーの魅力のひとつだろう。

しかし、競技は一転、両日とも強い雨に見舞われ、マシントラブルやコースオフが続出し、エントリーの半数以上が脱落するという大荒れの展開に。今季は開幕戦からすべて雨が絡んでいるが、もともと轍のできやすい荒れたグラベルコースが、雨でさらに難しいコンディションとなり、勝負の行方を大きく左右することとなった。

なお、ラリーのスタート前の開会式では、主催クラブのMSCCの代表であった、昨年亡くなられた小田切順之氏への黙祷が行われた。さらに表彰式では日本のラリーの普及と振興に尽力された小田切氏に対し、優勝者たちも生前の思い出話を披露。小田切氏の功績に、あらためて哀悼の意を表したい。

JN6クラス:奴田原文雄がグラベル2勝目

JN6クラスは、トップゼッケンの奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)がオープニング3本のSSで連続ベストタイム。2番手の新井敏弘/竹下紀子(スバルWRX STI)に11.1秒差、勝田範彦/足立さやか(スバルWRX STI)が23.1秒差の3番手、炭山裕矢/保井隆宏(スバルWRX STI)が36.7秒差と早くも差が開き始める。しかし2ループ目に入ると、プッシュした新井がSS5で首位に立つ。それもつかの間、新井は続くSS6でシフトリンケージのトラブルによりデイ離脱を余儀なくされてしまう。これで奴田原が再び首位に返り咲き、2本のギャラリーステージを終えて首位を維持。27.4秒差で勝田が続き、3番手の炭山は1分8秒2と奴田原から大きく遅れた。

デイ2のSS距離は16.76km程度と短いものの、ハイスピードな設定が多く、まだまだ気が抜けない。SS9では勝田、SS10、13で勝田、SS11、12でリスタートにより復帰した新井がベストタイムをマークするが、奴田原との差を決定的に縮めるには至らず。デイ1で築いたリードを守り抜き、奴田原がグラベルラリー2勝目を遂げた。2位は21.8秒差で勝田、3位に炭山が入った。

JN5クラス:川名賢がトヨタ86で初優勝

86&BRZ、NAのインプレッサ、シビックタイプRといった多彩なマシンが勢揃いしたJN5クラス。しかし、今年は金曜日のレッキから波乱含みの幕開けとなった。開幕戦ウイナーの山口清司/島津雅彦(トヨタ・カローラレビン)と第2戦ウイナーの松原久/和田善明(ダイハツ・ブーンX4)が、ともにレッキ中のアクシデントによりラリーに出走できないという事態に。

デイ1では、オープニングのSS1で鎌田卓麻/市野諮(スバルBRZ)、SS2で石田雅之/遠山裕美子(トヨタ86)がドライブシャフトを折損してデイ離脱、筒井克彦/石田裕一(三菱ミラージュ)がコースオフしてデイ離脱と、ラリー序盤から大荒れの展開に。最初の3SSを終えた段階で、昨年のウイナーである上原利宏/郷右近孝雄(ホンダ・シビックタイプR)がクラストップ、昨年ヴィッツでJN2クラスを制した川名賢/永山聡一郎とはすでに1分以上差が開いており、木村謙治/矢柳靜一郎(スバル・インプレッサ)が8.3秒差に迫る。この時点で残るクルーは13台中わずか6台。しかし、SS2の2走目であるSS5で首位の上原もまさかのドライブシャフト折損。デイ1を終えて川名と木村の差は約26秒まで開き、二瓶崇/伊藤尚吾(ホンダ・インテグラタイプR)が3番手に浮上。JN5の生存者はなんとこの3台のみとなった。

明けたデイ2も予想どおりの大雨。デイ1を離脱し、デイ2でリスタートした選手たちがベストタイムを刻むなか、3台はマシンを労りながら確実にフィニッシュを目指し、最終的にそのままの順位でフィニッシュ。「こんな勝ち方もあるんですね」と過酷なラリーを走り抜いた川名が、86に乗り換えて初優勝をゲットした。2位に木村、3位に二瓶が入った。

JN3クラス:天野智之、負けなしの3連勝達成

JN3クラスは、SS1で石川昌平/石川恭啓(トヨタ・ヴィッツRS)がベストタイムを刻むが、続くSS2で天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS G’s)が逆転。その後は一度もトップの座を譲らないいつものラリー展開でデイ1をトップで快走した。2番手に唐釜真一郎/松浦俊朗(マツダ・デミオ)、石川が3番手で、この時点で生き残ったのは5台のみ。デイ2に入っても天野の勢いは止まらず、天野が3連勝をマーク。最終SSを2位でフィニッシュしたのは唐釜だったが、ゴールまでのリエゾン区間中にクラッチトラブルで最終タイムコントロールに戻ることができずにまさかのリタイア。石川が2位に上がり、猪股寿洋/蔭山恵(スズキ・スイフト)が3位に初入賞した。

JN2クラス:田中伸幸、デイ2で逆転勝利

今季からスタートしたRPN車両で争われるJN2クラスは、開幕戦に次いで2回目のクラス成立。SS1で高橋悟志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツRS)が田中伸幸/藤田めぐみ(スズキ・スイフトスポーツ)に20秒以上のマージンを築き、そこから2台による僅差の戦いが過熱していくが、デイ1最終のSS8で高橋が電気系トラブルによりエンジンが3気筒状態に。18秒あった貯金を6.7秒まで縮められてしまう。デイ2に入ると田中がペースを上げて高橋を追いつめ、SS10でついに逆転するとそのままフィニッシュ。開幕戦に次いでJN2クラス2連勝を果たした。

JN1クラス:ストーリアX4対決を、中西昌人が制す

JN1クラスはダイハツ・ストーリアX4による中西昌人/美野友紀と鷲尾俊一/佐竹尚子の対決。SS1、SS2、SS4で鷲尾が、SS3で中西がベストタイムを刻む直接対決となったが、ロングステージのSS5で鷲尾のタイヤがバーストし、40秒以上を失ってしまう。前戦でブローしたエンジンを載せ換え、テストもないままだったという中西だが、我慢の走りを2日間続け、今季初勝利を遂げた。鷲尾もフィニッシュを果たしポイントを獲得。選手権では首位を守っている。

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:03:04.8
2 JN6-2 勝田範彦/足立さやか ラック名古屋スバルDLSTIインプレッサ 1:03:26.6
3 JN6-3 炭山裕矢/保井隆宏 CUSCO ADVAN WRX-STI 1:04:21.6
13 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・ラック・DLヴィッツG’s 1:11:27.0
14 JN5-1 川名 賢/永山聡一郎 ラックGR86 1:13:10.7
15 JN2-1 田中伸幸/藤田めぐみ 加勢eレーシングYHクスコWMスイフト 1:14:09.8
20 JN1-1 中西昌人/美野友紀 YH・WM・KYB・マクゼスストーリア 1:15:30.2

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: 2014_rd03(PDF)  2014_rd03(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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2014年 全日本ラリー選手権 第3戦 福島

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