2014 ARKラリー洞爺

開催日時:7月4日(金)〜6日(日)
開催場所:北海道洞爺湖町
スペシャルステージ本数:17本
スペシャルステージ総距離:71.62km
ラリー総距離:369.55km
SS路面:グラベル(未舗装路)
SS路面状況:デイ1/ドライ、デイ2/ドライ
ポイント係数:1.2

ラリー概要

全日本ラリー選手権第4戦が、7月4日(金)〜6日(日)にかけて北海道洞爺湖町周辺で開催された。全9戦のうち前半戦を締めくくる4戦目となるこの大会は、第2戦から続くグラベル3連戦の最終戦でもあり、シリーズチャンピオンを狙ううえでは非常に重要な1戦となる。

ラリーは4日(金)夕方に、サービス会場に隣接する700mの砂防ダム特設コースでデイ1AとしてSS1を実施。本格的なラリーは5日(土)のデイ1Bからスタートする。午前中に3カ所の林道ステージを走行後、昼のサービスをはさんで特設ステージを2回走行し、午前の林道ステージを再走する設定。6日(日)のデイ2も同様に、午前に3カ所の林道ステージ、サービスを挟んで特設ステージを2回走行し、午後に林道ステージを再走する設定だ。デイ1はハイスピードなステージ、デイ2はテクニカルなステージが多く、二日間合わせて計16SS、71.62kmでの戦いとなった。

昨年も林道に多くの観戦ポイントを設定し好評を得たラリー洞爺だが、今年は新たなギャラリーステージとして特設コース「VOLCANO(SS1/5/6/13/14)」を新設。高台の観戦ポイントから700mに渡るステージ全体を見渡すことができた。また、林道ステージは3カ所の観戦ポイントを設定。5日(土)は「LAVENDER LONG(SS2/7)」と「AZALEA(SS4/9)」の2カ所、6日(日)は「SEA TANGLE(SS10/15)」の1カ所で、林道ステージで迫力の走りを楽しめる数少ないラリーのひとつとして定着してきた。

天候は全日程で薄曇りだったが、場所によっては日が差すといった穏やかな気候。路面は全体的に硬く締まったフラットな状態で、その上に細かい砂利が敷き詰められているという状況。各ステージとも1周目はゼッケン順によっては滑りやすい状況だったが、路面の砂利が掃けた2周目は攻め甲斐のあるステージとなった。ただし、特設ステージは路面が柔らかく、走行回数が増すに連れて路面が悪化し、わずか700mながら難しいコースに変貌した。また、各ステージとも前走車が巻き上げた砂塵が残り、後続車両の視界を妨げる場面もあった。そんなラリーで、多くのクラスで今季初優勝の選手が現れた。

JN6クラス:新井敏弘が一度も首位を譲らず今季初勝利

JN6クラスは、金曜日のSS1から新井敏弘/竹下紀子(スバルWRX STI)が持ち前のグラベルでのスピードを披露。土曜日のSS3を終えて勝田範彦/足立さやか(スバルWRX STI)が2.8秒差にまで迫ったものの、新井はその後もリードを広げ、デイ1を終えて勝田を15.2秒引き離す。3番手には、先頭走者として浮き砂利路面の掃除役を強いられた奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)が28.4秒差につける。

デイ2も新井はさらに後続を引き離す走りで、8カ所のSS中5カ所でベストタイムを獲得。新井に追いつける者はなく、最終的に22.3秒差をつけて新井が今季初優勝を飾った。2位は勝田、3位は奴田原。4位以下はデイ1と変わらず、石田正史/宮城孝仁(三菱ランサーエボリューションX)、5位は堀江拓/馬瀬耕平(三菱ランサーエボリューション)、6位は竹内源樹/加勢直毅(スバルWRX STI)の順となった。

JN5クラス:鎌田卓麻が9年ぶりに全日本優勝

JN5クラスは、グラベルで強さを発揮しているダイハツ・ブーンX4勢、最大勢力であるトヨタ86/スバルBRZなど12台が集結。今季ここまでのラウンドで優勝者がすべて異なる激戦クラスとなっている。

そのなか、SS1でベストタイムをマークした松原久/和田善明がSS9で、第2戦で優勝を飾った小倉雅俊/平山真理もSS2でともにコースアウトと、デイ1終了時点で4WDのダイハツ・ブーンX4の2台が相次いで戦線離脱。ラリーをリードしたのはBRZを駆る鎌田卓麻/市野諮だった。鎌田はSS3以降、安定した走りでタイムを縮め、デイ1を終えて43.4秒の大量リードを確保。2番手に筒井克彦/石田裕一(三菱ミラージュ)、3番手に山口貴利/山田真記子(ダイハツ・ブーンX4)というオーダーだ。

デイ2に入ると、デイ1の序盤でサスペンションを傷めたことが原因でペースが上がらず、5番手で折り返した川名賢/永山聡一郎(トヨタ86)が会心の走りを見せ、林道SS6本のうち5本でクラスベストタイムをマークして追い上げを開始する。しかし、鎌田はその川名を上回る速さでデイ2もデイポイントトップを奪う走りをみせ、最終的に2位の筒井に1分10秒の差をつけ今季初優勝を獲得した。2位は筒井が今季初の表彰台。川名が3位まで挽回を果たした。4位は山口、5位は木村謙治/多比羅二三男(スバル・インプレッサ)、6位は山口清司/島津雅彦(トヨタ・カローラレビン)という順位となった。

JN3クラス:天野智之が4連勝

今季圧倒的な速さでJN3クラスを席巻してきた天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)だが、オープニングのSS1でベストタイムを奪ったのは若手の石川昌平/竹原静香(トヨタ・ヴィッツRS)だった。その後もSS2で天野、SS3で石川と首位を入れ替えながらの勝負が続いたが、昼のサービスを挟んだSS7から天野が持ち前の速さを見せつけ、デイ1を終えて22.3秒まで差を拡大。岡田孝一/漆戸あゆみ(マツダ・デミオ)が47.9秒差の3番手につける。

好勝負が期待されたデイ2だが、序盤で石川がサスペンションを損傷し、タイムを伸ばせず。デイ1からの差をさらに広げ、天野が土つかずの4連勝を記録した。2位はなんとか順位を守った石川、3位に岡田が入った。4位は藤田幸弘/藤田彩子(マツダ・デミオ)、5位は地元の西野義人/岩渕亜子(トヨタ・ヴィッツ)だった。

JN2クラス:高橋悟志がJN2クラス初優勝

JN2クラスは今季2勝を挙げている田中伸幸/藤田めぐみ(スズキ・スイフトスポーツ)が序盤から独走するが、デイ2のSS13でドライブシャフトを折損し、3番手まで後退。代わってトップに立ったのは、高橋悟志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツRS)で、5.8秒差で寺川和紘/石川美代子(マツダ・デミオ)が追いかける展開に。しかし今度はSS15フィニッシュ後に寺川がリタイア。昼のサービスでマシンを修復し、ベストタイムを連発して追いすがる田中を高橋が退け、JN2クラス&今季初優勝を成し遂げた。田中が2位まで挽回、3位には二ツ川英明/遠藤誠(スズキ・スイフトスポーツ)が入った。

JN1クラス:宇田圭佑、第2の故郷で初勝利

JN1クラスは第2戦勝者の宇田圭佑/石川恭啓(マツダ・デミオ)と第3戦勝者の中西昌人/美野友紀(ダイハツ・ストーリアX4)がオープニングのSS1で同タイムベストを記録。しかしSS2からはここ洞爺湖町周辺で大学時代を過ごしたという宇田が本領を発揮し、ラリー洞爺を初制覇。2位に中西が入賞、川村貴宣/中西貴晃(ダイハツ・ストーリアX4)が3位に入賞した。

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 新井敏弘/竹下紀子 アライモータースポーツWRX-STI 0:54:37.2
2 JN6-2 勝田範彦/足立さやか ラック名古屋スバルDLSTIインプレッサ 0:54:59.5
3 JN6-3 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 0:55:19.2
11 JN5-1 鎌田卓麻/市野 諮 TEIN ADVAN スバル BRZ 1:00:23.9
12 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・ラック・DLヴィッツG’s 1:00:59.9
18 JN1-1 宇田圭佑/石川恭啓 BRIG ヨコハマ WAKO’S デミオ 1:02:35.8
21 JN2-1 高橋悟志/箕作裕子 ミツバ WM DL ラック マジカル 冷機 ヴィッツ 1:03:23.1

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: 2014_rd04(PDF)  2014_rd04(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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2014年 全日本ラリー選手権 第4戦 洞爺

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