新城ラリー2014

開催日時:10月31日(金)〜11月2日(日)
開催場所:愛知県新城市
スペシャルステージ本数:12本
スペシャルステージ総距離:91.336km
ラリー総距離:284.067km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1/ヘビーウェット、デイ2/ウェット〜ハーフウェット
ポイント係数:1.0

ラリー概要

2014年の全日本ラリー選手権を締めくくる新城ラリーは、新城市と協力しながらラリーによる地域おこしと地域活性化を目的とした地元の一大イベントとして10年にわたって開催されてきた。2013年からは愛知県の後援を得て会場を県営新城総合公園に移動。自動車メーカーやラリー関連企業によるブースや地元グルメの出店が軒を連ね、ラリー観戦だけでなく家族で一日遊べる催しが多数用意され、2日間合わせて4万8000人(主催者発表)と昨年を上まわる来場者数を記録した。

なかでも、GAZOO Racingが運営する「ラリーガーデン」では、ニュルブルクリンク24時間レースに出場したLFAや、G’sやGRMNなどのトヨタの市販車の展示、トリックアートや大道芸、生演奏によるライブなど、来場者を楽しませるイベントが多数実施された。また、「世界の歴代ラリーカー大集合」では、普段見る機会のない歴史的なラリーカーが芝生広場に集まり、ファンの目を楽しませた。

さらに公園内の特設会場「ラリースタジアム」では、セレモニアルスタート/フィニッシュに加えてデモンストレーションランや同乗走行も実施。今年は、4年連続世界チャンピオンという偉業を成し遂げたドライバー、トミ・マキネン氏が来場し、運転トレーニングのために開発されたという「GR 86×」(クロス)を土曜日限定で公開&デモランしたり、トークショーやサイン会などでファンとも交流した。

デモランには他にも、全日本ダートトライアルで活躍している炭山義昭(三菱ランサーエボリューション)、北村和浩(三菱ランサーエボリューション)、パイクスピーク・インターナショナルヒルクライムでお馴染みの田嶋伸博(スーパー86)らも参加し、豪快なドリフトを披露した。

ラリーはデイ1、デイ2とも2カ所の林道SSと公園内のギャラリーSSを2回ずつ走行する6SSずつの設定。勝負どころは日差しが少なく、コケが生えて滑りやすい細かい曲がり道をひたすら走行する「雁峰北」&「雁峰西」の2カ所。また、デイ2に用意された2車線道路の「作手北」は全日本ラリー屈指のハイスピードSSとして知られている。そして公園内のギャラリーステージは、短いながらもデイ1とデイ2とで方向が逆というレイアウトだ。

天候は連日ウェットコンディション。ただでさえ滑りやすい路面がより難しさを増し、最終的に21台もの大量のリタイアを生む結果となった。なお、デイ1の11月1日(土)は中部・近畿ラリー選手権、2日(日)はTRDラリーチャレンジがそれぞれ同時開催された。

JN6クラス:チャンピオン奴田原文雄が2連覇

JN6クラスのデイ1で首位に立ったのは、昨年の覇者でもある奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)だ。午前中のSS1〜3とSS5でベストタイムをマークした奴田原は、デイ1を終えて2番手以下に40秒のリードを築く。2番手は新井敏弘/竹下紀子(スバルWRX STI)。3番手には福永修/北川紗衣(スバルWRX STI)と続く。地元の勝田範彦/足立さやか(スバルWRX STI)はSS2でタイヤがいきなり外れるトラブルに見舞われデイ離脱。また、一時は父を上まわる2番手を走行していた新井大輝/田中直哉(スバルWRX STI)は側溝でサスペンションを破損してストップしてしまった。

明けたデイ2、オープニングのSS7で奴田原が出遅れ、2番手新井敏弘との差が一気に23.8秒まで縮まるが、続くSS8、SS9で奴田原は連続ベストによりリードを維持。午後のSSでもリードを守り、昨年に続き雨の新城ラリーを奴田原が制した。2位は新井敏弘、3位はSS7でベストタイムをマークし3番手に浮上した高山仁/河野洋志(スバルWRX STI)が表彰台を守り抜いた。

JN5クラス:川名賢が熾烈な首位争いを制して2勝目

JN5クラスはシリーズチャンピオンの鎌田卓麻/市野諮(スバルBRZ)が下位に沈み、荒れたコンディションでの経験が豊富なベテラン勢がラリーをリードする。デイ1午前の3SSを終えて、首位はシビック・タイプRの上原利宏/佐瀬拓野、2番手に86の石田雅之/遠山裕美子、3番手には若手の川名賢/高橋巧(トヨタ86)という順位。午後も入れ替わりはないままだったが、SS6で上原のドライブシャフトが折損し3番手に後退。デイ1を終えて、川名が石田をも捉え首位に躍り出る。

勝負はデイ2に入ってさらに過熱した。オープニングのSS7で上原、SS8で天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)、さらにSS10で再度上原、そしてSS11では川名が首位というデッドヒートを繰り広げたが、最終的に川名が首位を守り抜き今季2勝目。わずか1.9秒差で天野が2位、3位に上原が入った。前戦高山ラウンドで初優勝を果たした全日本F3ドライバーの勝田貴元/永山総一郎(トヨタ86)はSS5でベストタイムをマークするなど好走したが、左フロントをヒットして後退、最終的にクラス9位に終わった。また、全日本ジムカーナやSUPER GTで活躍し昨年に続きスポット参戦した山野哲也/安東貞敏(トヨタ86)はハイスピードな「作手北」でベストタイムを刻み、7位でラリーを終えた。

JN4クラス:チャンピオン竹内源樹が最終戦を締めくくる優勝

今季初めて選手権に組み込まれたRPN車両で争われるJN4クラスは、最終戦も5台のエントリーを集めて成立。ラリーはチャンピオンの竹内源樹/加勢直毅(スバルBRZ)がSS1からベストタイムを連発。2分32秒もの大差を築き3勝目を飾った。最終SSまでもつれ込んだ2位争いは、わずか0.7秒差で山岸健/渡邉晴子(トヨタ86)が競り勝ち、加納武彦/横手聡志(スバルBRZ)が3位に終わった。

JN3クラス:ベテラン岡田孝一が終盤で2連勝

シリーズチャンピオン天野がいないJN3クラスは、ベテラン岡田孝一/石川美代子(マツダ・デミオ)が前戦高山ラウンドからの好調を維持し、SS1から一度も首位を譲らない走りで完勝。今季2勝目を挙げ、ランキング2位でシーズンを終えた。2位は若手の石川昌平/竹原静香(トヨタ・ヴィッツRS)。コンスタントにポイントを獲得しランキングでも単独3位と着実に成長を見せた。3位には唐釜真一郎/松浦俊朗(マツダ・デミオ)が今季初入賞し、2位入賞が確定していた第3戦福島での最終SS後のまさかのリタイア、第8戦岐阜の転倒リタイアのリベンジを果たした。

JN1クラス:RX-8の中村晃規がターマック全戦全勝

RX-8からストーリアまで多彩な車種が出揃ったJN1クラスは、ターマックでは今季負けなしの中村晃規/古川智崇(マツダRX-8)が、JN3、JN4を越えて総合でも15番手に食い込み圧勝。熾烈な2番手争いは、デイ1のSS2スタート直後にサスペンションを傷め出遅れたマツダ・デミオの石城健司/露木明浩が、デイ2に入りスズキ・スイフトの高篠孝介/廣嶋真に急迫するものの、高篠が4.4秒抑えて2位獲得。シリーズチャンピオンの中西昌人/美野友紀(ダイハツ・ストーリアX4)は4位で最終戦を終えた。

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:21:51.8
2 JN6-2 新井敏弘/竹下紀子 アライモータースポーツWRX-STI 1:22:29.1
3 JN6-3 高山 仁/河野洋志 NENC IMMENS DLインプレッサ 1:23:11.1
5 JN5-1 川名 賢/高橋 巧 ラックGR86 1:26:36.8
15 JN1-1 中村晃規/古川智崇 DL・KYB・NETracingRX-8 1:28:37.1
16 JN3-1 岡田孝一/石川美代子 カマタスポーツDLキーストーンデミオ 1:28:37.4
20 JN4-1 竹内源樹/加勢直毅 CUSCO ADVAN BRZ 1:30:26.3

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: 2014_rd09(pdf) 2014_rd09(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCAが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

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2014年 全日本ラリー選手権 第9戦 新城

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