ツール・ド・九州2017 in 唐津 Supported by Sammy
開催日時:4月7日(金)〜9日(日)
開催場所:佐賀県唐津市
スペシャルステージ本数:13本
スペシャルステージ総距離:73.09km
ラリー総距離:417.40km
SS路面:ターマック
SS路面状況:デイ1/ウエット、デイ2/ドライ・ハーフウエット
ポイント係数:1.0
全日本ラリー選手権第2戦「ツール・ド・九州2017 in 唐津 Supported by Sammy」は4月8日(土)〜9日(日)の日程で開催され、初日序盤から首位に立った勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が逃げ切り、唐津ラウンドでの連勝記録を12回に伸ばした。
デイ1
ここ数年開幕戦として開催されてきた唐津ラウンドだが、今年は新たにカレンダー入りした「ラリーオブ嬬恋」が開幕戦となったため、第2戦という位置付けだ。とはいえ、ターマック4連戦の初戦となるため、今大会からシーズンインとなる選手も多い。
昨年と同じく唐津港の唐津フェリーターミナル周辺にHQやサービスパークを設置し、イベント広場には自動車関連メーカーや飲食店などが多数出展した。あいにくの雨だったが、熱心なファンたちを中心に多くの観客が訪れた。
ラリーは、4月8日の土曜日に市内中心部に位置する唐津神社での祈祷ののち、大鳥居下で行われるセレモニアルスタートで幕を開ける。デイ1は、今年初めて使用する2SSを含む8SS(SS総距離44.55km)という構成。事前の天気予報どおり、朝から雨が降り続けるコンディションとなったが、午後には一時晴れ間が見えるステージがあるなど、SSや時間帯によって天候や路面状況が変わる難しいコンディションでのスタートとなった。
JN6クラスは、スタート前に「雨が降れば勝負になると思う」と語っていた新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が、その言葉どおり霧と雨に見舞われたSS1でトップタイムをマークする。6.7秒差で勝田、新井から8.3秒差に奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューション)というオーダー。しかし、その後勝田がSS2から4まで3連続ベストタイムを奪取。午前のセクションを終えて勝田が首位、4.1秒差の2位に新井、SS3で奴田原を捉えた福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューション)が3番手に浮上するという展開だ。
午後のセクションに入ると、新ステージのSS5&6で福永が2連続ベストタイムをたたき出し、新井を抜き2番手に浮上。さらに、SS1の途中から駆動系にトラブルを抱えていた新井が、サービスでリヤデフを交換したもののSS6でドライブシャフトを折損しストップ、奴田原が3番手に上がる。SS7、SS8は勝田が制し、デイ1を終えて首位が勝田、10.1秒差の2番手に福永、その福永から21.6秒遅れて奴田原が3番手、さらに奴田原から0.6秒差で竹内源樹/加勢直毅(スバルWRX STI)という順位でデイ1を終えている。
出場メンバーが一新されたJN5クラスは、クスコレーシングのシトロエンDS3 R3-MAXのドライバーに抜擢された川名賢/保井隆宏と、アクテック・インターナショナルのDS3 R3-MAXを駆る小濱勇希/馬場雄一がベストタイムを分け合う展開となった。初日を終え、首位は小濱、0.9秒差で川名がくらいつく。アバルト500ラリーR3Tでラリーに初挑戦する自動車ジャーナリストの竹岡圭/箕作裕子は、初参戦ながらクラス3番手でデイ1を走破している。
JN4クラスは、ディフェンディングチャンピオンの曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)が午前のセクションで4連続ベストタイム。午後のセクションでは石川昌平/石川恭啓(トヨタ86)が2度のベストタイムを奪ったものの、曽根も2本のSSでベストタイムを奪い返し、曽根が首位、26.7秒差の2番手に石川、さらに6.1秒差で山本悠太/藤田めぐみ(トヨタ86)が3番手となっている。
JN3クラスは、今季からCVTを搭載するトヨタ・ヴィッツで戦う大倉聡/豊田耕司がSS1でいきなりトップタイムをマークする。だが、SS2からはディフェンディングチャンピオンの天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)が本領を発揮し、初日のクラストップに立つ。2番手に大倉、3番手は天野と同じ豊田自動織機ラリーチームの加藤英祐/塩田卓史(トヨタ・ヴィッツ)が食い込み、上位3位までをヴィッツが占めた。
JN2クラスは、昨年チャンピオンの明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)と加納武彦/横手聡志によるシーソーゲームとなり、デイ1を終えて首位に明治、18.1秒差の2番手に加納がつける。
JN1クラスは、序盤から古川寛/池田孝之(スズキ・スイフトスポーツ)が頭ひとつリードするが、SS8で小川剛/新原秀直(ホンダ・フィット)が古川に並び、同タイムトップで初日を終えている。また、3番手に須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)、SS8でベストタイムを奪った伊藤隆晃/大高徹也(日産ノートNISMO S)が4番手につけている。
デイ2
9日(日)は悪天候の前日から一転、曇り空ながらも晴れ間が見える空模様となった。しかし前日の雨がどれくらい影響しているか、序盤のセクションがドライかウェットかも掴みにくく、選手たちを悩ませた。
デイ2のコースは、唐津市南部に位置する今大会最長の9.44kmの林道SSと、古窯の森に設定された観戦可能な新設ステージを含む計5SS、28.54kmが舞台となった。
初日を2位と10.1秒差で折り返した勝田は、この日もオープニングのSS9からベストタイムをマーク。2番手につけていた福永が、左フロントサスペンションにダメージを負い6番手タイムと大きく出遅れたことで、その差を一気に30.8秒まで拡大。その後も後続の追い上げを退け、2006年に今大会を制して以来12年連続となる優勝を達成した。
「今回は様々なコンディションで走らなければならないタフなラリーでしたが、非常に面白かったです。次のラリーもタフなのでしっかり準備したい」と、勝田は次戦への抱負を語った。2位はSS10で福永を逆転した奴田原、3位に福永となった。
初日終了時、SSタイムではクラス首位に立ったJN5クラスの小濱だったが、その初日にTC遅着のため10秒のペナルティを受け、デイ2のスタート時点では川名が首位に立つ展開となったJN5クラス。だが、デイ2は5カ所のSSすべてで小濱がベストタイムをマークし、首位を奪還。JN5クラスに移籍し、初めて乗るマシンの初戦でチームに勝利をもたらした。2位の川名はクスコレーシングとしてDS3を初めて完走させた。竹岡も全日本ラリーデビュー戦で完走を果たし3位に入賞、表彰台を獲得した。
JN4クラスは、初日をトップで終えた曽根が初日のマージンを保って後続との差をコントロール。幸先良く今季初勝利を決めた。2位には3度のベストタイムをマークした石川、3位には山本が入賞した。
JN3クラスは初日のタイム差をライバルたちが縮めることができず、天野が盤石の勝利。CVT仕様ヴィッツを駆る大倉、MT仕様のヴィッツの加藤とともに、ヴィッツが表彰台を独占した。
JN2クラスは、この日もディフェンディングチャンピオンの明治が無理せずに攻める作戦で今季1勝目。2位に加納、3位に桝井和寛/冨山祐一郎(トヨタ86)が続いた。
デイ1を同タイムで終えたJN1クラスの古川と小川は、デイ2に入っても接戦を展開。SS9、10で古川がわずかにリードを広げたが、SS11で小川が逆転。「下りのステージで勝負した」という小川が全日本初優勝を果たした。
(RALLY PLUS)
総合結果
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | JN6-1 | 勝田範彦/石田裕一 | ラックSTI名古屋スバルDLWRX | 58:48.5 |
2 | JN6-2 | 奴田原文雄/佐藤忠宜 | ADVAN-PIAAランサー | 59:23.1 |
3 | JN6-3 | 福永 修/齊田美早子 | 555☆OSAMU・F☆DLランサー | 59:40.5 |
6 | JN5-1 | 小濱勇希/馬場雄一 | KYB DUNLOP DS3R3 MAX | 1:02:04.5 |
9 | JN4-1 | 曽根崇仁/桝谷知彦 | P.MU☆DL☆SPM☆INGING86 | 1:02:46.2 |
11 | JN2-1 | 明治慎太郎/北田 稔 | YHGd高崎くす子86 | 1:03:17.1 |
13 | JN3-1 | 天野智之/井上裕紀子 | 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS | 1:03:31.4 |
14 | JN1-1 | 小川 剛/新原秀直 | チームO・T・S.ANYHフィット | 1:03:38.2 |
注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。
参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。