第46回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2018 Supported by Sammy

開催日時:10月12日(金)〜10月14日(日)
開催場所:岐阜県高山市
スペシャルステージ本数:12本
スペシャルステージ総距離: 87.28km
ラリー総距離: 341.75km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0

2018年全日本ラリー選手権第9戦「第46回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2018 Supported by Sammy」は、10月13日(土曜日)〜14日(日曜日)に設定されたすべての競技日程を終え、新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が優勝を飾るとともに、今シーズンのJN6クラスチャンピオンを確定させた。

レグ1

この日行われたのは6SS、計44.42kmで3つのSSを2回ずつ走行する構成。ラリー前まで一部湿っていた路面コンディションはほぼドライに変わっていた。

JN6クラスはオープニングのSS1「青屋上り」で鎌田がベストタイムをマーク。このSSで3番手となった新井にいきなり8.2秒差をつける好走を披露した。その後は鎌田と新井がベストを獲り合う展開となり、この日の6SSのうち3SSを鎌田が、2SSを新井が制した。3番手にはSS6でベストタイムを獲得した奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)がつけている。鎌田と新井の差は6.3秒、鎌田と奴田原の差は10.4秒あり、表彰台争いはこの3台に絞られた。首位の鎌田は「かなり攻めていますから、少しミスも出ています。こうなるとは思っていましたが接戦ですね。明日は雨が降らないことを願っています」とコメントしている。

JN5クラスはシトロエンDS3 R3-MAXの川名賢/保井隆宏がトップ。2番手には同じくシトロエンの小濱勇希/馬場雄一、3番手にはTGR Vitz GRMN Rallyを駆る眞貝知志/安藤裕一がつけている。ラリーはSS1から川名のリードでスタート。SS5は眞貝がベストタイムを獲得するも、川名は残りの5SSすべてで一番時計を刻む強さで、2番手の小濱に19.8秒をつけてみせた。このまま走り切れば川名は前戦に引き続いての連勝ということになる。「スムーズに走ることができているので、明日もこのままポジションを守りたいです。午後は曲がりやすい方向にセットアップを変え、だいぶフィーリングが良くなりました。明日はまだやれることがあるはずなので、色々とトライしていくつもりです」と、川名は貪欲な姿勢を見せた。

トヨタ86勢とFF勢のバトルが展開されたJN4クラスは、トップに山口清司/山本磨美(トヨタ86)、2番手に曽根崇仁/澤田耕一(トヨタ86)、3番手に山本悠太/北川紗衣(トヨタ86)となり、86勢が上位を占めている。SS1では山本がベストタイム、SS2ではスズキ・スイフトスポーツの西川真太郎/本橋貴司が制して総合順位でもクラストップに。しかしその後は山口が3連続ベストタイムをたたき出してリードを拡大している。山本はSS6でベストを刻み3番手に浮上した。山口は「最初の2本は路面のグリップが安定しなくて、ヒヤっとする瞬間がありましたが、とりあえず順調に1日を終えられました。サービスではしっかりメンテナンスして、完走できるように頑張ります」とコメントした。

チャンピオンの天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT “GR”)が6SS中5SSを制する走りを見せてトップに立つJN3クラス。2番手には大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)、3番手には岡田孝一/多比羅二三男(マツダ・デミオ)がつけている。すでにチャンピオンを決めている天野だが、SS1からベストタイムをマークする快走ぶりを披露。ギャラリーステージのSS3ではミスをしてしまい大倉がベストタイムをマークするが、それ以外のSSではベストを譲ることなく24.4秒差をつけてラリーをリードしている。「セクション2はタイヤを変え、かなり良い感触でした。明日はこのままのタイヤで走って、午後から新品を2本入れるつもりです」と、翌日に向けて天野はコメントしている。

JN2クラスは明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)、鈴木尚/島津雅彦(スバルBRZ)、戸塚和幸/鈴木隆宏(トヨタ86)というトップ3。首位明治と2番手鈴木がベストタイムを獲り合う展開となり、SS2〜5で4連続ベストタイムをマークした明治がラリーをリードしている。「路面は意外と乾いて走りやすかったです。鈴木選手とあまり差がつかず、僅差のバトルで緊張感がありますね。明日は不得意な路面があるので、ちょっと頑張らないといけません」と、明治は2日目のバトルに向けて意気込みを語った。

内藤学武/小藤桂一のスズキ・スイフトスポーツがリードを広げるJN1クラス。2番手にはプレイドライブYHノートNISMO Sの伊藤隆晃/大高徹也、3番手には古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)がつけている。内藤は「基本的に自分の走りを修正しながら午後は走りました。タイムを縮めることができたので、自分としても満足しています。マシンは今のところ問題ありません。まずは自分のベストを尽くして走ります」と意気込みを語っている。

レグ2

翌14日の日曜日に行われたレグ2、JN6クラスは首位鎌田と2番手で追う新井のスクラッチバトルでスタートした。オープニングのSS7は鎌田が新井に4秒以上の差をつけるベストタイムをマークして、総合での差を10.6秒にまで拡大することに成功する。そして続くSS8、鎌田はマシントラブルに見舞われてしまい、まさかのリタイアを喫することに。これで首位に浮上した新井は、背後に迫る奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)の追撃を振り切ってフィニッシュ、シーズン5度目となる勝利を挙げて、田中直哉とともにJN6クラスのタイトルを決めた。新井は「無事にラリーを終えて、タイトルも決められたので良かったですが、本当はみんなで全力で争った方が良かったかなという気はします」と、ライバル勝田の欠場と鎌田の途中リタイアに複雑な表情を覗かせた。3位には全日本ラリーで初の表彰台となる生田輝明/馬瀬耕平が入った。生田は「こんなに緊張感をもって最後まで走ったのは初めてなので、昼からは疲れてしまいました。色々な経験をして3位になれたので良かったと思います」とコメントしている。

シトロエンDS3 R3T-MAXの川名賢/保井隆宏がリードを広げるJN5クラスは、レグ2の途中でTGR Vitz GRMN Rallyを駆る眞貝知志/安藤裕一が2番手に浮上。シトロエンの小濱勇希/馬場雄一は3番手に順位を落とすが、小濱は横嶋良よりも上の順位でフィニッシュすればタイトルが決まる1戦とあって落ちついている。ラリーフィニッシュまで順位は変わらず、これで川名は前戦北海道に続く連勝を挙げることとなった。小濱は無事に3位完走を果たしてJN5クラスのチャンピオンを獲得した。これで小濱は2年連続でのJN5クラスタイトルを確定させたことになる。勝利を挙げた川名は「午前中のステージに比べると、グリップを活かして走ることができたかなと思います。次は最終戦ですが小濱選手のタイトルも今回決まって、また面白いバトルが新城で繰り広げられればと思うので、しっかり準備して臨みたいと思います」とラリーを振り返った。

山口清司/山本磨美、曽根崇仁/澤田耕一、山本悠太/北川紗衣とトヨタ86勢がトップ3で並んだJN4クラスは、首位の山口が3番手につけていた山本から猛烈な追い上げを受けるも、最終的に1.7秒差で逃げ切り優勝。2番手を走行していた曽根はクラッシュを喫してリタイアとなり、3番手には関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ)が入っている。ポイントリーダーの上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)もリタイアしてしまったため、ランキング3番手の山本までタイトル獲得の可能性を残す結果となった。山口は「少しずつ詰められてしまっていて、頑張って後ろが走ってくるので厳しかったですね」と安堵の表情でコメントした。

JN3クラスは天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”)がリードを広げ、それを大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)と岡田孝一/多比羅二三男(マツダ・デミオ)が追う展開。しかしそれぞれのタイム差が開いていたため、ラリー最終日に順位の変動はなく、天野が危なげなく勝利を飾った。「ラリー最終日は思ったよりも路面が乾いてきていましたが、滑るところは滑るので、思うようにペースを上げられない部分もありました。ここのラリーは路面μが低いので、なかなかコーナーでタイムが稼げないんです。なので総合順位は全体的に低めになってしまいますが、無事に帰ってくることができて良かったです」と天野。リードタイムを使いながらタイヤのフィーリングをチェックする余裕も見せた。

JN2クラスは前日を終えた段階で明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)が首位、2番手に鈴木尚/島津雅彦(スバルBRZ)がつける展開。オープニングのSS7でベストタイムをマークした鈴木が逆転首位に立ったが、SS9のギャラリーステージでまさかのクラッシュ。走り切ったもののマシンにダメージを負い、順位も3番手に落としてしまった。鈴木は昼のサービスでマシンを時間ギリギリまでかけて修復し明治を追うも、1分以上のビハインドは覆せず、明治、戸塚、鈴木の順でのフィニッシュとなった。明治は「結果を残すことができてホッとしています。今回はラッキーな面もありましたし、チームと対策を練って次戦に臨みたいと思います」とコメント。チャンピオンのかかった1戦に臨む。

スズキ・スイフトスポーツの内藤学武/小藤桂一がリードするJN1クラス。古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)が一時2番手に浮上するなど好走を見せるが、SS10でベストタイムをマークした伊藤隆晃/大高徹也(日産ノートNISMO S)が逆転、最終的には内藤、伊藤、古川の順でのフィニッシュとなった。内藤は開幕戦以来となる今シーズン2勝目。「優勝できてうれしいです。ドライビングも改善が見られ、また新たなる課題も見つかって良かったと思います。今シーズンはこれで最後の参戦となりますが、今後に向けてさらに修行したいと思います」と笑顔でラリーを振り返った。古川/廣田はJN1クラスチャンピオンを確定。「今日は絶対完走、かつ小川選手の上にいなければならず、それを主眼に走っていました。本当にホッとしました。ガマンのラリーが続いたので、次戦の新城では全開でいけるところまで行きたいと思います」とコメントしている。

次戦は2018年シーズン最終戦となる新城ラリー。11月3~4日にかけて、愛知県新城市を中心に開催される。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 新井敏弘/田中直哉 富士スバル AMS WRX STI 1:05:42.1
2 JN6-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:05:47.1
3 JN6-3 生田輝明/馬瀬耕平 NET☆DLDXLガルフMWインプレッサ 1:08:31.0
5 JN5-1 川名賢/保井隆宏 CUSCO ADVAN DS3MAX 1:09:05.7
8 JN2-1 明治慎太郎/北田稔 Sammy☆K-one☆ルブロスYH86 1:10:10.8
9 JN4-1 山口清司/山本磨美 jmsエナペタルADVAN久與86 1:10:45.0
11 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツ 1:10:55.8
20 JN1-1 内藤学武/小藤桂一 YH Moty’s BRIG G4スイフト 1:12:23.6

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2018年 全日本ラリー選手権 第9戦 新城・愛知

イベントフォト

JN6クラス優勝 新井敏弘/田中直哉

JN5クラス優勝 川名賢/保井隆宏

JN4クラス優勝 山口清司/山本磨美

JN3クラス優勝 天野智之/井上裕紀⼦

JN2クラス優勝 明治慎太郎/北田稔

JN1クラス優勝 内藤学武/小藤桂一