新城ラリー2018
開催日時:11月2日(金)〜11月4日(日)
開催場所:愛知県新城市
スペシャルステージ本数:15本
スペシャルステージ総距離: 109.21km
ラリー総距離: 385.75km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.2
2018年全日本ラリー選手権第10戦「新城ラリー2018」は、10月3日(土曜日)〜4日(日曜日)に設定されたすべての競技日程を終え、前戦でJN6クラスのチャンピオンを決めている新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が、勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)に14.3秒差をつけて、今季6勝目となる優勝を飾った。
レグ1
前戦で新井/田中のチャンピオンが決まったJN6クラスは、序盤から新井が好走を見せる展開に。新井はSS1、SS2で連続ベストタイムを刻むとリードを維持。さらにSS5も制し、最終的に2番手奴田原との差を16.4秒としてこの日を終えている。復帰戦の勝田は3番手、4番手に柳澤宏至/加勢直毅、5番手にはSS5でパンクを喫して大きく遅れた鎌田卓麻/市野諮というオーダー。首位の新井は「午後はかなり砂利が出ていたけど、好走を維持できたのはタイヤが路面に合っていたことが大きい」と語った。
JN5クラスは、ここまで連勝を挙げている川名賢/保井隆宏(シトロエンDS3 R3-MAX)がトップ。2番手には眞貝知志/安藤裕一(トヨタ・ヴィッツGRMN)、3番手には小濱勇希/馬場雄一(シトロエンDS3 R3-MAX)という順位。前戦でドライバーズ選手権チャンピオンを決めた小濱は、SS1でトランスミッショントラブルに見舞われて2速を失い、テクニカルなセクションで思うようにスピードを発揮できず遅れをとってしまった。トップの川名は「ステージのキャラクターがはっきり分かれているので、セットアップが難しいです。特にクルマは問題なく走れていますが、まずはしっかり走り切りたいです」と語った。
最終戦までタイトルが決まっていないJN4クラスは、トップに山本悠太/小林剛(トヨタ86)、2番手にスズキ・スイフトスポーツの高橋悟志/箕作裕子、3番手に山口清司/山本磨美(トヨタ86)という順位。ランキング2番手の関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ)は4番手、ランキングトップの上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)は9番手につけている。首位の山本はこの日の走行について、「最初の走行でタイムが悪かったSSも、2回目の走行ではライバルに比べて悪くないタイムで走れました。マージンはあまり大きくありませんが、明日はしっかりケアして走りたいです」と振り返る。
JN3クラスはチャンピオンの天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”)がリード。2番手には大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)、3番手に岡田孝一/多比羅二三男(マツダ・デミオ)というオーダーとなっている。天野はSS1で山の斜面にヒットしながらもベストタイムをマークし快走を披露。一方の大倉はブレーキに不安を抱えながらの走行となった。天野は「セクション2はあまりタイムアップしませんでしたが、まあまあのタイムで走れました。まったく問題はありません。少しリヤが動きすぎているので、明日どうするか悩んでいます」と、この日の走行についてコメントした。
JN2は明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)が首位、2番手にスバルBRZの鈴木尚/鈴木裕、3番手にはランキングトップの長崎雅史/秋田典昭(トヨタ86)がつけている。序盤は鈴木がリードを広げたが、午後のステージで明治が逆転し首位に立つ展開となった。明治は初日を振り返り「午後はうまく走ることができ、なんとかトップに立てました。予定どおりのデイポイントも獲れて、ほっとしました。明日も難しい展開になりそうで、気が抜けない状況が続きます」と語っている。
日産ノートNISMO Sの伊藤隆晃/大高徹也が首位に立つJN1クラス。2番手にはホンダ・フィットRSの小川剛/佐々木裕一、3番手には前戦でチャンピオンを決めた古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)という順位となっている。「午後のステージでは抑えすぎてしまいました。路面に水が出ていたり、砂が出ていたりで、SS6ではコースオフもしてしまいました。明日はコンディションも変わるでしょうから、少し心配です」と伊藤はコメントしている。
レグ2
ラリー最終日の11月4日(日)は未明に降った雨の影響で難しい路面コンディションとなり、多くのドライバーが手を焼くこととなった。そんななか、JN6クラスの首位を快走する新井はこの日も順調に好タイムを重ねていく。前日3番手につけていた勝田範彦/石田裕一は2番手にポジションアップし、さらにベストタイムを並べるも、新井を捉えることは叶わず。前戦に続く連勝で2018年シーズンを締めくくった新井は、「危ない場面もあったけど、勝てて良かった。来年に向けてオフにはもっとセッティングを詰めていきたい」とコメント。グラベル4連勝、ターマック2連勝と、充実したシーズンとなった。
JN5クラスはシトロエンDS3 R3-MAXの川名賢/保井隆宏が3連勝を達成。2位にはTGR Vitz GRMN Rallyの眞貝知志/安藤裕一、3位にはシトロエンの小濱勇希/馬場雄一が入った。JN5クラスのドライバーチャンピオンは前戦で小濱が決めているが、今回のラリーでコ・ドライバーを務める馬場のチャンピオンも確定した。優勝の川名は、「何度も危ない瞬間があって、だいぶヒヤヒヤしました。なんとか帰ってこられました。今シーズン、前半はクルマが違ったり、グラベルで初めてDS3をドライブしたりと色々あった1年でしたが、とても勉強になりました」と笑顔。小濱は「我慢の仕方を学んだラリーでした。天候に翻弄されて、ダンロップユーザーはタイヤの選択に迷ったと思います。2年連続でタイトルが獲れましたし、グラベルラリーが増えた今シーズンも獲得できたことで、自分たちの実力が上がったことを実感できました」とシーズンを振り返った。
混沌としたタイトル争いのJN4クラスは、スズキ・スイフトスポーツの高橋悟志/箕作裕子が今季初優勝を達成した。2位は、高橋に0.4秒届かなかった山本悠太/小林剛(トヨタ86)、3位に西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)という順位。注目のタイトル争いは、4位に入った関根正人/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が2日目のレグポイント1点を獲得したことが決め手となり、2位の山本と0.7点差という僅差で念願のチャンピオンを獲得した。優勝した高橋は「すごくうれしいです。最後に滑りやすい路面で稼いで、逆転できました。そこは経験が活かせたと思います」とラリーを振り返った。チャンピオンを決めた関根は「今日のデイポイントで逆転できました。開幕戦から出られず途中からの出場でしたが、タイトルが獲得できたのはうれしいです」とコメントした。
早々とタイトルを決めた天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”)が貫録の勝利を決めたJN3クラス。2位には大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)、3位は岡田孝一/多比羅二三男(マツダ・デミオ)というオーダーとなった。天野は「すごく狭くてスリッパリーなラリーでしたが、その中でも2WDのベストを獲得できて良かったです。せっかくならば北海道でも勝って、フルポイントを獲りたかったですね。来季は若手が育って来ているので、若いドライバーにステアリングを任せる機会も増やしていこうと思っています」と今季を振り返るとともに、今後の方向性についても言及した。
JN2クラスは鈴木尚/鈴木裕(スバルBRZ)が第3戦丹後以来となるシーズン2勝目を獲得。2位には長﨑雅志/秋田典昭(トヨタ86)、3位には鎌野賢志/蔭山恵(トヨタ86)という結果となった。逆転チャンピオンの可能性があった明治慎太郎(トヨタ86)はSS10で冷却系のトラブルにより戦線離脱。これで全日本選手権初挑戦の長崎がJN2クラスのチャンピオンを獲得した。勝利を獲得した鈴木は「初日は本当にタフでしたが、2日目に明治選手の脱落があったので、その後は落ちないように走りました。無事にゴールまで運べて良かったです」とコメント。初戴冠の長﨑は「本当にラリーは何が起こるか分からないということを、1年を通じて実感しました。初の全日本選手権参戦でしたが、こんなにスムーズに獲れていいのかな……と、正直思っています。まだまだ明治選手や鈴木選手にはスピードでは勝てない部分もあります。走りに関しては、今回掴みかけたかな……と思うこともあるので、今後につなげていきたいです」と喜びを語った。
伊藤隆晃/大高徹也(日産ノートNISMO S)がシーズン初優勝となったJN1クラス。2位には小川剛/佐々木裕一(ホンダ・フィットRS)、3位にはチャンピオンの古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)というオーダーとなった。両日ともにトップでまとめ、初のフルポイントを獲得した伊藤は、「マシンの特性として、鬼久保のような高速ステージで勝負するしかないと思っていたんですが、足まわりのアライメントを変更してツイスティなステージでも戦うことができたのが勝因でしょうか」と、ラリーを振り返った。
これで2018年シーズンの全日本ラリー選手権はすべての日程を終了。各クラスのチャンピオンはJAFモータースポーツ表彰式で最終的に認定される。
各クラスのランキングトップは以下のとおり。
JN6クラス:新井敏弘/田中直哉
JN5クラス:小濱勇希/馬場雄一
JN4クラス:関根正人/草加浩平
JN3クラス:天野智之/井上裕紀子
JN2クラス:長﨑雅志/秋田典昭
JN1クラス:古川寛/廣田幸子
(RALLY PLUS)
総合結果
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | JN6-1 | 新井敏弘/田中直哉 | 富士スバル AMS WRX STI | 1:33:24.3 |
2 | JN6-2 | 勝田範彦/石田裕一 | ラック STI 名古屋スバル DL WRX | 1:33:38.6 |
3 | JN6-3 | 奴田原文雄/佐藤忠宜 | ADVAN-PIAAランサー | 1:34:12.4 |
7 | JN5-1 | 川名賢/保井隆宏 | CUSCO ADVAN DS3MAX | 1:38:30.2 |
10 | JN2-1 | 鈴木尚/鈴木裕 | スマッシュDL itzzコマツBRZ | 1:39:22.5 |
12 | JN3-1 | 天野智之/井上裕紀子 | 豊田自動織機・DL・ヴィッツ | 1:39:35.1 |
13 | JN4-1 | 高橋悟/箕作裕子 | ミツバitzzDLマジカル冷機スイフト | 1:39:37.1 |
24 | JN1-1 | 伊藤隆晃/大高徹也 | プレイドライブYHノートNISMO S | 1:42:29.7 |
注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。
参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。