新城ラリー2022

開催日時:3月18日(金)〜20日(日)
開催場所:愛知県新城市
スペシャルステージ本数:6本
スペシャルステージ総距離:63.62km
ラリー総距離:218.68km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0

全日本ラリー選手権第1戦新城ラリーは3月20日(日)の競技最終日を終えて、シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣がJN1クラスで初優勝を達成した。2位には同じくシュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子、3位にトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が入っている。

レグ1

競技初日に設定されたのは、3SS、SS走行距離32.46km。ステージは新城ラリーの代名詞とも言える雁峰林道と本宮山スカイラインを使用するが、今年は雁峰林道を逆走で使うなど、例年とは異なるルート設定とし、長年新城ラリーに参戦する選手たちにとっても新たなトライとなる部分が大きい。ラリーは前日降った雨により、ウエットコンディションに。特に雁峰林道は林に覆われており、昼までも薄暗い場所があるほど。晴れたとしても日当たりが悪く、路面が容易には乾かないことが想像された。スタート前の選手たちからも、その難しさを警戒する声が聞かれた。

トップカテゴリーのJN-1クラスは、シュコダ・ファビアR5、トヨタGRヤリス、スバルWRX STIという4WDターボ車が鎬を削る激戦区。JN-2クラスで前年度のチャンピオンを獲得したコバライネンが今シーズンのJN-1クラスに参戦することも、大きな話題を呼んだ。昨年GRヤリスでチャンピオンを獲得した勝田、ファビアR5を駆る福永、スバル勢の新井敏弘/田中直哉、鎌田卓麻/松本優一、GRヤリスで2年目のシーズンを迎える奴田原文雄/東駿吾らがこれを迎え撃つ構図だ。
初日の舞台となるのは、SS1/3が雁峰林道を使う『雁峰北リバース(12.75km)』、SS2が本宮山スカイラインを使うハイスピードステージ『鬼久保(6.96km)』。好天に恵まれたものの、やはりSS1はウエットコンディションとなり、グリップ不足に多くの選手が頭を悩ませる展開となった。ここでのベストタイムはコバライネン。SS2番手タイムの鎌田に4.3秒差をつけて、序盤からリードを築くことに成功した。福永はSS3番手タイム、勝田がSS4番手タイムで続く。SS2は、一転してドライコンディションに。JN-2クラス時代からこのステージを得意とするコバライネンはフルアタックで一番時計をマークし、リードを拡大。SS1で6番手と出遅れた新井は、フロント2輪にドライタイヤを装着して挽回を試みるも、バランスを欠いてしまいポジションアップは叶わなかった。

サービスを挟んで行われたSS3は、SS1の再走ステージ。午後に入り路面の乾きが進み、ウエット路面向けのセットアップやタイヤで挑んだ選手は思うような走りのできないシーンがみられたが、コバライネンはここでも後続を引き離すタイムをたたき出し、初日の3SSすべてでベストタイムを刻んでみせた。SS2番手タイムは、昼の45分サービスでトランスミッション交換を敢行した奴田原。SS3番手タイムは福永がマークした。初日を終えた段階で、総合タイムではコバライネンがトップ、23.1秒差の2番手に福永、29.7秒差の3番手に勝田というオーダーとなった。

コバライネンは「トップにいるけれど、僕のターゲットは最初から完走することだ。正直、リードできるとは思っていなかったし、驚いているくらいだよ。特に雁峰のステージでは1回のミスですべてが終わってしまうから気をつけないとね。とにかく一番大事なのはフィニッシュすることだ」と、笑顔でこの日を振り返った。

JN-2クラスはトヨタGT86 CS-R3の中平勝也/島津雅彦と、新たにトヨタGRスープラを持ち込んだAKIRA/美野友紀による一騎打ちとなった。AKIRAのGRスープラはほぼシェイクダウンということもあり、タイム的には中平が3連続ベストで大きなリードを築いて初日を終えている。
ただ中平本人としては「滑る雁峰に合わせられず、全然うまく走れていない状態ですね」と、いまひとつ納得のいかない様子だ。「明日はドライ用のセッティングで走るので、いいタイムで走れるはずです」と、最終日に向けて意気込みを語った。一方のAKIRAは、「まだテストの延長みたいなもので、楽しく走っています。エンジンが吹けなくなってしまうなど、色々制御が入ってしまっています。(去年まで乗っていた)86と違って振り回せないので、雁峰のような小さなコーナーは苦手ですね。走らせ方が独特です」とスープラの印象を語る。

新型スバルBRZやトヨタ86が参戦するJN-3クラスは、昨年の最終戦から新型BRZを投入している竹内源樹/木村悟士がリード。3SS中2SSでベストタイムをマークし、総合タイムでクラス2番手の山口清司/漆戸あゆみ(トヨタ86)に対して27.8秒のマージンを稼ぎ出した。クラス3番手には、1シーズンぶりにトヨタ86で参戦する山本悠太/立久井和子がつけている。山本はシーズン中にはGR86を投入予定のため、現在は旧型での参戦となっている。
首位に立った竹内は、「最初のセクションは新型でタイムが出るか、分からないまま、疑心暗鬼で走ったんですが、その中でプッシュしました。コントロール性の良さ、安心してコーナーに入って行けるところが、だいぶアドバンテージになったと思います。明日の雁峰は狭くて泥が乗っていたりするので、注意が必要ですね」と手応えを語っている。サービスアウト後にエンジンの調子が悪くなってしまったと語る2番手の山口は、「SS1では思った以上に滑って、土手に当たってしまいました。最後はトップに数秒追いつきませんでしたが、戻ってこられて良かったです」とコメント。3番手の山本は「思った以上にタイム差が離されてしまいましたね。ほとんどセットアップを変えられなかったのですが、午後のセクションでは路面が良くなって、クルマの動きが分かるようになりました」と、初日の走りを振り返った。

JN-4クラスは、3台のスズキ・スイフトスポーツによる争い。前年度チャンピオンの西川真太郎/本橋貴司がSS1で側溝に落ち、復帰に手間取り大きくタイムロスを喫するという波乱のスタートとなった。これにより、ラリー直前の火曜日に出来上がったばかりのマシンで出走した筒井克彦/古川智崇がクラストップに。クラス2番手には奥村大地/Jacky、3番手に西川という順位となったが、首位筒井と2番手奥村は1分以上、筒井と西川は24分以上の差が開いてしまっている。
筒井は、「まだ練習の段階なのですが、西川選手の脱落もあって、トップをもらいました。午後はクルマに慣れてきて、路面もかなり良くなったので、20秒くらいタイムを上げられましたね。明日は1分以上マージンがあるので、リスクを避けて走ります」と語っている。2番手の奥村は「あまりタイヤをうまく使いこなせませんでした。自分としてもショックです。明日はタイヤを変更して、今後に使えるデータをしっかり取りたいです」とコメント。3番手の西川は「SS1後半で早速滑って、側溝に落ちてしまいました。路面がヌルヌルで、完全に自分のミスです。丸太をかませて、ジャッキで上げて……なんとかリタイアせずに済みました(笑)。明日は今日みたいなことが起きないように、確実にレグポイントを狙います」と語った。

トヨタGRヤリスRSとトヨタ・ヤリスCVTがメインの参戦車種となるJN-5クラス。SS1を制して主導権を握ったのは、前年度チャンピオンの天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)だ。SS2とSS3は、同じくトヨタGRヤリスRSを駆る大倉聡/豊田耕司がベストタイムを獲るものの、天野はSS1で稼いだマージンが活きてクラス首位をキープ。16.7秒差で大倉が続く格好となった。大倉から33.3秒離れ、ヤリスCVTの渡部哲成/橋本美咲がクラス3番手で続く。SS1ではJN-5クラスで転倒車がありコースを塞いだため、後続の選手にはノーショナルタイムが与えられている。
「クルマは、低重心化を進めたりロールバランスを変えるなど、改良を施しています。パワーは大きく上げられないので、コーナリングで稼げるクルマですね。SS1では新しいサイズのタイヤを投入する作戦が当たりましたが、トータルでSS1のマージンを吐き出してしまいました。明日もリスク取らずに色々と試していきたいです」と天野はコメントしている。対する大倉は「SS1の差が大きすぎましたね。明日の路面が読めないので、戦略を立てるのも難しいです。とはいえ、CVTの制御を含めクルマも進化していますから、追いつけないタイム差ではないと思っています」と、諦めてはいない。3番手の渡部は「SS3でタイムアップはできましたが、先輩方ふたりに水をあけられてしまいました。明日は気温を見つつ、タイヤやセットアップを考えます」としている。

JN-6クラスには2台のヤリスとヴィッツが参戦。3台ともSS1でノーショナルタイムが与えられたため、実質的にSS2と3の2本で争われるかたちとなった。SS2を獲ったのはヤリスCVTの佐藤セルゲイビッチ/明治慎太郎。1.2秒差のSS2番手タイムにヴィッツの海老原孝敬/蔭山恵が入った。サービスを挟んだSS3では、海老原が好走を見せて佐藤を大きく引き離すことに成功。これでクラス首位は海老原、2番手に佐藤という順に。クラス3番手はヤリス・ハイブリッドを走らせる奥田道裕/阿部琢哉。奥田はSS2でブレーキトラブルに見舞われたが、サービスで無事に修復を果たした。
海老原は「クラストップは取れて良かったです。明日はこのまま長所を活かして頑張ります。セットアップは良いので、タイヤを変えるのみですね」とコメント。26.4秒差で海老原を追う佐藤は「ちょっとスピードが全体的に足りないですね。タイヤの限界値を使えていないのと、ペースノートを作りきれていないのが大きいです。明日はクルマよりもドライビングを修正して、リスクを考えつつ、もう少しプッシュしたいです」と意気込みを語る。3番手の奥田は「まずは無事に帰ってこられて良かったです。タイム差が離れているので、しっかり走り切りたいですね。トラブルも解消されましたし、最後の鬼久保は楽しみたいです」とコメントしている。

レグ2

この日行われたのは3SS、SS走行距離31.16kmという設定。SS4とSS5で『雁峰中リバース(12.75km)』を2度走り、最後にSS6『鬼久保(6.96km)』を走るという内訳。SS4とSS5の間には、45分間のサービスが設けられている。SS4/5で使われるセクションは道幅が狭く、初日と同じ雁峰林道ではあるが、前日よりはアップダウンが少なく性格の異なるステージとなっている。風が強く、時おり雲が流れてくるものの、前日に引き続き晴天のもとでラリーはスタートした。

この日最初のSS4では、勝田がフルアタック。ベストタイムをマークしたコバライネンに対し、1.1秒差に迫るSS2番手タイムという力走を見せて、勝田は総合タイムでもクラス2番手に浮上した。このSSでは、ポジションアップを狙っていたスバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一がコースオフし、リタイアを余儀なくされている。ラリーはサービスを挟んでSS5へ。ドライ路面用タイヤに履き替えたコバライネンは、このSSだけで勝田に対して17.1秒のリードを築くベストタイムをマーク。クラス4番手につけていた奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)はパンクを喫してステージ中の交換を強いられ、大きくタイムを失ってしまった。これでスバルの新井敏弘/田中直哉がクラス4番手に浮上。このSS5では、トヨタGRヤリスの眞貝知志/安藤裕一もコースアウトを喫して、リタイアを喫している。そして迎えた最終SS、ここでもコバライネンは一番時計を刻み、無事にフィニッシュ。すべてのSSでベストタイムをマークし、JN-1クラスで自身初の優勝を飾った。

この最終SSスタートを前にした正午、SS4で数台のタイムが計測されていなかったことから主催者は公式通知No.7を発行。通知には『ラリー開催規定の付則:スペシャルステージラリー開催規定第25条9.に示される、主計測装置ならびに補助計測装置が作動しなかった為、SS4をキャンセルとする』ことが記されていた。これにより、SS4はキャンセルとなり、SS4での勝田と福永のタイム差がリザルトから消滅。最終SSで2番手タイムをマークした福永が勝田を逆転して、2位表彰台を獲得した。勝田は3位、4位に新井、5位に三枝聖弥/石田裕一(スバルWRX STI)という順位になった。
JN-1クラスでの初勝利を挙げたコバライネンは、「これほど速く走れるなんて、自分でも少し驚いているよ。この機会を与えてくれたチームには本当に感謝している。規定上、他のクルマより有利なことは分かっている。それでも、こうやって勝てたことはうれしいね。新城はSS自体の経験があったことも、僕の助けになってくれた。次の唐津は経験があまりないし、今回以上に難しくなると思う。たとえ勝てなかったとしても、ラリーを心から楽しめると思う」と喜びのコメント。次戦から科されるウエイトについても、大きな問題にはならないはずだと自身を覗かせた。2位に入った福永は「最終セクションの2SSは全体的に手応えはありましたが、ちょっと不完全燃焼な感じです。コバライネン選手は速いですが、少しでも差を縮められるように、勉強させてもらうシーズンだと思って頑張ります」と前向きにまとめた。3位の勝田は「2日目はドライで、自信を持って走ることができました。コ・ドライバーの木村選手もすごく良い仕事をしてくれたと思います。うまくいっていたんですが、なかなかコバライネン選手の背中は見えなかったですね」と、ラリーを振り返った。

大きなタイム差が開いているJN-2クラスは、中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)が今シーズン初勝利。今後に向けたテストも兼ねて、様々なトライを行いながらの最終日となったが、きっちりとまとめてラリーを終えた。中平にとっては、2020年11月に行われたツール・ド・九州以来のクラス優勝だ。2位はトヨタGRスープラで参戦したAKIRA/美野友紀が、選手権クラスで初の表彰台を得た。
「久々の優勝なので、うれしいです。次戦の唐津に向けて、色々なセットアップやタイヤ、新しい走らせ方を試すことができました。唐津は得意なステージなので、優勝で終われるように頑張ります」と、中平は次戦に向けた意気込みを語った。2位のAKIRAは、様々な制御の介入に悩まされたものの、「完走できたのが一番ですね。鬼久保に照準を合わせていたので、足もタイヤもバッチリ決まりました。途中で制御が入って130km/h以上に加速しなくなるなど色々ありましたが、完走してデータを取ることができたので良かったです」とコメントしている。

JN-3クラスでは竹内源樹/木村悟士が勝利し、2014年の第1戦で達成した先代のSUBARU BRZ初優勝に続き、新型SUBARU BRZでの全日本ラリー初優勝を達成した。2位には最終日の2SSでベストタイムをマークした山本悠太/立久井和子(トヨタ86)が入り、3位に山口清司/漆戸あゆみ(トヨタ86)という順位となった。僅差の4位には山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86)が入っている。
竹内は、「新型での初優勝を目標にしていたので、結果を持ち帰ることができて良かったです。新型はエンジンだけでなく、ボディ剛性やサスペンションも良くなっているので、鬼久保のハイスピードセクションもまだまだポテンシャルに余裕があると感じます。今季はターマックラウンドをしっかり狙って、チャンピオンを目指します」と力強いコメントを残した。JN-3クラス復帰戦となった山本は、「久々のFR車でしたが、2日目は路面も良く、ブランクもあまり感じずに走ることができました。次の唐津もこのクルマ(ZN6)で出る予定です」と振り返った。3位の山口は「ちょっと不完全燃焼ですね。最終セクションはなかなかペースを上げ切れず、周りがペースアップする中、いまひとつでした。全体的に自分で限界を決めてしまった感じです。唐津までは中1週間しかないので、メンテナンスをするくらいですね」と語っている。4位の山田は全日本ラリー初挑戦。「天候や路面変化が厳しい中で、自分の得意不得意が分かりました。今後を考えると、良いラリーになったと思います。今後に向けては、ラリーに対する取り組みや作戦で改善できる部分が多いと思っています」

3台のスズキ・スイフトスポーツが参戦するJN-4クラスでは、初日から順位変動はなく筒井克彦/古川智崇が今季初優勝。2位に奥村大地/Jacky、西川真太郎/本橋貴司が3位という順位になった。前年度チャンピオンの西川はこの日の2SSでいずれもベストタイムをマークし、レグ得点3点を獲得している。
筒井は「SS1のタイヤ選択が分かれ目でしたね。あそこで西川選手が脱落して、奥村選手ともタイム差があったので、勝てる状況を活かして、安全な範囲で攻めることができました。優勝は優勝ですし、うれしいです。次戦の唐津は色々とテストして、タイムでも上位に近づけるようにしたいです」とスイフトスポーツでの初勝利を振り返った。2位の奥村は、「雁峰ではタイムを出すことができなかったんですが、ハイスピードの鬼久保で西川選手に1秒負けと、得意なところで結果が出せたので、次戦に向けて収穫がありました。次は第4戦の丹後に出る予定ですので、それに向けて色々と対策を考えたいと思います」と今後に向けた意気込みをコメント。目標としていたレグポイントを獲得した3位の西川は、「初日の悪夢がなければ……につきますね。唐津までにしっかり反省して、良い結果を残せるよう頑張ります。クルマは十分決まっているので、あとは自分だけですね」と気持ちを切り替えた。

JN-5クラスは天野智之/井上裕紀子がトヨタGRヤリスRSの全日本ラリー初勝利を飾った。天野は2位の大倉聡/豊田耕司(GRヤリスRS)にSS5で6.3秒差、SS6で0.1秒差をつけて、いずれもベストタイム。最終的に23.1秒差をつける快走で、シーズン初戦を制してみせた。3位にはトヨタ・ヤリスCVTの渡部哲成/橋本美咲が入っている。
天野は「GRヤリスRSでようやく勝つことができました。結果的にはSS1のような、経験の差が出るところでタイム差をつけた感じですね。それがなければ、この展開にはなっていないと思います。安穏とはしていられませんし、今後も接戦になると思うので、集中力が鍵ですね」と、次戦以降に向けて気を引き締めた。一方の大倉は、「コンディションが悪くなると、一気に引き離されてしまいますね。次の唐津は同じターマックですが、全然キャラクターが違いますし、しっかり仕上げたいです。クルマが決まれば天野選手ともトントンで戦えると思っていますので」と、闘志を燃やしている。3位の渡部は「ドライビングもタイヤの使い方も改善していると思うのですが、やはり前の先輩方に引き離されてしまいました。このラリーで課題がたくさん見つかったので、次回に向けて修正していきたいです」とコメントしている。

JN-6クラスも初日からの順位変動はなく、トヨタ・ヴィッツの海老原孝敬/蔭山恵が全日本ラリーで初優勝を果たした。2位には佐藤セルゲイビッチ/明治慎太郎(トヨタ・ヤリスCVT)、3位に奥田道裕/阿部琢哉(トヨタ・ヤリス・ハイブリッド)という順位に。海老原がSS5、佐藤がSS6をそれぞれ制する展開となったが、海老原が初日のリードをさらに拡大して、勝利を挙げた。
「やっと勝つことができました。全日本を始めて3年目ですね。平塚(忠博)さんをはじめ、スマッシュの皆さんに助けられて、ここまで来ることができました。コ・ドライバーの蔭山選手ともコンビを組んで長いんですが、やって優勝できました。感無量です」と海老原は笑顔で勝利を噛みしめた。2位の佐藤は「まずリタイアしないことが第一だったので、その目標は達成できました。タイヤ選択以外の面では勝負になっていたと思います。唐津に向けては、ペースノートの作り方が鍵になると思うので、しっかり準備したいです」と、次戦に向けて意気込みを語る。3位の奥田は「SS5では止まっているクルマを避けるためにスローダウンしましたが、だいぶ乗れるようになったと感じます。次戦は丹後に出る予定です。クルマにも手を入れたいですね」と、ラリーを振り返った。

次戦は4月1〜3日にかけて開催されるツール・ド・九州2022 in 唐津。佐賀県唐津市を舞台とするターマックラリーで、新城ラリーとは大きくキャラクターの異なる林道が舞台となる。昨年はシュコダ・ファビアR5の福永が勝利を収めており、コバライネンを交えた展開に注目があつまる。なお、今回の結果を受けて上位3台の最低重量に加算されるウエイトは、コバライネンが+30kg、福永が+20kg、勝田が+10kgとなる。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN1-1 Heikki Kovalainen/北川紗衣 AICELLOラックDL速心FABIA R5 42:22.8
2 JN1-2 福永 修/齊田美早子 アサヒ☆カナックOSAMU555ファビア 43:14.9
3 JN1-3 勝田範彦/木村裕介 GR YARIS GR4 Rally 43:17.5
6 JN3-1 竹内源樹/木村悟士 YH CUSCO 大阪冷研 BRZ 46:00.9
9 JN5-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・GRヤリスRS 46:47.3
14 JN2-1 中平勝也/島津雅彦 DL SYMS R-ART 86 R3 47:45.8
24 JN6-1 海老原孝敬/蔭山 恵 スマッシュ DL itzz ヴィッツ 51:01.9
25 JN4-1 筒井克彦/古川智崇 TEAM221 DL SH スイフト 51:20.5

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

イベントフォト

JN1クラス優勝 Heikki Kovalainen/北川紗衣

JN2クラス優勝 中平勝也/島津雅彦

JN3クラス優勝 竹内源樹/木村悟士

JN4クラス優勝 筒井克彦/古川智崇

JN5クラス優勝 天野智之/井上裕紀子

JN6クラス優勝 海老原孝敬/蔭山恵