久万高原ラリー
開催日時:5月8日(金)〜10日(日)
開催場所:愛媛県上浮穴郡久万高原町周辺
スペシャルステージ本数:9本
スペシャルステージ総距離:108.54km
ラリー総距離:278.79km
SS路面:ターマック(舗装路)
SS路面状況:デイ1/ウエット、デイ2/ドライ
ポイント係数:1.2
全日本ラリー選手権第2戦久万高原ラリーは、初日トップの新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が2位との差を1分18秒1まで広げ、今季初優勝を飾った。2位には、炭山裕矢/保井隆宏(スバルWRX STI)、3位には鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)が入賞し、新型WRX STIが表彰台を独占した。
ラリー概要
5年ぶりにターマックで開催された久万高原ラリーには、43台がエントリー。JN6からJN2まではクラス成立しているが、JN1の出走が1台のためクラス不成立となり、JN2に編入されている。
旧美川スキー場跡の美川スポーツランドを拠点とするラリーは、2日間合わせて108.54km(9SS)を設定。初日は5.04kmの大谷を3回、14.97kmの美川を2回、2日目は17.58kmの美川リバースと14.16kmの大川嶺を2回ずつ走行するというシンプルな設定だが、SS1本あたりの距離が長いうえに標高1500mという空気の薄い高地は、エンジンへやブレーキなどマシンへの負担が大きい。さらに山岳地帯を走行するため、突然の雨や霧などといった天候の急変も。SS総距離が100kmを超えているためにポイント係数が1.2となるこのラウンド、各クラスとも熾烈なトップ争いとなることが予想される。
デイ1
早朝から雨に見舞われたためにかなり滑りやすい路面で戦われたデイ1は、SS2で奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)がエンジンブローのためリタイア、SS3で福永修/鈴木裕(三菱ランサーエボリューションX)、勝田貴元/草加浩平(スバルWRX STI)がコースアウト、SS4で勝田範彦/足立さやか(スバルWRX STI)、新井大輝/伊勢谷巧(スバルWRX STI)、竹内源樹/加勢直毅(スバルWRX STI)がコースアウトでリタイアするという大波乱の展開となった。そのなか、「開幕戦の結果を踏まえて、大きくセッティングを変えてきた」という新井が、SS1からベストタイムを連発。2番手の炭山裕矢/保井隆宏(スバルWRX STI)に45.6秒の差を付けてデイ1のトップに立った。3番手は、炭山から45.1秒差で徳尾慶太郎/石田一輝(三菱ランサーエボリューションX)が、さらに17.1秒差で鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)がつける。
JN5クラスは、開幕戦を制した眞貝知志/漆戸あゆみ(アバルト500ラリーR3T)が、総合3番手という速さで独走、JN4クラスは開幕戦4位の香川英樹/浦雅史(ホンダ・シビックType-R)、JN3クラスは開幕戦優勝の岡田孝一/鶴田邦彦(マツダ・デミオ)、JN2クラスは開幕戦4位の高橋悟志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツRS)がトップで折り返した。
デイ2
デイ2は、17.58kmの美川リバースと14.16kmの大川嶺の2本を2回ループする63.48kmの設定。雨に翻弄された初日とは異なり、早朝から日が差しドライコンディションとなった2日目は、初日4番手の鎌田が3番手の徳尾慶太郎/石田一輝(三菱ランサーエボリューションⅩ)を捉え3番手に浮上。SS7と9ではベストタイムをマークし3位入賞を果たした。一方、初日ですでに45.6秒差があったトップの新井と2番手の炭山は、それぞれ無理のないペースでポジションをキープ。「第1戦から第2戦のインターバルの間に4回テストを行い、徹底的にセッティングを見直したことが、今回の結果に結びついた」という新井が、後続の追従を許さずに独走した。2位の炭山も「初日のセクション1は、雨のセッティングが合わずに大きく遅れてしまったが、セッティングを変えたセクション2からは新井さんと遜色のないタイムが出るようになった。タイムを出すことはもちろん、最後まで生き残ることが最も難しいラリーだった」と、サバイバル戦となったこの1戦を振り返る。3位の鎌田は、「このクルマでウェット路面を走るのが初めてだったため、初日はセッティングが合わずに苦戦したが、ドライ路面の2日目は結果を残すことができ、今までやってきたセッティングの方向性は間違いではなかったことがわかった」と、ニューマシンの進化に手応えを感じていた。
JN5クラスは、2日目に大きなドラマが待っていた。2番手の柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208GTi)に34.7秒差を付けて初日を折り返した眞貝知志/漆戸あゆみ(アバルト500ラリーR3T)は、2日目のSS7でコースオフ。なんとかコースには復帰するものの、ポジションをクラス最下位まで下げてしまった。一方、2日目のオープニングとなるSS6ででベストタイムを奪い、眞貝との差を27.0秒に縮めた柳澤は、このSS7でセカンドベストをマークしてポジションもトップに浮上。同じく2位に浮上してきた天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)との差を確実に広げ、デビュー2戦目となるプジョー208GTiに勝利をもたらした。初日の最終SSでドライブシャフトを折損し、一時は天野が2.5秒差まで切迫する展開となった柳澤だが、持ち前の粘りの走りで勝利をものにした。
JN4クラスは、初日トップの香川秀樹/浦雅史(ホンダ・シビックtypeR)が逃げ切り今季初優勝。JN3クラスも初日トップの岡田孝一/鶴田邦彦(マツダ・デミオ)が開幕2連勝、JN2クラスは高橋悟志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツRS)が今季初優勝を飾った。
(RALLY PLUS)
総合結果
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | JN6-1 | 新井敏弘/田中直哉 | フジスバルアライモータースポーツWRX | 1:31:09.6 |
2 | JN6-2 | 炭山裕矢/保井隆宏 | ADVAN CUSCO WRX-STI | 1:32:27.7 |
3 | JN6-3 | 鎌田卓麻/市野 諮 | SYMS・TEIN・DUNLOP・WRX・STI | 1:32:52.7 |
4 | JN5-1 | 柳澤宏至/中原祥雅 | ADVANクスコRALLY+208GTi | 1:35:52.1 |
7 | JN4-1 | 香川秀樹/浦 雅史 | BRIG ラック シビックタイプR | 1:37:03.9 |
15 | JN3-1 | 岡田孝一/鶴田邦彦 | キーストーンナビゲーターDLデミオ | 1:40:16.6 |
16 | JN2-1 | 高橋悟志/箕作裕子 | ミツバWMDLラックマジカル冷機ヴィッツ | 1:41:28.2 |
注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。
参考総合結果表: 2015_rd02(PDF) 2015_rd02(Excel)
ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。