新城ラリー2016

開催日時:11月4日(金)〜6日(日)
開催場所:愛知県新城市
スペシャルステージ本数:17本
スペシャルステージ総距離:106.941km
ラリー総距離:410.401km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.2

全日本ラリー選手権第9戦「新城ラリー2016」は11月4(金)〜6日(日)の日程で行われ、初日のSS1から首位に立った勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が今季4勝目を獲得するとともに、今シーズンのシリーズチャンピオンを決めた。

2日間合わせて5万人以上の来場者を集めた新城ラリーは、今年も奥三河の地元グルメや出展ブース、TOYOTA GAZOO Racing PARKなどの多彩なイベントが開かれ、秋晴れの新城総合公園に多くのモータースポーツファンが来場した。

デイ1

シリーズランキング首位の奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)と、同2位の勝田とのチャンピオン争いが焦点となった最終戦。オープニングとなるSS1は、勝田が奴田原に7.0秒差のベストタイムでラリーをリードする。勝田の優勝を阻止しなければタイトルも奪われてしまう奴田原は、続くSS2で渾身のアタックを見せるものの、路面に散乱した砂利に足をすくわれスピンし立ち木にヒット。マシンのダメージが大きく、ここでラリーを諦めなければならないという最悪の結果となってしまった。
奴田原のリタイアにより新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が2位に浮上し、SS4を終えた時点で4.9秒差に迫られるものの、その後勝田はSS5と6を連取。この2本のSSだけで新井との差を27.4秒差にまで広げた。第8戦優勝の鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)は、SS3で駆動系トラブルによりデイ離脱。そのSS3でベストタイムをマークして追い上げ体勢を図る福永修/竹原静香(三菱ランサーエボリューションⅩ)もSS4でリヤサスペンションを破損してデイ離脱と上位陣が次々と姿を消す中、勝田は雁峰林道に設定された5本のSSをすべて制覇し、逆転チャンピオンに向けて大きな弾みとなる初日首位の座を掴んだ。シリーズランキング6位の徳尾慶太郎/枝光展義(三菱ランサーエボリューションⅩ)が3位に付けている。

第8戦で柳澤宏至が自身初となるドライバーズチャンピオンを獲得したJN5クラスは、柳澤のコ・ドライバー中原祥雅とコ・ドライバーズチャンピオンを争う松尾薫/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)がSS1でいきなりコースアウト。この時点で中原にとっては神岡政夫とのコンビで日産フェアレディZを擁してタイトルを獲得した1985年以来31年ぶりとなるコ・ドライバーズチャンピオンが確定した。
初日首位は、第8戦で全日本初優勝を獲得した新井大輝/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3-MAX)が総合3番手という速さで獲得。32.2秒差の2位にはヘイキ・コバライネン/北川紗衣(GT86 CS-R3)、1分12秒後方の3位が柳澤/中原だ。

最終戦までタイトル持ち越しとなったJN2クラスは、逆転チャンピオンを狙う小濱勇希/馬場雄一(スバルBRZ)が初日の首位を奪うが、シリーズ首位の明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)も初日2位という好ポジション。小濱が逆転チャンピオンを獲得するためには優勝+2日間ともデイトップ、さらに明治が3位以下という条件となるため、初日を終えた時点でのタイトル争いは、明治が有利という状況だ。キーマンとなる3位には、山本悠太/安藤裕一(トヨタ86)が28秒遅れで追いかけている。

また、JN2クラスと同じくタイトル争いが最終戦までもつれ込んだJN1クラスは、第8戦での優勝でシリーズ首位の須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)との有効得点を1.4点差まで縮めた鈴木尚/山岸典将(スズキ・スイフトスポーツ)が、SS7で同タイムで並ぶという大激戦となった。その後、SS8では須藤が首位を奪うが、SS9とSS10を連取した鈴木が再逆転。2日目は6.5秒差で須藤が鈴木を追う展開となった。3位は前戦ハイランドでも3位に入賞した日産マーチNISMO Sの伊藤隆晃/大高徹也が迫る。

すでにチャンピオンが確定したJN4クラスは、初日の最終SSとなるSS10で石川昌平/石川恭啓(トヨタ86)が山口清司/島津雅彦(トヨタ86)を捉えトップに。JN3クラスは、チャンピオンの天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)がトップに立ち、全日本ラリーの選手権クラス初登場となるCVT搭載のトヨタ・ヴィッツで挑む勝田貴元/足立さやかが30.7秒差の2位に付けている。

デイ2

ポイントリーダーの奴田原が初日のSS2で姿を消したJN6クラス。逆転チャンピオンの可能性が高い勝田は、SS12でテールをヒットさせヒヤリとさせるシーンもあったが、サービスでマシンを修復したあとのSS13でベストタイムを奪うなどこの日も快調なペースでチャンピオン獲得に向けひた走る。最終セクションでは2位の新井が差を詰めて来るものの、トータル22.5秒差で勝田が3年ぶりのチャンピオンを獲得した。
「本当に嬉しい。クルマがすごく良い状態で、タイヤも路面にマッチしていました。今シーズンは3連勝したあとに失速してしまいましたが、そこから這い上がることができました。今日は最後までクルマ大丈夫かなとか、壊れないかなとかナーバスになってしまう時もありましたが、チームがしっかりとサービスで整備してくれたおかげで、最後まで走り切ることができました」と喜びを語る勝田。コ・ドライバーの石田は、最上位クラスでは初のタイトル獲得となった。

JN6クラスと同様に最終戦までチャンピオン争いがもつれ込んだJN2クラスは、初日首位の小濱が5本のSSでベストタイムをマークし、初日と同様にデイポイントトップを獲得する走りで今季4勝目を獲得。だが、明治もしっかりと2位をキープしてフィニッシュしたため、有効ポイント差で明治がドライバーズチャンピオンを獲得した。また、コ・ドライバーズチャンピオンは、フルポイントで優勝を獲得した小濱のコ・ドライバーの馬場が獲得する結果となった。

同門対決となったJN1クラスは、デイ1と同様に鈴木と須藤の2台のスイフトスポーツが、この日も僅差の勝負を展開。午前のセクションを終えて須藤がその差を3.8秒に詰めるが、午後のセクションは鈴木が踏ん張り最終SSを前にその差を5.4秒に拡大。初日のSS1から息詰まる展開が続くなか、最終SSで須藤は渾身のアタックでベストタイムを奪う快走。対する鈴木も、フロントをヒットさせフロントまわりに激しく損傷を受けながらの渾身のアタックを敢行し、わずか1秒差で逃げ切りに成功。鈴木が今シーズンのドライバーズチャンピオンを獲得した。「最初から最後までずっと辛いラリーでした。なぜ勝てたのか、理由は分かりません。最終戦で師匠(須藤)とこんな戦いができて本当に良かったです。嬉しくて涙が止まりません」という鈴木が自身初のチャンピオンを獲得した。敗れた須藤も、『鈴木の成長を感じた。僕も最終SSを走り切ってゴール会場に帰ってくるまで涙が止まらなかった。悔し涙なのか、それともこういう戦いができたことの涙なのか、自分でも分からない。チャンピオンを獲れなかったことは悔しいけれど、鈴木とこういう戦いができて本当に良かったと思う。鈴木、おめでとう、ありがとう!」と、セレモニアルフィニッシュで心境を語った。なお、コ・ドライバーズチャンピオンは須藤のパートナーである新井正和が獲得している。

デイ1首位の石川を山口が追う展開となったJN4クラスは、迫る山口を石川が抑え切り、最終的に20秒のリードを築き上げて石川が今季4勝目を挙げた。2位に山口、3位にチャンピオンの曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)となった。

JN3クラスは、最後まで手綱を緩めず3つのベストタイムを奪った天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)が地元愛知での最終戦を優勝で締めくくり、有効7戦で優勝+デイポイントのフルポイントという完全勝利で2016年シーズンを締めくくった。デイ1を終えて2番手につけていたCVT仕様のヴィッツで挑んだ勝田貴元/足立さやかは、SS13でコースアウトし惜しくもリタイア。2位には、最終SSで逆転した島田章/石黒祐輔(マツダ・デミオ)が、3位には戸塚和幸/木村悟士(トヨタ・ヴィッツRS)が入賞している。

JN5クラスはデイ2すべてのSSでベストタイムを奪った新井大輝/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3-MAX)が総合でも3位に食い込む見事な走りで優勝。2位には今季最上位となるヘイキ・コバライネン/北川紗衣(GT86 CS-R3)、3位には、初日にコ・ドライバーズチャンピオンを決めた柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208 R2)が入り、RR車両が表彰台を独占した。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 勝田範彦/石田裕一 ラックSTI 名古屋スバル DL WRX 1:23:11.5
2 JN6-2 新井敏弘/田中直哉 富士スバルアライモータースポーツWRX 1:23:34.0
3 JN5-1 新井大輝/小坂典嵩 MATEX-ZEUS KYB DL DS3 1:25:17.6
5 JN6-3 徳尾慶太郎/枝光展義 クスコDL itzzフォルテックランサー 1:26:56.9
7 JN2-1 小濱勇希/馬場雄一 YH フェイスクラフト BRZ 1:27:39.9
11 JN4-1 石川昌平/石川恭啓 ARTAオートバックス86 1:29:00.9
15 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS 1:29:55.6
17 JN1-1 鈴木 尚/山岸典将 スマッシュDL itzzスイフト 1:30:30.0

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2016年 全日本ラリー選手権 第9戦 新城

イベントフォト

JN6クラス優勝 勝田範彦/石田裕一