若狭ラリー2017 Supported by Sammy

開催日時:5月19日(金)〜21日(日)
開催場所:福井県おおい町
スペシャルステージ本数:14本
スペシャルステージ総距離:81.70km
ラリー総距離:451.54km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0

全日本ラリー選手権第4戦「若狭ラリー2017 Supported by Sammy」が5月20日(土)〜21日(日)の日程で開催され、2日目のSS12でトップに立った福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューションX)が、2位に0.4秒の僅差で逃げ切り優勝した。1998年に全日本に初めて初出場た福永は、出場20年目にして全日本ラリー最高峰クラスで初の優勝を果たした。

昨年と同様に若狭湾を臨む複合レジャー施設「うみんぴあ大飯」を拠点として開催される若狭ラリーだが、今回はギャラリーSSが設定されたスーパーSSの場所を2年前に使用した大飯町総合運動公園/プレーパークおおいに移動。企業ブースや飲食店などが立ち並ぶラリーパークも「うみんぴあ大飯」からこちらに移設された。19日(金)の夕方に行われたセレモニアルスタートでは、恒例の子どもたちによるちびっこスターター体験が実施され、ラリーカーを前にして元気いっぱいでフラッグを振る子どもたちに、選手も笑顔で応えていた。

デイ1

デイ1は、新緑の山中を駆ける9.4kmのSS Furusatoを3回、10.3kmのSS Gonamiを2回、デイ2にも使用され、高速道路脇の林道を走る4.02kmのSS Sekiyaを1回、そしてスーパーSSを2回走行する8SS、54.34kmが設定された。SS総走行距離81.70kmのうちデイ1だけで67%を占めており、この初日のタイムが勝負の行方に大きく影響することが予想される。

JN6クラスは、前戦久万高原のSS1でリタイアを喫した勝田が、SS1とSS2でスタートダッシュを決めベストタイムを連取。怪我から復帰した鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)と、勝田と同じく第2戦をリタイアで終えた福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューションⅩ)が約10秒差、さらに約7秒離れて久万高原ラリーを制した奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)、さらに新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が僅差で続くという展開だ。

サービスを挟んだSS3とSS4では福永が連続ベストを取り返し2番手に浮上、トップの勝田との差を7.1秒まで縮めてくる。一方、3番手にポジションを落とした鎌田は、シフトレバーが折れるなどのマシントラブルが相次ぎ、4番手に後退してしまう。

2回目のサービスを経たSS6とSS7は勝田と福永がベストタイムを分け合い、勝田は初日首位を死守。福永がも3番手の奴田原との差を広げ、勝田との差を5.3秒差に縮める2番手で初日を終えた。その福永と31.4秒差の3番手に奴田原、その奴田原と5.5秒遅れの4番手に新井が続き、トラブルに見舞われた鎌田が新井から4.0秒遅れの5番手と、上位2台が頭ひとつ抜けだし、3番手以下が大混戦という様相をみせている。

JN5クラスは、序盤からJN6クラスに食い込むタイムを見せた小濱勇希/馬場雄一(シトロエンDS3 R3-MAX)がリード。DS3での挑戦3戦目となる川名賢/保井隆宏が2番手につける。MINIでの今季初戦となった鷹野健太郎/ヤナはSS3でエンジントラブルによりリタイアとなった。

JN4クラスは、新型を投入した曽根崇仁/桝谷智彦と、第2戦をスキップした石川昌平/赤羽隆子、クラスのなかでは真っ先に新型を投入した山本悠太/藤田めぐみの3台のトヨタ86がベストタイムを取り合う展開となるが、SS5で石川がコースオフしてリタイア。2連勝中の曽根が首位を守り、山本が7.5秒差で食らいつく。3番手には同じくトヨタ86の山口清司/山本磨美がつけている。

JN3クラスは、天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)がSS2で2番手の大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツ)に13秒差を付けると、その後もじわじわと差を広げて初日を終えて初日をフィニッシュ。16.9秒差の2番手に大倉、そこから2分以上後方の3番手に、久万高原でも表彰台を獲得した内藤学武/小藤桂一(マツダ・デミオ)がつけるという展開となった。

JN2クラスは、セクション2を終えて2番手の戸塚和幸/木村悟士(スバルBRZ)に12.9秒のリードを築き、ターマック3連勝に向けて盤石かと思われた明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)が、SS6で電気系トラブルにより8分以上タイムをロスして7番手まで後退。代わって戸塚が首位に浮上する。2番手には鎌野賢志/蔭山恵、3番手は加納武彦/横手聡志(スバルBRZ)と鈴木尚/山岸典将(スバルBRZ)が争う展開となっている。

JN1クラスは、須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)がSS1から首位に立ち独走。前戦でマシンを全損し、今回新たなフィットを投入した小川剛/佐々木裕一と、日産ノートNISMO Sの伊藤隆晃/大高徹也が2番手争いを展開する。また、SS1のスピンで出遅れた古川寛/遠藤彰(スズキ・スイフトスポーツ)が徐々にポジションを上げ、SS4では一時3番手に浮上するが、SS6でベストタイムを奪った伊藤が3番手を取り返すという激しいバトルが繰り広げられた。結局、初日を終えて首位は須藤、10.2秒差の2番手に小川、小川から6.7秒遅れの3番手に伊藤がつけ、古川が1.4秒後方から虎視眈々と上位を狙う。

デイ2

2日目は、デイ1の逆走となるSS Furusato Reverse(8.63km)、デイ1でも走行したSS Sekiya(4.02km)、同じくデイ1でも走行したギャラリーステージのSSS PlayPark(1.03km)を2回ずつループする設定だ。この日は、JN6クラスをはじめ各クラスで秒差の接戦が演じられた。

初日は福永が勝田を激しく追い上げる展開となったJN6クラス。2日目はSS9を福永、SS10を勝田がベストタイムを奪い合うシーソーゲームとなったが、続くギャラリーステージのSS11で、ゴール間際に勝田のマシンがガス欠状態となって4秒をロスし、2番手の福永との差は1.0秒まで縮まる。そして、SS12で福永が勝田を1.2秒上まわるベストタイムをマークし、ついに勝田と0.2秒差の首位に立つ。さらに福永はSS13も連取し、勝田との差を0.8秒に拡大。その勝田も最終SSで福永との差を詰めてくるが、あと一歩届かず。わずか0.4秒差で福永が逃げ切り、最高峰クラスでは自身初となる全日本優勝を果たした。

「ほんまに長かった。最後はとにかく攻めただけなんですけど、平常心を保つのにもう必死でした」と、激戦を振り返る福永。セレモニアルフィニッシュでは2位の勝田、3位の奴田原や多くのファンや関係者が福永を祝福し、こらえきれずに涙を見せるシーンもあった。

JN5クラスは、2日目も3度のベストタイムを刻んだ小濱が第2戦から続く3連勝を達成。2位には、2日目に2度のベストタイムを奪った川名が入賞した。

JN4クラスは、曽根が初日の差を守り抜き、新型86を投入した初戦で白星を上げた。2位は曽根に8.9秒差まで迫った山本、3位には足回りのセッティングに苦しめられた山口が入賞した。

JN3クラスは、天野が初日の勢いのままリードを広げるなか、2番手に食らいついていたCVTヴィッツの大倉が駆動系のトラブルによりリタイアに終わってしまう。ライバル不在の天野はそのまま首位を独走し、今季負け知らずの4勝目を獲得。2位は内藤、3位は渡部哲成/松浦俊朗(マツダ・デミオ)を0.4秒かわした中西昌人/美野友紀(マツダRX-8)が入賞した。

JN2クラスは、明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)のトラブルにより首位に浮上した戸塚が、2日目も手を緩めずにそのままフィニッシュ。自身初となる全日本初優勝を果たし、装着するクムホタイヤにも全日本ラリー初優勝をもたらした。また、初日2位の今季初参戦の鎌野が入賞。3位には鈴木が滑り込んだ。

JN1クラスは、初日トップの須藤が逃げ切り今季初優勝。初日4番手から2日目に激しく追い上げた古川が2位。わずか0.1秒差の3位には小川が入賞した。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN6-1 福永 修/齊田美早子 555☆OSAMU・F☆DLランサー 1:06:22.9
2 JN6-2 勝田範彦/石田裕一 ラックSTI名古屋スバルDLWRX 1:06:23.3
3 JN6-3 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー 1:06:59.3
7 JN5-1 小濱勇希/馬場雄一 KYB DUNLOP DS3R3 MAX 1:09:03.5
8 JN4-1 曽根崇仁/桝谷知彦 P.MU☆DL☆SPM☆INGING86 1:09:55.1
13 JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS 1:10:39.6
15 JN2-1 戸塚和幸/木村悟士 PLUMAKRKUMUHO 諏訪姫BRZ 1:11:34.4
20 JN1-1 須藤浩志/新井正和 スマッシュBRIGダイニチYHスイフト 1:12:41.7

注)クラス区分については全日本ラリー選手権ガイダンスをご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

2017年 全日本ラリー選手権 第4戦 若狭

イベントフォト

JN6クラス優勝 福永修/齊田美早子

JN5クラス優勝 小濱勇希/馬場雄一


JN4クラス優勝 曽根崇仁/桝谷知彦


JN3クラス優勝 天野智之/井上裕紀子


JN2クラス優勝 戸塚和幸/木村悟士


JN1クラス優勝 須藤浩志/新井正和